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気合いで解決

 さて、これで実家に帰ろう作戦の第一段階の進捗が大幅に進んだわけだが、ここで俺の背後霊に質問だ。


「で、翔太郎。さっきお前が言ったこともう一度言ってみろよ」

「……いや、いい。忘れてくれ」

「ダメだ。あの女装アカウント大学の同期にバラすぞ」

「う、うぅ……」


 珍しく弱気な翔太郎は視線を右往左往させて落ち着きがない。

 その理由はポコチンを倒した直後に、コイツ自身がぼそりと呟いた言葉にある。


「……その、ここにいる先輩たちの分のホムンクルスも作れないかなって」


 本当に、困ったことを提案してきやがった。

 俺たち二人だけでも元の世界に帰るのが大変だって話なのに、救助する対象を増やしてどうするんだ。

 確かに翔太郎はおっぱいコンプリート作戦に協力してくれてるし、先輩たちもこれまでの冒険のアドバイスや今回の四天王とのバトルにおける重要なサポートはしてくれたが……あれ。

 ──俺、結構お世話になってね?

 しまった、コレは参ったな。

 物理的にも俺の気持ち的にも先輩方を助ける理由がかなり沢山存在してしまっている。


 ……ダメだ。

 クールなキャラを演じる中で非情で冷徹で現実に即した合理的な判断ができるようになったと思っていたが、どうやら全然勘違いだったようだ。

 おっぱいを揉む。

 親友を蘇らせる。

 先輩方に恩返しする。

 やる事がだんだん増えてきて、なんか逆に楽しくなってきたな。

 これは俺個人のポリシーになるが、自分に対して好意的に接してくれた相手にはなるべく同じように好意を返し、恩義があるならそれに報いるべきなのだ。

 結果大学で増えたのは金と女に飢えたアルコール中毒の腐れ縁共だったが、毎回そうとは限らないだろう。

 少し大変だが先輩たちの分のホムンクルスも用意する。

 しかし、問題が一つ。


 翔太郎は幽霊で、先輩たちは亡霊──その違いは非常に大きい。

 

「仮にホムンクルスを用意したとして、だ。お前と違って先輩たちは肉体を得ても元の遺体があるこの場所からは動けない。そこんとこどうするって話よ」

「……元の肉体が別の場所に移動したら、彼らもそこに行けるの?」

「あぁ。この墓地に楔を打たれてるわけじゃなくて、遺体のある場所が先輩たちの魂の残留位置になる」


 ちょっと前に魔王軍のネクロマンサーから奪い取った魔導書の情報をドヤ顔でひけらかすと、翔太郎は数瞬考える素振りを見せたあと何か思いついたようにパッと顔をあげた。


「──遺体を持ち歩けばよくない?」


 その結論は、なんというか。


「お前、それは。……いい考えだな」


 またしても、目から鱗な意見であった。

 亡霊は、遺体のそばから離れられない。

 亡霊は、質量を伴う物質に触れることはできない。

 しかし仮に遺体に触れることができ、遺体を持ち運ぶことで常に魂の座標を移動させられる肉体があるとすれば、亡霊は自由に行動ができるということだ。

 さすが相棒。

 シリアス顔して俺の凝り固まった思考を揉みほぐしてくれた。とてもたすかる。


「先輩方に質問でーす。外見は選べませんけど、とりあえず生き返りたい人〜」


 質問の結果、全員が手を挙げた。驚異の団結力ですね。

 意見が揃ったのならやることは一つだ。

 さっそくホムンクルスの錬成を始めよう。

 必要なのはこの指輪と術式を書き記した紙と素材を代替する聖剣の光だ。

 聖剣のパワーは基本的にひなたぼっこで得た太陽エネルギーであり、この世界の人間と違って体内に魔力を持たない俺たち勇者がそれを引き出すために必要なのは、ズバリ生命力。


 平たく言えば──気合いである。


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