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74 キャラバン

 訳の分からない方向に吹っ飛んでしまった俺。

 気づけば知らない野原に着地していた。


 ああ、どこだよここ。もう何も考えなしに飛ぶんじゃなかったぜ。ほんと気分最悪です。


「でもなんとかして帰るしかないよな」


 その後俺はとにかく徘徊した。

 元いた街道村に帰るまでに三日かかった。


 夜に二回野宿し、もうだめかと思ったところでやっとの思いで元の道を見つけたのだ。

 途中違う村を見つけちまって思わず全員皆殺しにしちまったぜ。まぁ村とはいってもだいたい二十人くらいのしょうもない集落だったけどな。まぁ悪いとは思うが謝らない。俺は本当に気分が悪かったんだ。ストレス発散は人にとって当たり前の行為だ。



 そんなこんなでようやく元いた街道村に戻ってきたころには日も昇りきり普通に昼だった。


「マジでようやく帰れた……死ぬかと思った……」


 ほんとに余計なことをするもんじゃないと、俺は胸に誓った。

 俺が近寄っていくと、なんだか村が騒がしいことに気が付いた。


「ん? なんだ?」


「お、おい、あんちゃん!」


 俺の真後ろから声が聞こえた。

 振り向くとおじさんがいた。


「やぁ! 三日ぶり!」


「やぁじゃねぇよ! どこ行ってたんだよ。こっちは散々待って……って今はそれどころじゃない、早く!」


 なんだか慌てた様子のおじさんに従うようにして俺は脇にそれた。


「なんだよ一体。あの村が一体なんだっていうんだ。いっぱい人がいるのがおかしいのか?」


「そうだ、今あの村では兵による調査が行われている。むやみに近づくと犯人扱いされるぞ」


 なるほど、三日経ってそんなことになってたのか。それはちと意外ですな。いや当然のことなのか。でも三日ってかかりすぎじゃね? どんだけ鈍足なんだよこの国の兵士さんはよ。


「でも俺たち犯人っちゃ犯人だよな?」


「だからやべぇんだよ! 足がついたら終わりだ。次の街にもいられなくなるどころか、国中に指名手配されることにもなりかねん」


「なんだよそんなに焦っちゃって。そうそう俺たちの犯行がバレるとは思えないし、別にここにいるやつら全員ぶっ飛ばしちまえばそれで終わりじゃねぇか」


「あんた国を相手にする気かよ!? ちょっとした村やら蛮族やらとは訳がちげぇんだ。国家が相手になって勝てるわけねぇ」


「そうかなぁ」


 別に本当に怖いのは国というより真の実力を持った個人だと思うんだけど……それも含めての国ってことか?

 まぁおじさんが言うのなら大人しく言うことを聞いておこうかな。別に雑魚を何人殺したところでなんの足しにもならないし。ここは見逃してやろうじゃないか。


「でもあれがあるだろ、おじさんの依り代探しが」


「それはひっそりやりゃいい! 時間はあるんだ、いやもちろん早いに越したことはないが、そこまでのリスクを背負ってすることではない!」


「はぁ、わかったよ。じゃあとっとと次の街に行こう」


 ということになった。

 元々そのつもりだったので、まぁ予定通りに進めとけば安牌だよな。


「ああ、でもどうやって移動するかって問題があるくね?」


 そうだ、元々はそれで詰まって、爆発の勢いに任せることになっちまったんだ。結局ここに戻ってくるというわけですな。


「もう歩いていくっきゃねぇだろ。お前さんの身体能力があればそうそう疲れねぇだろ?」


「まぁそれはそうかもしれないけどさ……」


 なにかいいものないかなーと周囲をぐるりと見渡す。

 すると街道の脇に馬車が停めてあることに気が付いた。

 あ、いいもの発見!


「おじさん、あれを盗もう」


「あれって……はぁ? 無茶言うんじゃねぇありゃたぶん兵のやつらが乗ってきたもんだぞ」


「別によくない? 移動するのはやっぱり快適な方がいいと思うし」


「お前本気で言ってんのか?」


「別に皆殺しにすればいいんでしょ。ちょっと見ててよ」


 俺はとりあえず馬車の近くに歩み寄った。おじさんには俺の真後ろについてきて貰う。


「ん? なんだお前ら」


 すると四十代くらいのおじさん兵士に話しかけられた。

 その横には三十代くらいの男もいる。


「いやー、ちょっと道に迷っちゃいまして。いっぱい人がいるなーと」


「道に迷うって一本道だろ?」


「まぁ迷ったというより意識が朦朧としちゃってまして……ちょっとこの馬車で隣の街まで送っていっていただけませんか?」


「すまんが無理だな。俺たちは今忙しい。自分でなんとかしな」


「そんなそっけないこと言わないでください。ちなみに兵士さんは馬車の操縦できるんですか?」


「はぁ、それを聞いてどうする」


「えぇ、まさかそんな歳にもなってできないんですか?」


「バカが、大抵の兵士は騎乗の訓練は受けている。操縦くらいお手のものさ」


「ありがとうございます」


 俺は魔法を解き放ち、目の前にいる兵士ふたり以外を全滅させた。

 例の炎核兵器だ。


「な、なんだ!?」


 炎を納めると、尻もちをつき動揺した様子の兵士ふたりが残っている。

 まぁ轟音とか熱とかの余波は物凄かっただろうな。俺はもう慣れちゃってたけど。


「さぁて、二人はいらないか」


 俺は三十代の方の兵士の首を魔力でつき殺した。


「言うことを聞かないとあんたもこうなるぞ。とりあえず隣町まで馬車で俺たちを送っていってくれ」


 これで嫌でも言うことを聞かざるをえないだろうな。

 完璧な作戦に震えが止まらない俺。

 そんな俺だったが、今の大魔法で馬車まで吹き飛ばしてしまっていたことに気づくのは、ほんのちょっっぴり先の話だ。

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