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不思議な彼女

王宮の廊下を歩いていると、いつも通り、令嬢とすれ違うたびに話しかけられる。



「おはようございます。殿下。本日はとても天気に恵まれていますね。こんな日にはご一緒にお食事でもいかがですか?」



「殿下、もしよろしければ、美味しいスイーツが手に入りましてご一緒いただけませんか?」



もう慣れたものだ。

きっと婚約者を決めるまではこんな毎日が続くんだろう。



自分を婚約者候補だというイザベラは少し前までは、他の令嬢を押しのけ、図に乗り、わがまま放題だったが、「目が覚めた」といったあの日から、ずいぶんとおとなしくなった。



すれ違っても、挨拶だけ。



何かにつけて僕を呼び出していたのに、今は連絡一つ聞くことはない。



そんなことを考えていると、庭園のベンチでイザベラを見つけた。



ベンチの周りをうろうろとして何かを探しているようだ。

気にはなるが、近づかず、様子を見ていると不意に誰かに声をかけられた。



「アルフレッド殿下、おはようございます。」



「え、あぁ、おはよう。」



彼女が声をかけてくるなんて珍しい。



彼女は王宮のサロンで働く侍女だ。

いつも姿が見えた段階で、止まってお辞儀をして、そのまま無言で去っていく。

侍女らしい挨拶だけを交わす。



でも、彼女のことは覚えていた。

イザベラが「目が覚めた」といったあの時の侍女だ。



少し不思議だったんだ。



あまりに自然すぎたんだ。

イザベラのことを知らないわけがない。そんな相手に怯えるでもなく、僕も驚いたほどのイザベラの言動にあまりに普通に接していた。



ただ、イザベラを知らないほど新人だっただけかもしれない。



でも、それにしては対応が慣れていた。





それが少しだけ気になって覚えていた。





そんな彼女は僕を見ずに庭園にいるイザベラを見ていた。イザベラは、まだ見つからないのかきょろきょろとしていた。





「イザベラ様は何かお探しなのでしょうか?」



「あぁ、そうみたいだね。」



「あら、ベンチの下に何か光るものが見えませんか?」







ん?と目を凝らすと確かにベンチの下に何か光るものが見えた。



なんだ、あるじゃないか。



と思いイザベラを見ると、ここを探すのをあきらめるのか、どこかに移動しようとしている。



「ちょっと待って。」





走り出して、イザベラを止める。





「え?アルフレッド殿下?どうしてここに?」



その言葉に答える前に、ベンチの下に落ちていたものを拾う。



落ちていた物はイヤリングだった。



「探し物はこれかい?」



「すごい!なんでわかったんですか!?ありがとうございます!」







明るく喜ぶ姿に、つい、顔が緩む。

いつぶりだろうな、イザベラと揉めずに会話をするだなんて。





「向こうからベンチの下に何か光るものが見えるってなってね」





さっきまでいた場所を二人で見るも、もう彼女の姿はどこにもなかった。

そういえば、なぜ彼女はイザベラがイヤリングを探しているとわかったのだろうか。

なぜ、あの一瞬で見つけることができたのだろうか。



ただ光ったのが見えたから。偶然ともいえる。



でも、すべての流れがあまりにも自然だった。





なにも不思議じゃない。

でも、なにかが不思議だった。







気になる。



誰も解いたことのない難しいパズルのヒントを僕はつかんだようなワクワク感に満たされた。

退屈だった王宮生活が変わって見える。





これから楽しくなりそうだ。

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