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男子高校生、悪役令嬢に転生して断罪されましたが 、追放の瞬間に記憶が戻ったのでハーレム作って魔王ぶっ倒します  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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家の動向について

「ルーチェ、ちょっと良いかしら?」


 寝る前に俺はあの事を訊いてみたくなった。


「はい、何でしょうか?」


「父上や母上はどんな状況でしたの?」 


 本当に俺を追放したくて、署名したのか。

 確かに記憶のある限り、完璧な悪役令嬢ムーブをしていて、婚約破棄されるのは相応しいかもしれない。

 でも、法の外に置かれるような爵位剥奪を認めたのだろうか。

 遠回しに俺に”死ね”と言われるような事だろ。

 だからこそ、屋敷の中にいたルーチェに訊いてみたかった。

 平然としていたのか、それとも……


「……お二方とも平然としていました」


 言い淀みながらルーチェは答えていた。

 するとポップアップが表示された。


ーーーーーーーーーー

【真偽解析 発動】

対象の発言:『お二方とも平然としていました』

判定:虚偽

ーーーーーーーーーー


「やっと出てきたのね……」


 あのスキル、飾りだと思っていたがちゃんと表示されるんだな。

 判定の文字は赤くなっている。分かりやすいな。

 でも、この赤い文字を見た瞬間、胸がちくりと痛んだ。


「どうしました?」


 ルーチェがきょとんとしていた。


「ううん、何でもないわ」


 平然としていたのは嘘だった。

 つまり、二人とも色々とあったという事か。


「ねえルーチェ、平然としていたのって、嘘よね?」


「お嬢様……何故そう思うのですか?」


 聞き返されたけれども、『UIに嘘って表示されたから』っていうのは通じないだろうし……

 どう言えば良いのか。


「わたくしの側にどれだけ居たと思っているの。それくらいは分かるわ」


「そうでしたか……心配をかけさせたくなかったのですが」


 今度はポップアップは表示されていない。

 どうやら本当みたいだな。

 もしもこの言葉まで”虚偽”だったらどうしようかって思ってしまったが。

 優しすぎて嘘になった訳だな。


「逆に心配になるわ。だから、真実を言って」


「はい……お嬢様、アレクサンダー公は昨夜酒を酔い潰れるまで飲んでいました。私達にも当たりはしませんが、酒を要求いたしまして……途中には泣き崩れていました」


「それって……わたくしの追放が不本意だったみたいじゃないの」


 完全に酒へ逃げている状態だ。ドラマとかで見たことあるやつだな。

 本心で書いたのだったら、こんな状況になことはない。

 むしろ嬉しく思っているはずだ。

 やはり……


「奥様は憔悴しきっていて、お嬢様の肖像画を抱いて泣きすがっていました。朝には顔色が悪くて……」


「そうだったの……」


 ルーチェの発言に対して、ポップアップが出ていない。

 つまり真実なんだ。

 二人にとって俺が追放されたのは、本心ではないという事。


「貴女はどこでわたくしが追放されたって事実を知ったの?」


「今朝です。アレクサンダー公は二日酔いになっていましたが、訊いてはっきりと真実を……」


 遅かっただけなら、あの王子と楽しんでいたって分かるが……

 朝になっても帰ってこないから訊きたくなるだろう。二日酔いになっていたけれど、話したんだ。


「ありがとう……良かった……」


 本心で追放したわけじゃないって分かった。

 それだけでも、俺にとっては嬉しい気持ちだった。この世界の両親は俺を捨てたわけじゃないから。

 確かに俺の行動を問題視していたのかもしれないが、それでも追放されるほどじゃないって思っていたんだな。

 なのに二度と会うことが出来なくなる。

 そんなの……ショックでしかないよな。

 俺だって同じになる。

 いつの間にか目が潤んできた。

 女になっているから、涙腺が緩いのかな……

 目の奥が熱くなる。男子だった頃より、ずっと涙がこぼれやすい。

 この身体は泣くことに抵抗がなくて、余計に耐えられなかった。


「大丈夫ですから。魔王を倒したら、戻れますよ」


 ルーチェは俺を抱きしめてくれた。

 優しくて温かみがある。

 彼女はメイドとして寄り添っているのか、ルーチェとして抱きしめているのか俺には分からない。

 それは彼女にも感じているようだった。


「ルーチェ……」


 途中、力が入りすぎていた。


「申し訳ありません……」


 だけどそれに気がついて、力を弱める。

 抱きしめられているうちに、ルーチェの女性としての香りや温度が伝わってくる。


(凄え良い香り……しかも柔らかいな……)


 男子としての気持ちなのか顔が紅くなってきた。

 涙は流しているのに、赤面している。

 女子としての部分と男子としての部分が混じり合っていた。


「でも、そうね……」


 涙はしばらく止まらなかったけれども、悩んでいたことが一つ消えた。

 俺を追放したくて署名したんじゃない。

 騙されたんだって。

 ルーチェが真実を教えてくれた。

 俺は魔王を倒すためだけに旅をしているんじゃない。

 王子に真実を突きつけて、家族に胸を張って帰るためだ。

 だから、魔王を倒さないといけない。

 無事に帰って喜ばせたい。

 そう誓ったのだった。

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