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秘密

昼下がり、王宮の廊下を歩いていると、中庭でリディアとイザベラが話しているところが見えた。

最近あの二人が一緒に居る姿をよく見る。

仲がいい。というよりは、リディアがイザベラに用事があるような雰囲気。

ここからでは何を話しているかは分からないが、どうもリディアの指す方向にイザベラに行ってほしいような、そんな素振りだ。



イザベラはリディアに手を振り、リディアの指した方に向かい、角を曲がると姿が見えなくなった。



リディアはその様子をお辞儀して見送り、廊下に近づき、

通路の死角になるところでリディアは止まった。

通路の陰に隠れながら廊下を覗く。



リディアのこういう場面を何度か目撃したことがある。

何かを企むように、ただ何かを待っている。

今回も、また。





今、声をかければ、

少しは驚く顔が見えるかもしれない。





足音も立てず、少しずつ近づく。

こちらには気づいていないようで、

俺は柱に手を置き、リディアの目の前に立った。

俺の陰がリディアを覆う。



「よう、ここで何をしている?」





自分でしておきながら、緊張してしまい、下手な言葉遣いになる。



そんな俺の動揺をよそに、

リディアは、驚きもせず、いつものようににこりと笑って、俺の目を見る。





その表情からは何も読み取れない。

ただ、



「秘密です」





とニヤリと笑うように人差し指を口元に持っていく姿に

こんな冗談みたいなことも言うんだ。と

予想外の反応に少し、戸惑ってしまった。





このままの姿勢なのも気まずいと、俺は柱から離れ、廊下に一歩出た。



何かもう一言、会話を続けたい。



「、」



口を開けるだけで、何か声を発するより前に、

通路の少し向こうから話し声が聞こえてきた。

聞きなじみのある声だ。



途端に俺は口を閉じてそちら側を見る。



アルフレッドと宰相の息子ギルベルト。あと、イザベラ伯爵令嬢がこちら側に向かって歩いてきている。



あぁ、この3人を待っていたんだな。





そういえば、リディアが何かしようとしているときにはこのメンツがかかわっていることが多いな。いや、むしろ、必ずか?



横目でリディアを見ると満足そうに笑っていた。



「ん?そこにいるのはアベルか?」



アルフレッドが俺に声をかけるなんてずいぶんと機嫌がいいんだな。

と思いながら軽く手を振り返す。



「ずいぶん、機嫌がよさそうだな。」



「あぁ、探していた書類が見つかってね。時間ができたからお茶でもしようかと庭園に向かっているんだ。一緒にどうだ?」



本当にずいぶん機嫌がよいらしい。



お茶するなら、いい人が、



と声に出す前にリディアの方を見ると、そこには誰もいなかった。



ふん。



やっぱりあいつは霧のように消える。

そのことはわかっていたが、なんだかあいつらしい。と、鼻で笑った。



ここにリディアがいたなんてアルフレッドには言わない方がいいだろう。

あいつのことだ。俺がリディアと会っていたなんて知ったら、せっかくよかった機嫌が急降下するだろうからな。

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