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69 プレテンダー

「じゅ、じゅごえええええががががががあああああ!!」


 右足を吹き飛ばした瞬間、男は絶叫した。

 話を聞こうとしたところ俺に突っ込んできたので、言うことを聞かせるための処置を施したのだ。

 まぁ右足とはいってもくるぶし付近から下の骨が吹き飛んでしまったというだけで生死には影響しないだろう。殺してしまっては意味がないからな。


「あんちゃん、こいつどうすんだ?」


「ひとまず大人しくしてくれるといいんだけど。話を聞きたいんだ」


 少しだけ様子を見ていると、痛みに慣れてきたのかやがて叫ぶことはなくなった。若干冷静になってきたのか、俺達から逃げようとほふく前進を開始している。


「ちょっと聞きたいことがあるんだ」


 俺は男の左足を持ってひっくり返した。


「ひ、ひぎいいい」


「そんなに驚くなよ、別にすぐ殺したりはしないぞ。話を聞きたいと思って話しけけただけなんだ。だから最初から襲ってなんてこなければこんなことならずに済んだんだよ」


 男は化け物でも見るような顔で俺を見てくる。

 まぁ無理もないか。でも一応尋ねるだけ尋ねてみよう。


「あんたらは何しにここに来たんだ? それさえ教えてくれたら解放してやらんでもない」


「な、なななにもんだあんたら」


「答える義理はないな。とにかく何をしてるのか教えてくれよ。もうここまできて隠すことないだろ、教えてくれたら解放することも考えるからさ」


「ほ、ほんとだろうな!?」


「あんたの働き次第だ」


 俺がそう言うと男は大量の汗を流しながら、強く唇を噛んだ。もう背に腹は代えられないといった表情だ。


「別になんてこたぁねえ、襲ってんだよこの村をよお! なんか文句あんのかよ! 強者が弱者を食らう、自然の摂理だろうが! お前らがなんのつもりかは知らねぇがよ! もう終わってんだよこの村は、全部俺たちが平らげちまった。正義の面引っ提げてんのかしらねぇがもうテメェらは終わりだ、終わってんだッ! 理解すればとっととケツに焚いて逃げ出せよ! みっともなく泣きべそかいてろこの敗北者ど――」


 そこまで言って男は息絶えた。

 俺のムチが男の額を貫いたのだ。


「まぁ予想どおりだったな。やっぱり盗賊が襲ってるってことらしいよ」


「どうするんだ?」


 おじさんが神妙に尋ねてくる。

 まぁ何か特殊な事情等があればまた考え直さなくもなかったが、ここで起こっていることと言えばいたって普通の悲劇ということだ。それなら方針を曲げる必要はない、このまま行かせてもらっていいのではないだろうか。


「もちろん攻めてみよう」


 ということで俺たち三人は行軍を開始した。

 といってもまぁ歩いて人を探すだけだが。


「ひとまずあの人たちからにしてみようか」


 死体を必要以上になぶっている男ども二人組を発見する。年の頃は三十代くらいかな。おじさんよりはちょい若いかもしれないけど、十分な依り代候補だろう。


「おりゃ」


 俺は魔力のムチで奇襲した。

 男どもの首をキレイに締め上げる。

 魔力を俺の意志に連動させ、手足のように動かすことも可能なのだ。この技を使いまくる末に習得した。マジで便利、教えてくれた誰かに感謝しないとな。


 そして男どもからしたら見えない何かに頑張って抵抗しようとしていたが、その努力虚しく普通に失神していった。


「おじさん、今だ!」


「おう!」


 そこにすかさずおじさんがトライする。

 おじさんが片方の男の口から体内に入り込むと、ぴくりと身じろぎして、何か動きそうな雰囲気を見せた。だがそれだけですぐにおじさんは出てきた。

 そしてさらにもう一人の男にもトライしたが、これも似たような感じですぐに出てきた。やはりダメだったか。


 するとさらに近くにいたのか三十代くらいの男が驚いた様子でこちらの方を見てきたので、ムチで拘束してこちらに引きずり込む。地面に転がしたところで、首をムチで締め上げ、まぁ同様の感じでトライしたが全然ダメだった。


「無理だぁ!」


「これ意味ないような気もしてくるな……」


 ハッキリ言ってキリがないような気がしてきた。こうも失敗されるとどうしてもな、まぁそれも見越してのことではあるんだけど……


「すまん!」


「やっぱりおじさんとドンピシャの年齢層だけ狙っていったほうがいいかもしれないな。依り代はたくさんいるだろうし、時間短縮って意味で」


「了解だ」


 そうして俺たちはズカズカと戦場に乗り込んでいった。

 適当に歩き回れば人に出会ったので、若い男はムチでしばいて全員殺し、おじさんと歳の近い者がいれば残しておじさんにトライさせる。因みに出会う人間全員男ばかりだった。女子供はいたといしてもすでに地面に沈んでいる者だけだ。なんともいたたまれない気持ちんいならなくもないが、これもこの世の定めというか、仕方のないことだ。別に俺が転生してこなくたってこの人たちは普通にこうして死んでただろうし、そういう宿命を背負っていたのだ。俺にどうこういう資格はない。


 そして盗賊側やおそらく村人側、別け隔てなく分別していってるうちに、殺傷数が二十を越えようとしていた。いつになったら終わるんだ?

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