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57 メタルギア

 俺とおじさんは今後の見通しについて話し合っていた。


「ひとまずは人間を捕まえないとダメってことか」


 おじさんが生きていくには生命エネルギーを補充しないといけないということで、そのためには人間から生気を吸い取る必要があるらしい。このままだと移動もままならなそうだ。


「う……情けねぇ話だが」


「街とかって近くにあるの?」


「あるが距離は離れてる。それに顔が割れてるからうかつに近づけねぇっつうか……」


「普段はどうやって人間を捕まえてたんだ? あの男とかは」


「その辺は適当だ。張り込む場所を固定すると警戒されかねねぇからな。ただ一応近くに街に続く外道が一本通っててな。そこは街から街の移動でよく使われてたりする」


「じゃあひとまずそこでハントしよう。おじさんが回復したらおじさんのがわとなるおじさんを探せばいいと思うし」


 最終目的は盗賊への復讐だけど、リアルにほとんど干渉できなかったりする体をどうにかしないと色々不便だ。いつまでも霊体ってのも寂しい気がしています。


「すまねぇ」


「大丈夫。俺はおじさんが大好きなんだ。任せてくれ、それよりも動ける?」


「あ? ああ、なんとか、なりそうだ」



 ということで俺たちは近くにある外道とやらにやってきた。

 周囲はだだっ広い平原。

 まぁ外道といっても本当に土の道といったところで、大した舗装はされていないのだが。地平線の先には森なんかがうじゃっとしているが、基本は遠くまで見通せる感じだった。


「本当にくるのこんなところ」


 少し待つところあまりに生物の気配がしないので、腕を組んでめいそうしているおじさんに尋ねてみる。なぜそのポーズをしているのかと聞いたところ楽だからだそうだ。


「結構通行するのは見るぞ。といってもまぁそう高い頻度じゃないけどな」


「そういうものなのか」


 とは言ってもやっぱり暇なのは暇だ。


「なぁ、おじさん、暇だしオセロでもしよーぜ!」


「おせろ……? なんだそれは」


「俺が元いた国で流行ってたゲームだよ。あれ、でも石がないからできないのか」


 できなかった。



 そしてうだうだと待つこと十五分ほど。

 いい加減しびれを切らしてきたところで、ようやく遠くの方に何かが見えてきた。


「おっ、おじさん、きたよ!」


「ああん?」


 俺は遠くを薄めで見通す。

 道があるであろう場所を、間違いなく何か動くものがこちらに向かってきている。

 だが距離が遠すぎてイマイチ形がはっきりしない。


「うーん、見えねぇな」


 おじさんも同様のようだ。


「ひとまず隠れてみますか」


 俺たちは少し離れた草地の上で寝そべり待機する。


 やがてそれが近づいてきて、その正体がハッキリとした。


 それは一台の馬車だった。

 外観は古臭い幌馬車といった様相だが、何人も乗れそうなほど立派なものだった。

 その馬車を馬が二頭で引っ張っており、その馬を御者が制御している。

 そして馬車の周囲を囲うようにして武装した男が二人、歩いていた。

 護衛か何かと思えるその二人は、特に警戒した様子もなくのんきにあくびなんかもしていた。

 馬車のスピードは護衛の速度に合わせているからなのか知らないが、かなりゆっくりだ。


「どういう人達なんだろう……」


 俺は思わず疑問が口に出てしまう。


「さぁな。ただ荷が少なそうだ、商人とは違うだろう。華やかな感じでもねぇから貴族とも違う……となると一般のやつが護衛を雇って街間を移動してるとかになるのか」


 そんな俺に対しおじさんが推理してくれた。

 なるほど、この世界で生きてるがゆえに分かることもあるのか。世界初心者の俺からしたら全然わかんないわ。そういえばこの世界ってなんて名前なんだろう。名前あるのかな。


「だがあれだけまとまった護衛を依頼するとなると結構な金額がかかるはずだ。中の依頼主様はそこそこ裕福なご身分なのかもな。まっ、んなこと考えたってなんの意味もないが」


「なるほど、まぁ確かに誰だろうが関係ないか。じゃあどうする? ひとまずあの人たちにしてみようか」


「おいおい、流石に大物すぎねぇか? 人数的にも厳しいしなにより戦力が未知数だ。返り討ちにあうかもしれねぇぞ」


「え? おじさんビビってる?」


「どういう煽りだよ。そりゃ前世の俺というか死ぬ前の俺ならどうとでもなったかもしれねぇが、今はこのザマだ。複数人が相手となるとどうしても分が悪い」


 おじさんは若干すねたように反論してきた。

 はぁ、ちょっと効いたのかな、かわいいなぁ。


「となるとメインで戦うのはお前さんってことになるが、万が一遅れをとった場合を考えると……」


 え? なんだそんなことを心配してたのか。妙に及び腰だと思えば、負ける可能性をケアしていたんだな。


「大丈夫だよ。ここで死ぬようならそれまでの人生だったってことだ。まぁおじさんは被弾しないように見といてよ」


「随分頼もしいじゃねぇか……でも万が一負けそうなら引いてこいよ。俺は霊だから攻撃は効かねぇから気にしてもらわなくていい」


 その言葉を聞き届け、俺は草原を駆け出した。

 狙うは馬車とその一味。

 ああ、なんか久しぶりにちゃんと戦う気がする。ワクワクしてこなくもないかもな、ふひひ。

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