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男子高校生、悪役令嬢に転生して断罪されましたが 、追放の瞬間に記憶が戻ったのでハーレム作って魔王ぶっ倒します  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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16/20

信じると言った責任

 宿屋に戻って、夜を迎える。

 村の喧騒が遠のき、部屋には俺とルーチェの二人が。

 部屋はランプの灯りだけで照らしていた。

 ルーチェはベッドの端で装備を調えて、宿を出る準備をしていた。

 俺は椅子に座って、手袋を外していた。

 いまのところ会話はあまりなく、静寂に近い状態が部屋で起こっていた。


「はぁ……」


 手袋の中にある俺の手は、綺麗でほっそりとしたもの。

 ただ杖や短剣を握っているから、多少なりともタコはついているけれど。

 転生前の手とは違っている。

 スポーツをやっていたから筋肉質だったのに。

 でも今の俺は悪役令嬢グローリアだから仕方ない。

 受け入れるか。

 それよりも……


(やっぱり残っているよな)


 俺は過去のログを見つめていた。


ーーーーーーーーーー

【真偽解析 過去ログ】

対象の発言:肯定

判定:虚偽

ーーーーーーーーーー


 はっきりと子供に言った事が虚偽であることが残っていた。

 『ねえ、お姉ちゃん達は聖女様を信じるの?』、それに対して『ええ』という肯定。

 俺を断罪したエミリアを信じるわけにはいかない。

 でも、子供に対して俺の感情で信じないなんて言えなかった。

 あの子を裏切れなかったし、悪意なんて無かった。

 だが冷たくUIは”虚偽”と表示された。


「間違っていないわ」


 真実を守ったか? いいえ。

 正義を守ったか? いいえ。

 子供の希望を守ったか? たぶん、はい。


 自分を守ったか? 間違いなく、はい。


「わたくしは、嘘をついた。でもそれは、誰かを傷つけないための嘘だった」


 その事実だけは、俺の中で変わらなかった。


「ルーチェ」


「はい」


「さっきのこと、どう思った?」


 彼女に問いかけることにした。

 手を止めて、俺の話を聞いていく。


「何が、でしょうか」


「わたくしが子供の話に頷いたこと」


 ルーチェは即答しなかった。

 少ししてから微笑みながら話していった。


「お嬢様は、嘘をついたのではありません」


「……?」


「選んだのです」


 俺が選んだ?

 一瞬だけ俺は飲み込めなかった。

 でも少しずつ理解していく。


(ああ。それは、”信じる”よりもずっと重い言葉だ)


 それからルーチェはゆっくりと本音を語っていく。


「聖女という存在が、必要とされているのは理解しています。魔王や魔物に脅かされているこの状況でしたら、なおさらです」


 ルーチェの言っていることは正しい。


「ですが”信じたい”と、”信じている”は違いますから」


 彼女が付け加えた事。

 それこそが、彼女に対しては『一部虚偽』というウィンドウが出てきたのだろう。


(エミリアが聖女だから、信じられないんだろうな)


 ただ聖女という存在は否定できない。

 かつて見た歴史書でも、聖女は奇跡を起こしている。

 この世界状況だったら聖女を必要としている。

 だからこそあの子も聖女に期待している。


「あの子に信じると口にした以上、わたくしはーーその”嘘”の責任を取らないといけない」


 ならば俺は、”裏側”を見届ける役になろう。

 そう決めながら、眠りにつくことにしたのだった。


ーーーーーーーーーー

◆内面状態更新

信念:未確定

社会適応:維持

自己認識:深化

ーーーーーーーーーー

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