表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/77

4 おっかねえ自然

 俺が転生し目を覚ますと、始まりの場所というところで寝ていた。

 そこには一人の少女がいて色々案内してくれるということだったが、特に聞くこともなかったため出ていこうとしていたところだった。俺にはやることもあるしな。


「じゃあもう出るから元気でな」


「ああ。基本的に私は尋ねられた質問に対して答えていくスタンスだ。これ以上ないというのなら出ていって貰って構わない」


「うん、分かった、じゃあ」


 そう言い出ていこうとしたが、今思えばこの森の抜け方がよく分からない。

 たらりと冷や汗が流れた。


「ごめんやっぱり質問していい?」


 じゃあとか言った手前恥ずかしかったが、根性で聞き返した。

 人間一番大事なのは容姿でも金でもない、根性だ。


「構わないが」


「この森からはどうやって抜け出せるの? というかここってどこにあるの?」


「この森はデイテール王国の南に位置する巨大森林帯に属している。魔物や他種族らが巣を成す無秩序な地帯だ。森の出方だがこの屋敷から見える林道に沿って道なりに進めばいい。特殊な細工が施されていて逆からは何も見えないようになっている。光の屈折を利用しているんだが、二百年くらい前に私が作った」


 と答えてくれた。

 必要な情報だけを詰め込みましたみたいな適当な説明だったが、必要な情報なわけで適当ではないのかもしれない。

 なるほど、逆から見えないってことはここに来るとなった場合に大変ということだな。


「なるほど分かった。あと俺は世界最強になりたいんだけどどうしたらいい?」


 駄目もとで質問してみようっと。タダなものはとことん利用するタイプだからな。デパートのフードコートの無料飲料水なんか何千杯飲み干したか数え切れねぇぜ。

 まぁそれと単純になんて答えが返ってくるかも気になるしな。

 俺の質問に少女は少し考える素振りを見せた。


「ふむ、まぁ多分無理だな。それは諦めたほうがいい」


「なんでだ?」


「単純に君などより強い者がたくさんいるからだ。君も神の力を手にしているわけで多少はやるのだろう。しかしこの世界は広い。私が知っているだけでも百人は下らないな」


「なんで俺の力の良し悪しが分かるんだ? 俺がメチャクチャ強くてそいつらよりも上ってこともあるんじゃない?」


「まぁ私も長く生きている。目の前の相手の力量程度は分別できるようになっているんだよ。今まで出会った者の中で序列を付けたわけだ」


 自信満々な様子で少女は答えた。

 えー、それが本当だとしたら俺が世界最強になるなんて夢のまた夢じゃない?

 まぁでもこの人の目が間違ってるって可能性もあるし、諦めたくはないな。


「あんたはどうなんだ? 俺よりも強い?」


「それを聞いてどうするんだ? まぁ申し訳ないが多分君よりは上だ。あくまで私の基準によるものだから信じる必要は全くない」


「どういう能力なの?」


「それは教えられない。能力は自分に取っての切り札の一つだ。ほいほいと教えることじゃないくらい君にだってわかるだろ?」


 嗜めるようにそう言われてしまった。

 正直よく分からないかったが、そうだな、と分かったフリをしといた。


「じゃあ今度こそ出るから。いろいろありがとう」


「うむ、何もやることがないというのなら最強を目指してみるというのも一つの手だろう。暇つぶしくらいにはなりそうだ」


 そうして俺は別れを告げて、扉から部屋を出た。

 階段を降りて一階へ。

 一階へ降りると正面に出入り口と思われる扉、横にリビングのような大きな部屋があった。

 外に出たいので正面の扉を開ける。

 すると外に出られた。


「おお、思ったよりも迫力というか……大自然って感じ?」


 屋敷の周りは黄緑色の芝生が一面に生えており、その周囲には森が広がっていた。

 空から見れば、森の中で屋敷周りだけが綺麗に円状に切り取られたようになっているのだろう。


 そしてその森が妙にいかめしいというか、謎の怖さを感じてしまった。

 あれかな、前世でそんなに自然と触れ合う機会もなかったから自然と新鮮に感じるのかな自然だけに。


「はぁ、さてこんなおっかない所とっとと出るか。あーにしても俺よりも強いやつがいるとかいうネタバレくらうのどうなんだ?」


 ゲーム序盤でどうあがいてもラスボスは倒せません、みたいなことを製作者に知らされた時みたいな感じだ。あのいかにも何でも知ってそうな少女が言うのだから間違いない気がする。


「いや、本当にそうか?」


 ちょっと冷静になれ俺。そもそも俺ってまだ能力の一端すら使ってないわけだよな? なんでそれで全部分かった気分になってるんだ? 可能性は試してみないことには分かんないだろ。


「よし試してみるか」


 俺は早速能力を発動してみることにした。

 折角の能力なのだ、出し渋る必要はない。ああ、何でもっと早く試そうとしなかったんだろうな、能力なんてすごすぎるだろ。


 えーっと、確か俺の能力は……えーとそう! 炎魔法……だった気がする。なんか忘れたけどとにかく異世界はやっぱり熱くいける炎でしょ的なノリで決めたはずだ。でも魔法ってどう撃つんだ?




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ