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チョコレート

アルフレッド殿下は最近、王宮のサロンに行きたがる。



「ギルベルト、今日もサロンにいかないか?」



「えぇ、そうしましょう。」



サロンはいつも令嬢たちの話し声で溢れていて、最近は殿下がよく訪問することも噂になったからか、より令嬢たちが集まりだしている。



「ご覧になって、アルフレッド殿下よ。今日も美しいですわ。」



「本当、私も一度ご挨拶させていただきたいですわ。」



小声で話す令嬢たちの声が、僕にも、きっとアルフレッド殿下にも届いている。



アルフレッド殿下はそんなことも気にせず、一人の侍女を探す。

殿下がここに来る理由だ。





リディア男爵令嬢





いつも表情の変わらない優しい笑顔で、いくらでも話すタイミングがあるというのに、彼女は、「どうぞ」の一言だけでいつもにこりと笑って去っていく。



アルフレッド殿下は彼女のどこにそんな魅力を感じたのだろうか。





「そういえば、イザベラ様に最近お会いになりました?」



「あら、あなたも気づきました?」



「本当、人が変わったかのようですわね。」



聞きたくなくても耳に入ってくるイザベラ伯爵令嬢の噂話。



「もしかして婚約を狙って…」



何かよからぬ新しい噂が聞こえそうなとき、リディア男爵令嬢が紅茶を持ってきた。



「アルフレッド殿下はお菓子はお好きですか?」



「え?」



いつも、一言だけの彼女が今日は話しかけてきた。

殿下もびっくりしてるようで言葉が止まっている。



「季節の新作ですが、よろしければと思いまして」



殿下の前に置かれた小さなケーキ。



「甘いものは好きだよ。ありがとう。いただくね。」



アルフレッド殿下はリディア男爵令嬢に笑いかけると、彼女はいつものようににこりと笑った。



「ギルベルト様も、お嫌いでなければ、こちらも新作です。」



僕の前に置かれたのはチョコレートだった。



僕はケーキのような甘すぎるものは嫌いだが、チョコレートは唯一甘いもので好んでいる。

彼女は知ってか知らずか、僕と目が合うとまたにこりと笑った。



アルフレッド殿下は僕の前に置かれたチョコレートを見て、にやりと笑い、キラキラと目を輝かせた。



「ね、彼女って不思議でしょ?何もかも知っているようで、何も知らないふりをしている。のか、ただの偶然?もしくは察しがいい?本当、興味深いよね。」



アルフレッド殿下がまるで難解な謎を見つけた子供のように女性について楽しそうに話す姿は、初めてだ。





僕もさっきもらったチョコレートをパキッとかじり、彼女を目で追った。

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