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軽率な一言



「……ですから、わたしをお使いください。どのようなご命令であっても喜んでご奉仕させていただきます。だからどうか、どうか──おそばに置いてください。わたしにも背負わせてください、タイガ様。……お願い申し上げます」


 とても身勝手な要求だということは分かっていた。

 こんな分かりやすい引き留め方をしても、首を縦に振ってはくれないのだろうと最初から理解していた。

 それでも言わなければならなかったのだ。

 あのとき、黒騎士と相対したとき、私は彼に何も言えなかったから。

 だからもう後悔したくない。言葉にするべきことは伝えられるときに伝えるべきなんだ。

 たとえそれが無謀だと分かっていても──

 


「あぁ、ありがとうアイリス。そうさせてもらう」



 ──まさか。

 こんな奇跡があり得るのだろうか。

 どうか必要としてほしいと、身勝手に願った。

 そうしたら、必要としてやると彼はそう言ってくれた。

 わたしにとってこんなに都合のいい願ってもない展開がこの世にあっていいのだろうか。


「……は、あ。あぁ、ああ──ありがとうござます、タイガ様」


 幼い頃から教会への従事を強制されていたわたしを、冒険の日々へ連れ出してくれた恩人にして英雄。

 タイガ様が必要としてくれた。

 女性になどまるで興味を示さなかった彼が、わたしのことだけは受け入れてくれた。

 あぁ、信じられない。

 あぁ、こんな喜びがわたしの人生にあったなんて。

 タイガ様、わたしの、勇者様──

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