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花が咲いたら
昼下がり、訓練終わりに庭園の近くを通ったとき、
花壇を見つめるリディアさんの姿を見つけた。
「そこの花壇、ずっと気にしていますね。」
リディアさんに話しかけると、いつものようににこりと笑った。
「何色の花が咲くのか楽しみなのです。」
まだまだ固いつぼみを二人で見つめる。
「もうすぐですかね」
リディアさんの方を見て、笑いかけた。いつものようににこりと笑い返してくれると思っていた。
が、
リディアさんは目線を花壇から離さず、悲しげに笑った。
一気に心配が押し寄せる。彼女をこんなに不安にさせる理由は何?
少しでも、リディアさんの不安を取り除くことはできないだろうか。
俺には、
何ができる?
「花が咲いたら、また見に来ませんか?」
ふり絞った一言にリディアさんはやっと俺を見て、にこりと笑った。
「そうですね、花が咲いたら。」
その笑顔はいつものと違い、無理に笑っているようにしか見えなかった。




