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「協力するって言ったけどッ、こんな協力って可笑しいでしょ!」

 ルビルは何故か宿の一室へ連れられて、クロードに迫られるという状況になっていた。



 「ん?君が協力するって言いだしたんだよ。それに、その方法もね・・・」

彼は、とてもいい笑顔でルビルの胸元を指差した。確かに彼のトラウマに対して、魅力的な胸を思い浮かべたらいいとは言ったが・・・ルビルのを見せるとは言わなかった。それに、ルビルの協力は討伐は難しいにしても、防衛で協力するという意味だったのだ。



「私のを見せるなんて言ってません!」 

 ルビルは彼の視線から胸を隠すように胸の前で手をブロックした。

 



「君はこうも言ったよ・・・自分にできることなら協力するとね。それに俺は君の発言に対して、俺が魅力的と思っているのは君だと言ったはずだよ?」



「・・・・・・」

 確かに彼はそう言ってはいたし、自分も協力するとは言ったがルビルは彼が言った意味を理解しておらず、単に褒められたくらいにしか思わなかったのだ。まさかこんな風に言ってくるとは思いもしなかった・・・。



「俺にとって魅力的な女の人は君で、君は魅力的な女の人の裸でも思い浮かべて比べてやったらいいと言った。だけど俺は魅力的な君の裸は見てないから、思い浮かべられない・・・比べられなんかしない。だから俺はトラウマを叩き潰せるように、君の裸を見る必要がある」

 確かにルビルが言ったこともあるが、彼のこじつけに納得はいかなかった。ルビルは今まで男に裸なんて見せた事はないのだ・・・。婚約者でもない彼に見せるわけにもいかない。彼が婚約者ならいいというわけでもない・・・。むしろルビルは彼のような人が婚約者になったら困ると思い、見せるのを拒否した。



「別に私じゃなくても、今まで見た中に魅力的な人くらいいたでしょ!」



「今、俺が魅力的なのは君だし・・・トラウマを乗り越えられるほどの破壊力がある魅力は君だけだ!」

 彼は真顔でルビルに言いきった。



「・・・・・・」

 屁理屈だと、ルビルは思った。だが、彼が行かないと被害は広まってしまうだろう・・・。領民の命か、自分の羞恥かだ。



 彼は諦めそうにないし、これでは埒があかない。ルビルは見るだけなら、事故だと思って被害を食い止めるために、致し方なく諦める決心をした。見るだけなら事故だと自分に言い聞かせ、でも絶対に触せはしないと。


「ならッ・・・見るだけですからね!絶対に絶対に触らないって、指一本触れないって約束してッ!」

 決して本意で見せるわけではないし、彼には前科があるので信用には値しないため、言質をとるのは必須だ。



「・・・わかった」

 少しの間が気になり、ルビルはクロードを睨み付ける。



「約束するよ・・・。絶対に触らないから」

 クロードが真面目な顔で約束と言ったので、ルビルは怒りを落ちつかせるために深呼吸した。



「約束破ったら、容赦しないから・・・」 

 ルビルは羞恥に耐えながら胸元を、自分で肌けていった。



「・・・・・・見るだけだからね」

 ルビルは胸元を覆う服をのけて、クロードの前に晒した。彼はしっかりとルビルの胸元を凝視している。

 

 ルビルは羞恥に腕に力が入り、彼が凝視してくる視線から目を背け、早く終われと思い、ギュッと目を瞑り羞恥に耐えることにした。



「もっと、ちゃんと見せて、しっかり腕を開いて」

 ルビルは恥ずかしくて、腕で少し胸を隠すようにしてしまっていたが、それでは駄目だと、ちゃんと見せてと言ってくる。



「・・・もう、いい?まだ・・・?」

 なんとか自分の限界まで胸をさらけ出したのだが、クロードが見てくる時間は決めておらず、早くこの羞恥の時間が終われと切に思った。

 


「まだ・・・。しっかりと焼き付けてからね。じゃないとやられちゃうかもしれないから」

 彼の声が近いと思い、ルビルはギュッと瞑っていた目をあけた。



「なッなんでそんな近いのよ!」

 クロードの顔は、ルビルの胸ぎりぎりの当たらない位置に陣取っており、触れないという約束は守っているようだったが、これではルビル自身が動けなかった。動けば胸が彼の顔にあたりそうだからだ・・・。もしかしたら、そこまで考えてなのかもしれないと疑ってしまう。

 あたったのは自分からじゃないとでも言われると悔しいので、ルビルは耐えるしかなかった。



「比べるために、しっかり記憶に焼き付けないと・・・形に、色、ホクロの場所までね。この位置だと君の匂いも記憶できる」

 舐めるような視線、発言はいくらイケメンでも、ただの変態だと思った。


 彼が話すたびに、彼の息が胸にかかり、ルビルはさらに羞恥が増し段々と耐えきれなくなってきた。


「もうッ無理なの・・・・・・早くして」



「やっぱり見てるだけってのはもどかしいな。触りたくなるね・・・討伐が無事に終わったらご褒美に触りたいな。特にこの先端を舌で・・・」

 ・・・彼は赤い舌を出しながら、熱の籠る視線を向けてきた。



「ーーッ調子にのるなー!!」

 ルビルは堪らず、彼の頬めがけて勢いよく振りかぶり平手打ちをした。


 最初の主旨と違っているし、ルビルを触らせるというご褒美をあげる必要があるのかも理解できない。優しくしてればつけあがる彼に、いいかげんにプチっときてしまったのだ。



「やっぱり、こっちも気合いがはいっていいね」



 彼は以前のように、かなり豪快に吹き飛んだが、壁にたたきつけられるまではいかず、意識はちゃんと保ちつぶやいた。まるでこの一撃をわざと、まっていたかのような発言に、ますますルビルは逃げたくなった。

 そして、ルビルの手の形は、彼の頬にもみじの痕を残したのだがクロードは気にする素振りもなく、気合いを入れてもらったから頑張ってくるねと部屋を出て行くのだった。




 






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