表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/77

50 長かったトンネル

 俺は金眼の男と契約を交わした。

 殺さない代わりに日本人を捕らえて来てほしいというものだ。

 戦いで満足できなかったが、次への布石は打つことができたということで良しとする。まぁこの男が忠実に役目を果たしてくれるかどうかはまるでわからないけども。まぁ仮にダメでも元々タダのようなものだ。その時はきっぱり諦めるとしよう。


「じゃあそういうことで頼んだ」


「……お前はどうするんだ?」


 金眼の男に尋ねられる。

 現在ここは大広間。王城の内部にあるやたら豪奢に飾られている場所だ。

 うーむ、たしかにこれからどうしよっかな。来た目的が強いやつと戦うことだったけどもうこれ以上強いやつはいないっぽいし……待てよ本当か?


「ねぇ、一つ聞きたんだけどあんたより強いやつってここにいたりする?」


「……俺が今回の計画のまとめ役だ。俺より強いやつを組み込んだ覚えはない」


 そうか、やっぱりこいつが一番だったんだな。まぁ普通ならそうそう遅れを取りそうもないスピードだったし、全然納得はできるかな。


「お前は俺たちを止めるのか?」


 と、ここで急に脈絡のない質問を投げかけらえる。


「ん?」


「そこのエルフと乗り込んできたんだろ。俺たちの計画を阻止しようとしていたんじゃないのか?」


 あー、そういうことか。確かに普通に考えればこんなところに来る理由なんてそれぐらいのものだよなぁ。でも安心してくれ、俺はレアなんだ。


「そんなことの為に来たわけじゃない。強いやつを探してただけだ。とりあえず約束を守ってくれればあとはどうだってすればいい」


 必要なことだけ端的に伝え、俺は背を向ける。

 もうここに用はないからだ。

 強いやつのいない辺鄙な場所に留まるほど時間の無駄なことはない。新たな強者を探して旅に出なければ。そうだな、まずは森の探索の続きを……


「……一つ聞ききたんだが、この森の抜け出し方とか知ってるか?」


「知らないのか?」


「ああ、ここまでニニデリ……そこのエルフに案内されたからな」


「……案内を付けよう。言葉で説明するのは面倒になる」


 おい! と男が呼ぶと、どうしたらいいの? みたいな顔をしながら待機していた男のダークエルフが駆け寄ってきた。そこそこ若めの見てくれだ。最初からこの場にいた者の一人だが、結局俺に勝負を挑むことがなかった。


 金眼の男がそいつに適当な人材を見繕って俺を案内させるように伝える。

 そのダークエルフははいっと返事をし、どこかへ去っていった。


「そのエルフに案内させればいいんじゃないか」


 金眼の男が訪ねてくる。


「うーん、多分もう助からないんじゃないかな……」


 ニニデリアは内股で地面に座り込み、下を見つめたままピクリとも動いていない。あれは完全に精神がいってしまった者の末路だ。


「おーい、起きろよ。そろそろ行くぞ。案内してくれよ」


 近づき、肩を揺らしてみた。

 やはり空虚な目をしたまままったく反応を示さない。

 ここから立ち直るのはもう無理だろう。まぁお父さんがあんな拷問を受けて酷い姿になりながら死んでいるのを直視してしまったんだ。想像を絶するショックを受けたということだろう。これはもう本人の問題で、俺が横からどうこうできる話ではない。


「ダメだな」


 仕方ないけど置いていこう。

 多少は仲良くなった気がしなくもないが、ほんの少し前までは顔も知らなかったのだ。俺は別に友達や仲間は求めていない。俺が求めるは強者のみだ。足手まといは必要ない。俺は任務を遂行する。そのためだけにこの世にいるんだ。その覚悟は決めている。


「じゃあ案内だけ頼む。後はもう好きにしてくれていいから」




 そうして俺は案内の元、この国から出ることとなった。

 いや、この国どころか念願であったこの森自体から出る方法も教えてくれるという。

 願ったり叶ったりだな。

 まぁ別にこの森の生活も悪くはなかったけど、いつまでも至って仕方がないのは事実だし。そろそろステップアップして世界を見て回るというのも悪くないだろう。


 国から出た俺は案内の人に、歩いて三十分ほどの位置にある場所に案内された。

 案内人が言うにはそこから森の外にワープできるような装置が存在するのだという。

 因みに案内人は二十代半ばくらいの見た目の細く優しそうな男だった。


 そしてその場所に辿り着くとただ森が広がっているだけのように思えたが、目の前の木に手を伸ばすと貫通し、木に重なるように歩くと落とし穴のようにストンと地下に落ちた。つまり木は幻影か何かで、その下に隠し部屋が隠されていたのだ。こんなの教えられなければ分かるわけない。もしかするとこういった場所がこの森から出られる唯一の手段だったりしたのだろうか。だとするとあのまま森の中の探索を進めているだけじゃ一生森暮らしになっていた可能性もあるってことだよな。まぁそれも悪くはないんだけどさ、やっぱあそこでニニデリアに出会っておいて良かったとするのが落ち着きがいいよね。


 そして俺はその場所にあった魔法陣のような場所にダークエルフの男とともに立つ。

 すると景色が一変し、同じような部屋に転移した。

 ようやく森から抜け出せたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ