5月20日/中間試験
ピピピーピピピーピピピーピピピー
(ん…??アラームが鳴っている……)
机から思いっきり顔を上げた。
(やばい…寝落ちした……)
今日は中間試験2日目。
テストの勉強する為に、机に座って頑張ろうと思ったが、寝てしまっていたみたいだ。
今日は苦手な英語と数学があったのにやらかした。
でも、まだ1学期だし大丈夫だろうと自分に言い聞かせて学校に行く準備を始めた。
家を出ようとした時に、母親が走って来た。
「いおくん、お弁当を忘れてるよ!!!!」
「あっ、ごめん。でも、今日テスト3限までだから弁当いらないよ??」
「えっ!?!?……そうだった…ね……ごめん…捨て……る…??」
物凄く悲しそうに言ってきた。
「いやいや、いいよ!!持っていくよ、ありがとうね!!」
「よかった〜!!気を付けてね、テストがんばれー!!!!」
いつもみたいに母親のドタバタ劇に付き合って家を出た。
自転車に乗り、学校に向かう。
今日は過ごしやすい気温だ。
最近、暑かったり寒かったりして過ごしやすい時が無かったからテンションが少し上がった。
過ごしやすい気温だと気分が良い。
学校に着くと大輝が待っていた。
「おっ、おはよー!!少し遅かったじゃん??」
「おはよう、そう?いつも通りだと思うけど??
てか、何で待ってんだ??(笑)」
「それは…特に意味はないよ(笑)そろそろ、いおが来るかな〜って思ったから待ってた!!」
「彼女か!!」
そんな会話をしながら教室に向かった。
教室に入るとみんな机に向かって勉強していた。
その瞬間、俺は今日テストだということを思い出した。
「やばっ、テスト勉強しなきゃ…」
「あれ?いお、昨日やらなかったの??」
「寝落ちしたんだよ……」
大輝はめっちゃニヤニヤした顔で自分の席に向かった。
あいつは頭も良いから少しムカつく。
俺は席に着いた。
「おはよう、夜見くん!!勉強した??」
「おはよう、橘。いや、全然。寝落ちしたわ。」
「あははは!!大丈夫、私も全然してないから!!!!」
俺は知っている、こう答える奴は大抵勉強していることを。
「じゃあ、俺より点数が、高かったらジュース奢ってね!!」
「なにそれ!?……でも、良いよ!!(笑)」
凄く笑顔で答えてきた。
しかも、自信に満ち溢れている気がした。
そして、テストが始まった。
・
・
・
テストが終わった。
そして、俺も終わった。
ほぼ何も分からなかった。
(えっ、このままでは俺やばい。大学とか行けない。やばいかも…)
凄く焦っていると橘が席を立った。
「じゃあね、また月曜日に!!…勉強頑張って(笑)」
「うるせー!!橘も勉強頑張れよ!!じゃあね〜。」
俺も帰る準備をしていたら、大輝が近寄って来た。
「いお〜、カラオケ行かね!??りおちゃん達も来るってよ!!」
「あの、天音さんが!?!?」
天音 莉緒はクラスで1番と言っても良いぐらい性格も顔も良く周りからも慕われていて学校中の人気者だ。
見た目は清楚系な大人しそうな女の子だけど、
男子との話も良く合い良い子だ。
最近、大輝と仲良くなりたまに遊ぶらしい。
正直行きたいと思った。てか、行こうと思った。
が、俺の口から出た言葉は違った。
「凄く行きたいけど、今日は勉強するわ。土日バイト入れちゃったし…ごめん、また誘ってくれ!!」
「そんなに今日のテストダメだったのか!?(笑)OKOK!!頑張れ!!いおくんは勉強するってよ!!」
「そうなの!?残念。テスト終わったら遊ぼうね、夜見くん!!」
天音さんがそう言ってくれた。
めっちゃ嬉しかった。
大輝達はカラオケに向かった。
俺は、図書室に行こうと思った。
この高校は珍しいのか分からないけど、図書室で飲食が許可されている。
丁度、弁当もあるからそこで勉強しようと思った。
図書室に入ると、誰もいなかった。
(まあみんな家で勉強するよな。しかも、金曜日だし。)
俺は図書室の角にある席が1番好きでお気に入りだった。
人目につかないから良くそこで昼寝をしていた。
お気に入りの席に着いた時、俺はまじでびっくりした。
「橘、何してんの??」
そして、橘もめっちゃ驚いた顔をしてめっちゃ驚いた声で言ってきた。
「えっ!?!?!?!?!?何で!?!?!?」
「いや、声でかっ!?てか、こっちの台詞よ!?」
「いやいや、だってカラオケに行くんじゃないの??」
「あー、行こうと思ったけど、なんか口から出た言葉は行かないって言ってたんだよね。」
「・・・ ・・・」
「何言ってるか分からないよね!?俺も分かってない!!!!」
でも、橘は少し嬉しそうな顔をしてるようにも見えた。
「で、橘は何してんだよ!!」
「勉強だよ!!家じゃ集中出来ないから。」
「ふーん、真面目だね。」
俺はお気に入りの席を取られていたから、隣の席に座った。
何か会話しなきゃと思った。
「知ってる、その図書室さ、漫画置いてあるんだぜ!!」
「知ってるよ!!(笑)そうだ、あの漫画面白いよね、《ハンターレジェンド》!!」
俺はテンションが上がった。
「橘、《ハンターレジェンド》読んでるの!?!?まじで!!あれ女の子あまり読まさそうじゃん!!てか、少年漫画よ!?」
「うん、読んでるよ!!…知り合いで読んでいる人がいて話合わせたくて読んだら、ボクもハマっちゃったんだ!!!!」
「いや、まじで良いよね!!橘はどこが好きなの!?待って、当てたいわ。いや、待って漫画も持ってくる!!」
そこからの事は凄く覚えている。
めっちゃ楽しかった。
あのシーン良いよね!!とか、あいつムカつくよな!!とか、泣けるよね…。とか、誰が好きなの!?とか、そこ選ぶの渋いね!!とか、めっちゃくちゃ語った。
橘も凄く楽しそうに話してて本当に好きなんだなと思った。
気が付けば時間が過ぎていた。
「やばい、もう17時だ、帰らなきゃ!!」
橘がそう言って、ようやく話すのを止めた。
「ごめん、こんなに語ってしまって。」
「うんうん、凄く楽しかった!!…勉強は出来なかったね……」
「確かに…帰って頑張るか………」
「そうだね、頑張ろうね!!!!約束!!」
「おう、約束!!橘もやれよ!!」
橘は凄く笑顔で帰って行った。
帰り道、俺は橘のことで頭がいっぱいだった。
(めっちゃ楽しかったな……橘とまた話したいな。連絡先交換しとけば良かった…。くそ!!!!月曜日に聞こうかな。でも、いきなりなんだって思われるかな。あーどうしよう。大輝に助けてもらうか、いやいや、あいつに言ったらめんどくさそうだな。うーん、考えよう。)
早く月曜日にならないかな。
学校に行くのが楽しみなのは人生で初めてな気がする。
家に着いた俺はすぐに机に向かった。
(橘と約束したから勉強頑張ろう。)