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悪役令嬢、ただいま国を立て直し中  作者: AAA
第一部

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第十一章:暗躍の枢密卿 ―王都への潜入―

夜明け前、王都への道は静まり返っていた。

馬車の車輪が砂利を砕く音だけが、森の静寂に響く。

背後には紅茶館の灯りが遠ざかる。

もう、戻れない――そんな感覚が胸を締め付けた。


「準備はできてますか?」

レオンが低く問いかける。

黒い外套の影に、刃のような緊張感が漂う。


「もちろんですわ。

 紅茶で命を守るのは得意ですから。」

軽口を叩くが、心拍は早い。

王都では、紅茶館での小手先の策略など通用しない。

ここは――完全なる政治の戦場。


馬車が城門を潜ると、王都の空気が重く感じられた。

街灯に照らされた石畳は濡れており、雨上がりの匂いが鼻をつく。

そして遠く、王宮の尖塔が月光を受けて冷たく光る。


「ヴィオレッタ、この潜入は一歩間違えれば、命の危険もある。」

レオンの声は冷静だが、確かな重みがある。

「……ええ、覚悟はできています。」

カップの湯気の中で鍛えた精神力が、今ここで役立つ。


宮廷内に潜入すると、暗がりに人影が見える。

枢密顧問マルコム卿の手先たちだ。

細心の注意を払いながら、私は紅茶館で覚えた“観察眼”を最大限に使う。


「……ここで、策略の第一手。」

私は小声で呟き、衣の裾から小型の魔導符を取り出す。

“監視者の視線を狂わせる符”だ。

静かに床に置くと、手先たちの視線が一瞬乱れた。

その間に、レオンと私は王宮内の奥へ進む。


「ヴィオレッタ、あの書類室に目をつけろ。」

レオンが指示を出す。

「マルコム卿の秘密帳簿……これを押さえれば、王都の陰謀を暴けます。」


書類室の扉の前で立ち止まり、私は息を整える。

鍵を開ける瞬間、胸が高鳴る。

「……私、緊張していませんわ。楽しみです。」

笑みを浮かべつつ、心の奥は刃のように研ぎ澄まされていた。


扉を開けると、中には膨大な書類と秘密の帳簿が積まれている。

「これ……!」

息を呑む。

すべてが、枢密顧問マルコム卿の陰謀の証拠だ。


しかし、背後に微かな気配があった。

振り返ると――侍女に紛れた刺客が、こちらを睨んでいる。

「……また、来ましたわね。」

私はカップの湯気のように、冷静に息を吐く。

「紅茶と同じで、心理戦は熱いうちに制するのが礼儀です。」


レオンが刃を抜き、影が二人を覆う。

ここから、王都の闇での本格的な攻防戦が始まる――。

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