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男子高校生、悪役令嬢に転生して断罪されましたが 、追放の瞬間に記憶が戻ったのでハーレム作って魔王ぶっ倒します  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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信用は戦闘より重い

 盗賊に勝った後、道を進んでいく。

 人とすれ違う事はあったが、敵意ある人物ではなく、ただの旅人といった感じの人達ばかりだった。

 草木がまばらだが、はっきりとした道を進む。

 やがて建物が地平線から出てくるように見えてくる。


「見えた。あそこが目的地だ」


「もうすぐ着きますのね」


 結構移動してきたな。

 依頼内容に半日かかるというのは、嘘じゃなかったんだ。


「ああ。正直に言うが、途中で荷を捨てて逃げる覚悟もしていた」


 行商人はさっきの事を思い浮かべるようにしながら話していく。

 確かにあんな盗賊が出てくるんだったら、荷を捨てる可能性だってあるよな。

 補助を頼むことも仕方ないかもしれない。

 交易路だったら、頻繁に通るから盗賊が狙っているっていうのもおかしくないか。


「ですが、そうなりませんでしたね」


「君達が居たからだな」


 荷馬車は目的地へと入っていく。

 そこは大きめの市場であり、人々で賑わっていた。


「着いたぞ」


 市場の大通りを進んでいって、とある場所で荷物を下ろすことに。

 そこには大きめな建物があった。

 俺達は縄を解いていって、荷馬車から下ろしていく。


「よ、よいしょ」


「大丈夫ですか?」


「ええ」


 重さはあるが何とかなる。

 この身体でも多少は筋力があるんだな。

 というか、ついたといえるな。


「どれどれ」


 行商人は一品一品確認していく。


「全部無事だ。破損も、欠品もない」


「それは何よりですわ」


 俺は胸を撫で下ろす。

 無事に目的地まで運べたことに安心したから。


「いや、”何より”どころじゃない。これは完璧だ」


 行商人は嬉しそうにしていた。


「お役に立てたのなら幸いですわ」


 ルーチェは微笑みながら、その様子を喜んでいた。


「役に立った、どころかーー命を救われた」


 はっきりと行商人は俺達を見ていた。

 疑いの目なんて一切無い。


「約束通り、銀貨二枚だ」


 彼は銀貨を俺に差し出した。

 依頼通りの金額で、達成したという感じに。

 それを補強するように、ウィンドウが出てくる。


ーーーーーーーーーー

◆依頼完了

護衛評価:優

追加評価:危機対応

※王都関係フラグ:未照合

ーーーーーーーーーー


「確かに受け取りましたわ」


 手袋越しにはっきりとした銀貨の感触。枚数も合っている。

 でも行商人はもう一枚差し出してきた。


「それとーーこれは、俺からの上乗せだ」


 もう一枚が手に乗っかる。

 三枚の感触になった。


「依頼内容に含まれていませんわよ?」


 二枚のつもりだったんだけどな。


「盗賊に遭った場合の想定は”逃走”だった。だが君達は”守り切った”」


「お気遣い、感謝いたします」


 ルーチェは頭を下げた。


「いや。これは報酬だ。断られると困る」


 俺は少し考えたが、彼の気持ちを受け取ることにした。

 拒否すると気まずいし、貰えるものだったらもらいたいしな。


「ありがたく頂戴いたしますわ」


「それでいい」


 行商人は頷き、顔をほころばせる。


「マルム村まで気をつけてくれ。あと、君達はどこへ向かうんだ?」


 さらには、俺達にふと訊いた。

 確かにマルム村を出ていった先の目星はつけていなかった。

 マップの方向に従って、進んでいけばいいと思っていたが。

 状況によって変わるかもしれない。


「まだ決めていませんわ」


 俺はそう答えるしかなかった。


「なら、南の交易都市シエラニコシエへ行くといい」


 すると行商人は宛てを教えてくれた。

 その名前は、聞いたことのあるようでないような。


「何か、理由が?」


 その場所を教える理由を、ルーチェが訊ねる。


「腕の立つ旅人を探している商人が多い。人も多いから、噂も立ちにくい」


「噂、ですか」


「ああ。”前婚約者”の話だ。ああいうのは、街道を越えると歪む」


 俺は何も言えなかった。

 彼はどこまで知ったのだろうか。

 分からないが、彼は俺達を信用しているのは確かだ。


「覚えておきます」


 ルーチェがそう言っただけ。


「それとーーその人を手放すな。命を預けられる相手は、そう簡単に見つからない」


「ええ。勿論ですわ」


 ただその言葉には、俺は頷きながら返答した。


「短い間だったが、信頼できる護衛だった」


 やがて行商人は手を差し出した。


「こちらこそ、良い経験になりましたわ」


 差し出されたその手を握り返す。


「また会おう、”グロリア”」


「ええ、いつか」


 俺達は彼と別れて、マルム村へ戻ることにした。

 多少とはいえ、宿屋に荷物が残っているからな。


ーーーーーーーーーー

◆関係性更新

行商人オイラー・アーデルシュタイン

・社会的評価:微上昇

・所持金:安定圏突入

ーーーーーーーーーー


 マルム村へ戻る途中、達成感が心を満たしていた。


「働いた、って感じがしますわね」


 二回目であるがな。


「はい。立派なお仕事でした」


「命を懸けて、銀貨三枚」


 多いのか少ないのか分からない。

 だが、はっきりとした重みがあった。

 銀貨そのものの重みだけじゃないものも。


「ですが、”自分で稼いだお金”です」


 ルーチェが持っていたものとは別。

 はっきりとした俺が獲得したもの。


「ええ」


 俺は少し笑いながら、高く昇っている太陽の方向を見る。

 追放された令嬢でも、働いて、生きて、信用される。それだけで、少し救われた気がした。


「ねえ、ルーチェ」


「はい」


「次はどこへ行こうかしら」


 マルム村へ戻った先。

 準備を整えたら村は出たい。

 出た後の行き先なんだが、あの行商人が言っていた交易都市へ行ってみるのもいいな。

 新しい仲間ーー俺のハーレム計画の一員だって欲しいから。

 ただ俺よりもルーチェの方が、この世界の地理は知っているかもしれない。

 彼女の意見も聞きたかった。


「どこへでも。お嬢様と一緒なら」


 ルーチェは微笑みながら俺を見ていた。

 俺も頷いて微笑む。

 それなら、俺が決めれば良いか。


「なら南ね。シエラニコシエ。行ってみましょうか」

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― 新着の感想 ―
独特な設定が素晴らしいと思います。続きも期待しています。
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