表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢、ただいま国を立て直し中  作者: AAA
第三部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/29

番外編:紅茶館の災難(お客様感謝デー編)

朝。

いつもより派手な装飾の紅茶館。

入り口にはリボンと花のアーチが飾られ、張り紙にはこうある。


【本日限定!紅茶館お客様感謝デー!】

特別ゲストによる一日店員企画開催!


――そう、事件はここから始まった。


「……一日店員を頼んだのはいいけれど、まさかお二人が名乗り出るとは……。」


カウンターで顔を覆うヴィオレッタ。

なぜか一番張り切っているのは、よりによってこの二人だった。


「おい、次のお客様のオーダーは?」

「紅茶とケーキのセット、ですわ。」


「了解した。では俺が持って――」


「宰相閣下! トレイは水平に!」

「わ、わかっている! この俺にできぬわけが……あっ!!」


(ガシャーン)


テーブルに優雅に舞い降りる紅茶――いや、紅茶まみれの宰相。

客席からどよめき。


「お嬢様、宰相が倒れたー!」

「誰かナプキンをー!」


ヴィオレッタは深いため息をつきながら、

「……やはり、接客より“防衛省案件”のほうが得意ですわね。」


一方その頃。

外ではアレクサンドルが張り切っていた。


「紅茶館、只今イベント中!

 笑顔の店主ヴィオレッタ様がお待ちしてますよ〜!」


通行人に爽やかに声をかける姿は、まさに王子の風格。

……だが、問題はその後だった。


「こちらの“宰相ブレンド”を飲むと、恋愛運が上がります!」

「えっ!? ほんと!?」

「なんと“宰相が焦るほどの味”!」


(店の中で聞こえるレオンの怒鳴り声)

「おい貴様! 誰が焦る紅茶だ!」

「事実だろう? 昨日焦ってたじゃないか。」

「言うなあああ!!」


・紅茶を運ぶたびに皿を落とす宰相。

・宣伝のたびに女性客を増やす王子。

・そして対応に追われる公爵令嬢。


「……もう、どちらが国を動かしているのか分かりませんわ。」


「レオン、もっと笑顔を!」(アレク)

「貴方に言われたくない!」(レオン)

「ではヴィオレッタに手を振って笑ってみろ。」

「なぜ私がそんな……!?」

「ほら、客が見てるぞ!」

「くっ……こうか?(ぎこちない笑顔)」


「ぎゃあっ! 宰相が笑った!」「珍しい!」

「国の奇跡だ!」


店内が歓声に包まれた。


ヴィオレッタ(心の声):

(もう……紅茶館が外交の最前線になってますわね……)


イベントも終盤。

ようやく落ち着いた頃、リュシアンが言った。


「お嬢様! “特別景品くじ”がまだ残ってます!」


「……あら、それは確か“1等:ヴィオレッタ様とのお茶会券”では?」


その瞬間、

二人の男の動きが止まった。


「ヴィオレッタと……お茶会?」(レオン)

「一対一?」(アレク)


沈黙。


「……私が引こう。」(レオン)

「いや、私が。」(アレク)


「お二人とも! くじはお客様のものです!」


「いや、私も客だ!」(レオン)

「外交特使も客だ!」(アレク)

「……やめてくださいまし!!」


結果――

一等を引いたのは近所の老婦人。

ヴィオレッタは心から安堵し、

二人の男は同時にため息をついた。


夕暮れ。

片付けを終えたヴィオレッタが、静かに紅茶を淹れていた。


「……やっぱりお客様感謝デーは、年一で十分ですわね。」


「いや、次は“紅茶外交フェス”をやろう。」(アレク)

「次こそ完璧な接客をしてみせる。」(レオン)


「……次がある前提で話さないでくださいまし!」


店内に笑いが響く。

紅茶の香りが、夕焼けに溶けていった。


紅茶館、本日も平和(?)なり。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
多数作品掲載中 AAAのnote
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ