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悪役令嬢、ただいま国を立て直し中  作者: AAA
第一部

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2/29

第二章:下剋上は紅茶とともに。

「それで──どうして王城の会議室に、私が呼ばれているのかしら?」


私は優雅に紅茶をすする。

相手は、あの第二王子アラン。昨日まで断罪してきた張本人である。

……あ、補足すると“元・婚約者”ね。

もう「様」付けする気も起きない。


「ヴィオレッタ。昨日の件は……いや、まずは謝罪を──」


「謝罪は三杯目の紅茶のあとにお願いします。」


「三杯目……?」


「許す気はありませんが、聞くだけなら紅茶三杯分の時間は差し上げます。」


アランは困った顔で頭を掻く。

うん、いい感じに狼狽えてる。

昨日まで「断罪する側」だったくせに、今や立場が逆転。

まさに下剋上。紅茶の香りと勝利の味は似ているのね。


そこへノックの音。入ってきたのは陛下付きの宰相閣下――

つまり、王国の実務を牛耳る男だ。


「ランベール嬢。国王陛下より命を預かってまいりました。」


「まあ、わたくしに? まさか新しいドレスの予算ではなくて?」


宰相は書簡を開き、淡々と告げる。

「……本日をもって、貴女を王国監査官代理に任命する。」


「はあ、代理。」


「本官が出張中のため、実務を任せたいと。対象は──侯爵家の財務記録。」


「リンドール侯爵家、ですね?」


「……察しが良すぎる。」


にっこり。


王子が慌てる。「ヴィ、ヴィオレッタ、それは待て! 彼らを敵に回せば、国内の商人たちまで──」


「問題ありませんわ。彼らが敵に回るなら、正義と経済の両方を味方にするまでです。」


そう言って立ち上がる。

扇子の先で机をトン、と叩くと、風がふわりと流れた。

――実は昨日から、王都の商人ギルドにちょっとした「依頼」を出してある。


「“侯爵家の横領が発覚した場合、王室に全額返還すれば税を一年免除”って条件をね。

あら、もう街では噂になってる頃かしら?」


「な、なんだと……!? そんなことを勝手に──!」


「勝手? いいえ。王妃教育の一環で学んだ“政治交渉”の応用ですわ。」


アランは絶句する。

宰相は口元を押さえ、何かを堪えるように肩を震わせている。

……笑ってるわね? あなた。


「ランベール嬢、見事だ。陛下が仰った通りだ。

“あの娘を敵に回すな。今度は味方にしろ”と。」


「まあ、お褒めいただき光栄ですわ。ところで陛下の味方なら──予算の件も少し、融通していただけるかしら?」


「……紅茶代、という名目なら可能だ。」


「ええ、それで結構です♡」


私が微笑むと、宰相が頷き、王子がため息をついた。


こうして、断罪された“悪役令嬢”は王国の権力中枢へと滑り込み、

次なる獲物──腐敗貴族どもを紅茶片手に狩りはじめるのであった。

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