始まりの時間
るぅるぅはるぅるぅとして生まれて五十年。
まだまだ幼体ではあるが、子供子供ってほどでもない。
しかし同属性の同胞、同僚には散々馬鹿にされるのでクッションを壁に投げつける日々が続いていた。
「もう一度、うろなにいくのだー。家出してやるのだー。渚に会いに行くのだー」
「一番最後が本音だべなぁ~」
室内のソファに寛ぐモグラがカフェのカップを片手にほざく。
「おまえもかぁああ」
ごねるとかたんとカップをおき、じっと見つめられる。
「友達に向ける言葉でないべ?」
すいっと視線をずらす。
「悪かった」
「わかればいーべ」
ふさわしくない言葉にモグラはうるさい。その言葉の正当性は認めるポイントである。
「遊びに行くんだべか?」
「ついてくるか?」
「断るべ」
打てば響くように返ってくる答え。
「オラは備蓄の準備で忙しいんだべ。暇じゃないべ」
容赦無く叩き斬られた感じである。
「るぅるぅはるぅるぅは! 負けないのだぁあああ!」
「あちらであんまり迷惑かけるでねぇべよー」
「わかっているのだ!」
るぅるぅがあちら側に家出を決意した理由は幾つかある。
同族同胞の無理解。
異世界からの渡り者の思考パターンの調査。
そして前回出会った渚。彼女に会いたいのだ。
兎にも角にも、るぅるぅは、るぅるぅはもっと多くの情報を得たいのだ。
渚と連絡がうまくつけれないからじゃ、ない……のだ。
『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』
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青空渚ちゃん、お借りしております。
次回は下準備回