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45/77

45 どちらが勝ったのか、下から見るのか

「タダで済むと思うなよ?」


 金眼のダークエルフが俺を煽ってくる。

 なんだろう、すごい場所に来てしまいました。


 え、なんか家族のゴタゴタが始まったかと思えば拷問を受けたおっさんが出てきてニニデリアが壊れるし結局ダークエルフが殺しにかかってくる……マジでカオスだな。俺の場違い感半端なかったんだが。


 まぁでも主犯格っぽい奴らには出会えたわけだからひとまずは結果オーライ、ってことにならないかな。にしてもまさかニニデリアのお姉さんが元凶だったとは。まぁ俺には全く関係のない話だけど。


 そうこうしているうちに、ダークエルフの放つ魔力が引き締まるのがわかる。これは同じく魔力を使用する俺だからこそわかる、何かアクションを起こす前の揺らめきだ。

 はぁ、なんか訳の分からないことになっちゃったけど仕方ない。目的を果たすとしますか、コイツらを倒して最強に近づく。あいにく普通に強うそうだからすごくワクワクしちゃうな。




 シュッ。




 目の前の金眼のダークエルフの姿が消えた。

 いや、違う。凄い速さで移動したんだ。地を蹴り、低い位置から俺に攻撃しようとしている。

 ああ、ようやく戦えるんだね。

 ぼく、待ってたんだ。


「おら!」


 俺は迫りくる男に向かいパンチを繰り出した。

 かなり力を込めたパンチだ、当たればかなり痛いだろう。

 まずは小手調べといこうじゃないか。


 だが俺のパンチはあっけなく男の頭部に命中。

 頭部ごと消し飛んだ。



「え?」



 なんだ、まるで手応えがなかったぞ? ちょっと待ってくれ、この程度ってそんなこと。俺の労力は……ってあれ? なんか手応えがなさすぎる気が……



 ヒュン!



 次の瞬間、俺の首元を一筋の光が走る。

 見てみると、金眼の男が魔力の剣を振り切っていた。え、早くね?


 反射的に魔力で覆うことに成功したため、ダメージはない。だが剣の威力はかなりのもので、かすり傷ができてしまっていた。うーん、油断した、ここまで目で追えないとは計算外。


「ほう、なるほどな」


 金眼の男が俺から距離を取り着地する。


「お前タダの侵入者じゃないな。魔力を具現化できる者などこの世にそうはいない。それにその操作の精度。誰の元で修得した?」


 何を言ってくるかと思えばそんなことだった。

 あれ、思ったより冷静? 熱いバトルに水を指すようなことしないでほしいんだが。これからだろ?


「なんでそんなこと聞くんだ? 勝負しようぜ」


「分からんな。お前ほどの奴がなぜこんなところに。こんな質素なことせずとも、その実力があれば世の中ほとんど思うままだろう」


 なんだろう、全然戦ってくれる感じしないんですけど。待って、ここまできて示談にしようとしてる? 意味分かんないけど。


「お前もかなり強いんだろ? だったら俺と勝負しようぜ」


「何が目的だ? お前が望むものを聞こう。ものによっては俺が直々に用意してやる」


「全部無視してくる!?」


 ここまで相手にされないとはびっくりだった。もしや話を逸らそうとしてる……? いやそんな感じではない相手の自信はまだ消えてはいない。本心で話してるんだろう。


「もしや古代のエルフ像が目的か? あれなら昨日調べさせたがガラクタということだ、やめてお」


「なんだよジーザ! さっきからよ!」


 ここで後ろにいたダークエルフの仲間がしゃしゃり出てきた。


「何話ばっかしてんだ? やるんだろ? 仲間が殺されておいて逃がすなんてことありえねぇもんな」


「ゴラモン、この男と敵対するのは得策では」


「ああ!? なんだもしかして見逃すってか? そんなの仲間の意地に掛けても容認できねぇ。お前がやんねぇなら俺がやるぞ!」


 その男はかなりガタイのいい金属製の軽装に身を包んだ人物だった。ダークエルフにしては珍しいタイプだな。

 ゴラモンと呼ばれていたその男は、腕まくりの仕草とともに前へとズカズカと進み出る。


「おい、やめておけ」


「は? だから何でだって言って」


「お前では返り討ちにあうだけだ」


 その言葉にゴラモンという男は立ち止まった。

 ピキリ、という音が聞こえた気がした。


「お前……それ、マジで言ってる?」


 その男が金眼の男に向けた顔は阿修羅のごとくだった。この顔だけで人を何人か殺せるんじゃないかと思えるほどの圧があった。


「ああ、やめておけ」


 だが金眼の男は歯牙にもかけることなく飄々と言葉を置く。


 その言葉に対しゴラモンという男は一瞬の静寂を守った後、ゆっくりと下を向く。


「……はぁ、そうか。分かった」


 そして次の瞬間、俺の方に全力で突っ込んできた。



「だったらあああああ! 証明すりゃいいだけの話だわなあああああ!!」



 床を消し飛ばす勢いで地を駆け、俺へと迫ってくる。

 おお、すごい気迫。怖い怖い。

 イノシシ、いや熊なんかが本気で突進してきたとしたらこんな感じなのだろうか。日本にいた頃の俺ならまず死を覚悟してただろうな。


 だがこの世界においての俺は違った。


 男の突進に合わせ、俺も全身に魔力を纏い、同様に突進する。



 ドシーン!!!!!!



 質量と質量の衝突。

 この力比べ、たまんないね!





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