美味しいスープ
「ふぅ、帰ってこられたわね」
「少々狼が襲ってきましたが、何とか無事ですね」
俺達は採取したグリーンリーフを持って、マルム村へ戻ってきた。
依頼した青年のところへ。
「お待たせしましたわ、依頼なさったグリーンリーフですわ」
依頼品を見せると、青年は喜んでいる様子だった。
俺達を見る目も優しい。
「ありがとう! あの辺りは狼が出てきていたから、大変だったんだよ」
(やっぱり出てくるんだ)
でもこんなに嬉しそうな表情をしてくれるなら、あの戦闘も報われるな。
青年は報酬の銀貨を渡した。
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◆依頼達成
報酬:銀貨三枚
村での信用度:+小
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「また機会があったら頼むよ」
グリーンリーフを抱えながら、手を振っている青年。
初めて依頼を達成した。
今まで遊んでいたRPGのゲームだったら、何回も達成しているけれど、実際にクリアするとこんなに満たされるんだな。
「案外やれるじゃない」
バイトの初仕事もこんな感じだったっけ。
実際に教えてもらいながら、こなしていったし。
それに通帳を見て、給料が入金されているのでより実感したっけ。
「お嬢様なら当然です」
ルーチェが微笑んでいる。
この笑顔が俺の達成感を補強してくれて、心を温かくしていた。
彼女のためにも、もっと依頼をこなさないとな。
「お腹がすいたわね」
依頼を終わらせたから、一気に空腹感が出てきた。
俺は腹を軽く撫でながら、空っぽであることを確認する。
「では宿屋へ行きましょうか。食堂もありますので」
「それがいいわね!」
という事で、泊まっている宿屋へ行ってご飯を食べる。
宿屋に入ると、昨日と同じようにスープの匂いが漂っていた。
昨日よりもこの匂いは、腹をより空かせてくる。
俺達は注文をして、パンとスープが出てきた。
「いただくわね」
口に運ぶと、スープのおいしさが口に広がっていく。
シチューみたいな濃厚さがあり、パンと合っている。
「美味しいわ!」
「そうですね」
ルーチェも嬉しそうにしていて、より達成感を感じていた。
俺はどんどんスープを飲んでいく。
ちょっと令嬢としてははしたないかもしれないが、ちょっと早めに食べていた。もっと、味わって食べればいいのにな。
「よろしければ、私のも」
俺の様子を見ていたルーチェが差し出していた。
「そ、それは大丈夫よ」
流石にルーチェのも食べるわけにはいかない。
それは拒否した。
「では、スープをおかわりで。一人分だけで大丈夫ですので」
「いいの?」
まだ銀貨を持っているが、大切に使わないといけない。
それなのに、俺が食べているのを見て使うなんて。
「はい。これだけ食べているですので」
「……ありがとう」
これはなんとしても依頼をこなさないとな。
ルーチェのためにも。
「そういえば、殿下の婚約者が変わったらしいな」
出てきたおかわりも食べて、腹が満たされてきた途中、旅人が噂をしていた。
殿下の婚約者って、俺やエミリアの事だよな。
「ああ。新しく婚約者になったのは、エミリア様だっけ?」
「そうだ。エミリア様って、聖女になるって話だぜ」
確かに聖女候補となっていたが、完全に聖女になるんだな。
婚約者だからこそ、教会も認めるという事だろうか。
「凄いな。にしても前の婚約者はどうなったんだ?」
「破棄されたのは確実だが、これ以上はまだな」
俺のことはまだ、大きく出回っていないみたいだな。
エミリアの事が出ているだけ。
「そうか。結婚したら、盛大な結婚式が行われるし、行ってみたいな」
「俺もだ」
二人は笑い合っていた。
これは、俺が爵位を剥奪されたって噂が広まるのも、時間の問題だな。
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◆ヒント
”優しい場所”は
長くは残りません
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