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乙女ゲームのクライマックスは、

もうすぐ開催される夜会だ。印象的で、プレイしていた時はハッピーエンドだと思った。



いつものように言い寄る悪役令嬢をアルフレッド殿下は突き飛ばし、床に倒れこむ。

殿下を心配し、駆け寄る主人公はアルフレッド殿下の胸に抱かれ、守ってもらっている。

アルフレッド殿下は怒りに満ちた冷たい視線を私に送り、夜会に参加するすべての人に聞こえる大きな声で、私を断罪する。



「このものは、私に無礼を働き、婚約者でもある愛するリディアを傷つけた。」



リディアが婚約者だと知ったのもそのタイミングだった。

「殿下…!」と主人公は、婚約者の言葉に反応し、幸せに満ちた顔をする。

その主人公に愛情いっぱいの顔を向けた後、アルフレッド殿下は悪役令嬢にまた冷たい視線を向け、騎士に指示をする。





「不敬罪だ。連れていけ。」





流れるように、言ったその言葉は、悪役令嬢の破滅を意味する。

悪役令嬢は騎士に必死に抵抗をするも、連れていかれてしまう。



その後、邪魔者は消えたと言わんばかりに主人公とアルフレッド殿下は甘い空気に包まれる。



「婚約って…」



「勝手に決めて申し訳ない。でも、リディアが好きなんだ。これからも一緒に居てほしい。」



主人公を抱きしめたまま、手を取り、甘い言葉を吐くアルフレッド殿下。

主人公は顔を赤らめ、

「もし許されるなら、ずっと殿下のそばにいたいです」

「僕は君の幸せを願うよ」



甘い幸せなラスト。自分が悪役令嬢になるまでは、私もこのラストが大好きだった。

身分を超えた愛。やっと結ばれた二人。





だったのに、

夢に見る主人公は、

断罪される私のそばに私をかばうように覆いかぶさり、泣きながら、必死に私を守ってくれている。

「やめてください!私はなにもされていません!」

「どうか、彼女を許して。」



なりふり構わず、必死に私を守ってくれる主人公だけど、



「あぁ、可愛そうなリディア。そう言えと言われたんだね。」



どんなに必死な主人公の声もアルフレッド殿下には届かない。



「ごめんなさい、ごめんなさい、また私のせいで。」

涙でぐちゃぐちゃになった主人公の顔。強く強く私を抱きしめるのに、騎士の手によってあっけなくはがされてしまう。



そして、また悪役令嬢は断罪される。



「次こそは、」



夢から覚める前に、現実と夢の曖昧な時に残る声。

あれは主人公の声なのか。それすらもわからない。



なんであんな夢を見るんだろう。

私はリディアさんの泣いた顔も声を荒げる必死な姿も見たことがないのに。



夢なのに、あまりにリアルで

鮮明で忘れることができない。

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