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悪役令嬢、ただいま国を立て直し中  作者: AAA
第一部

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第十二章:王都の陰謀 ―紅茶館の策略を越えて―

王宮の闇は厚く、静寂は時に刃よりも鋭く感じられる。

紅茶館でなら、香りで相手の心理を読むことができた。

だがここは、石造りの廊下と夜の闇だけが相手――。


「ヴィオレッタ、慎重にな。」

レオンが低く囁く。

私の横を歩く影が、彼の警戒心を物語っていた。


「ご安心を。紅茶館で培った“観察眼”があれば、このくらい――」

言いかけて息を止めた。

廊下の奥から、誰かの微かな呼吸と、紙をめくる音。


「……なるほど。罠ですわね。」

私は小さく息を吐き、衣の裾に隠した小型魔導符を手で押さえる。

“音を拡散させ、敵の位置を把握する符”だ。

微かな光が走り、書類を漁る刺客たちの視線が揺れた瞬間を逃さず、私は一歩前に出る。


「……紅茶と同じね。熱いうちに仕掛ける。」

心の中で呟き、足音を立てずに進む。

レオンも私の指示に従い、完璧なタイミングで背後を警護する。


書類室に到達した瞬間、私は扉を開け、帳簿を手に取る。

「……これが、マルコム卿の計画書。」

膨大な数字と文書、裏金の流れ、教会派への支援の記録――。

すべてが王国の腐敗の証拠だ。


しかし背後に冷たい視線を感じた。

振り向くと、侍女の格好をした刺客が、静かにこちらを狙っている。


「……さて、戦略の見せ所ですわ。」

私は微笑みを浮かべ、カップを差し出すように手を伸ばす。

だが、カップの中身はただの水。

“心理戦”を仕掛けるための演出だ。

刺客は一瞬、動きを止め、表情が乱れた。


「動けば、ただでは済まない。」

レオンの声が低く響く。

その影が、刺客を包み込む。

刺客は一歩下がり、こちらを慎重に観察する。


「……貴女、ヴィオレッタ・ランベール。

 紅茶館での策略をここでも使うとは。」

刺客の声は緊張でわずかに震えている。


「ええ、王都では心理戦がすべてですもの。」

私はゆっくりと帳簿を開き、手元を示す。

「これを暴露すれば、王国の腐敗は明るみに出ます。

 そして、枢密卿マルコム卿は一瞬で孤立するでしょう。」


刺客は言葉を失い、視線が揺れる。

その隙に、レオンと私は書類を確保。

「次は、王宮の中枢に潜入します。」

私は低く囁き、冷たい闇の中を進む。


夜風が、石造りの廊下を揺らす。

紅茶館での策略は、ここでも通用する――。

だが、王都は一筋縄ではいかない。

ここからが本当の“心理戦”の始まりなのだ。

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