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反省と和解


 ──彼らが善良な人間だということは最初から分かっていた。

 世界を救済する資格のある人間こそが聖剣に適合できるため、召喚陣に反応してこの世界へ呼ばれた時点で二人の根底にある属性がヒトにとっての”善”であることは明確だった。


 けど二人ともちょっとばかり……というか結構なセクハラ人間だし。

 勇者パーティの一員として拒否しないようにはしていたけど、こんなえっちな人たちが勇者なはずはないとアタシは考え続けていた。

 アタシの中にあった勇者像は、清廉潔白な白馬の王子様という最近の幼い少女でも恥ずかしくて思い浮かべないような理想の人物だったから。

 タイガが寡黙で理性的な分、余計に彼女ら二人のアレさが浮き彫りになってきて心のどこかでこの二人を嫌いになりたがっていたのかもしれない。


 でも結局、思い返してみればやはり二人は優しいひとだったのだ。

 

「……申し訳ございませんでした」

「えっ」


 復讐だけを目標に、打ち解けようとしなかった自分を恥じた。


「待って待って、この流れで謝るのウチらのほう!」

「オレたちこのままだとセクハラして相手に謝らせたヤバい勇者になる──」


 タイガが復讐を果たさせてくれたおかげで狭まっていた視野を広げることができていたわけだが、もう少し早くこうなっていればどれほどよかったことか。

 アタシに気を遣ってトウマ様は先行した。

 復讐優先で自暴自棄になりがちなアタシを心配して、サヤ様は単独で群れを討伐しに向かわれた。

 もう少し仲間として接していれば。

 そんな後悔が胸の内からこみあげてくる。


 タイガに夢中だった。

 今も、きっとそうだ。

 この二人が目の前に現れさえしなければこんな気持ちになることはおそらくなかったに違いない。

 ただ墓標を何度も訪ねて軽く贖罪した気になって満足する日々だったかもしれない。


 肢体など見ればいい。

 胸など勝手に触ればいい。

 自分の世界から切り離されここに呼ばれた彼らの気持ちは、帰るべき故郷を失ったアタシこそ理解しなければならなかったハズなのだ。

 

「こ、こっちこそゴメンねぇ……! あわよくばおっぱい触れないかなって思いながらスキンシップしてました……」

「すまなかった! 結局エレナを置いてく形で死んだのは事実だし……ごめんっ!」

「アタシが……胸なんか触ってもいいと、言葉にしておけば……」

「それは違うんじゃないかな!?」


 そうしてお互いに感情を、思いついた言葉を後先考えずに出し続けて。

 ようやくアタシと彼ら二人は、仲間としての距離をほんの少しだけ縮めることができたのであった。







 ──ハッ。

 意識が戻った。戦況は、現状はどうなっているんだ。


「でも、やっぱりタイガが一番好きです……」

「こ、こんな後輩のどこが……あ、いや確かに良いとこしかない……? クッ、自慢の後輩め……!」

「ウチは六代目も好きだよぉ。十代目とエレナちゃんの次くらいに」

「ううぅっ……! 悔しいのに後輩が立派に勇者してて誇らしい……!」


 現状。

 どこかの民家のベッドの上で仲間の魔法使いに膝枕されながら、少女三人の団欒の中心。

 上におっぱい。

 左右にロリの柔らかい肢体。

 即座にこれは夢だと断定し俺は再び夢の中へと二度寝を決め込むのであった。おっぱい。

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