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男子高校生、悪役令嬢に転生して断罪されましたが 、追放の瞬間に記憶が戻ったのでハーレム作って魔王ぶっ倒します  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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交易都市シエラニコシエ4

 食事が終わったので、俺は街中を歩いていく。

 朝のシエラニコシエは完全に動き始めていて、人通りもさっきより多くなっている。


「あれが依頼掲示板ね」


 中心に近い広場。

 その掲示板に人だかりが出来ている。

 旅人や冒険者が多くて、依頼を受けようとしているのが分かった。


「何か良いのがあるかしら」


 掲示板の中身を見ていこうとするが、そこにルーチェが話しかけてきた。


「あの治療師ちりょうしの話、少し気になりますね」


「ええ。確かにね」


 俺はさっきの話を思い出した。

 変わった治療師がいるらしいな、この街には。

 そういえばあの聖女エミリアって、増やす奇跡を起こしたらしいって。

 治療師は治す奇跡を起こすのだろうか。

 似ているようで違っているな。


「もし良かったら、その方に会ってみませんか?」


「そうね」


 助けを求めるほど、困っているわけじゃないけれど。

 俺達は好奇心と引っかかりから、依頼を受けるよりもその治療師と会うことにした。

 とりあえず、近くにあった薬屋へ行ってみることに。


「変わった治療師の話?」


「そう。知っているのかしら?」


 薬屋の男性は考えながら、心当たりのあるようだった。


「腕はあるみたいだけど、面倒な人物らしくて」


「面倒? どんな風に?」


「そこまで分からないな」


 その治療師の話には、そんな評価が出てきていた。


「無料でやらないが、法外でもないがな」


「へぇ、どこにいるか知っているのかしら?」


「それは分からないな。表通りじゃないのは確かだが」


 薬屋から引き出せたのは、それだけだった。

 とりあえず真実みたいだな。

 知っている人はそんなに多くなく、知らない人物の方が多かったと思う。

 次に情報を引き出せたのは、衛兵だった。


「変わった治療師の話は知っているかしら?」


「ああ、あの治療師か」


 思い出したように話していった。


「トラブルには関わらないが、最近の死人は減っているな」


 たった一言だけであったが。

 やはり薬屋と同じような事を言っているな。

 そして場所などを引き出せたのは、露店ろてん老婆ろうばからだった。


「おまえさん、ペネロペに会いたいのかい?」


 訊きだしているのを知って、話しかけてきた。

 ペネロペっていう名前なのか。


「そうよ」


「あの道を通った先に、あるさね。あの治療師に治された者は、二度と泣き言を言わなくなるらしいさ」


ーーーーーーーーーー

【真偽解析 発動】

対象の発言:『二度と泣き言を言わなくなる』

判定:脚色きゃくしょく

ーーーーーーーーーー


 するとUIが表示された。

 脚色されているのか、でも本当の部分はあるんだな。

 というよりも、自分から行かなければ、関わらずに済んだ話なのかもしれない。


「ありがとう」


「お嬢さん方、ちょっと待って」


 行こうとすると、老婆は商売根性があるのか、俺達を止めてきた。


「どうだい、これ安くしとくよ」


 干し肉を差し出された。

 嘘は表示されていないから本当みたいだな。


「いただくわ」


「ありがと」


 情報を貰ったから、仕方ないと思って買うことにした。


「お嬢様、それを何度もしていたら破産しますよ」


 ルーチェが注意してきた。


「分かっているわ」


「ですが場所は分かりましたし、行きましょう」


「ええ」


 俺達は表通りから外れた、路地を進んでいく。

 建物と建物の間で薄暗く感じる。

 さびれた感じはするが、貧民街スラムでもない場所。

 物乞ものごいも見かけなかった。


「ここですわね」


 意味不明な印の看板が掲げられている。

 老婆が言っていたのは、おそらくここ。

 人は並んでいないが、扉には出入りしている痕跡があった。


「聖女様とは、真逆の位置にいる方ですね」


「そうみたいね」


 扉に手を掛けようとしたが、一瞬だけためらった。

 『助けを求める形になるのでは?』という意識があったからだ。

 街道の人物・・のように。

 違う。俺は、ただ話を聞きに来ただけだ。


「入っても良いのかしら?」


「ここは、助けを”頼む場所”ではありません。判断を”下される場所”です」


 ルーチェにそう言われて、中に入った。


「いらっしゃい」


 中には誰かいるみたいだった。

 治療台と思わしきベッド、医療道具が目に入った。

 そしてゆっくりと俺達の前にやってきた。


「治してほしいの。それとも、”見なかったこと”にしてほしいの?」


 話しかけてきたのは治療師と思わしき女性。

 パーカーを被っているけれども、女性の姿だっていうのははっきりと分かった。

 治療師の言葉に、一瞬だけ俺はたじろんだ。

 それでも言葉を出していく。


「……話を、聞かせてほしいの」


 そう言うと、治療師は小さく笑った。


「なら、入って。でも、正しさは、ここでは通貨にならないから」

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