第四話 どうやら俺は巻き込まれるのが得意らしい
やる気をなくした訳じゃない。吸血鬼物語りに、やる気をとられただけだ。
五分程度かな? もっとたつかな? 兎に角、俺は王都に向け道に沿って歩いていたのだが。
「どうしてこうなった?」
フム。まずは、皆に順を追って話そう。俺はちゃんと道に沿って歩いていたのだ。だが、途中悲鳴や金属が擦りきれる音がしたので気になって見に行ったのだ。そこには、剣を持った男と女。そこでオレは直ぐに分かった。冒険者だ! ロマンだ! 夢広がる! って。だが、現実はそう甘くない。戦っている相手は ≪魔物≫ だった。しかも、スライムじゃない。歴としたこちらも、有名な ≪魔物≫ 。 ≪魔鬼≫ だった。それがどうしたかって? 俺からすれば只でさえ倒すことの出来ないスライム。それの強化版。しかも、包丁のような武器も持っていた。数は五匹。つまり、冒険者側が劣勢だったのだ。本来なら、俺ツエ~最強チート魔法を使ってボコボコにできていたのかも知れないが先程も行った通り、俺はクソザコだ。スライムも倒せないザコだ。そんなやつがヒーローの如く助けに行ったって、瞬殺されるか、守られ、足を引っ張ることしかできないのである。結果俺はどうするか。逃げた。龍から逃げる程ではないが、結構全力で逃げた。が、先程も説明したが現実はそう甘くないのである。追い付かれた。と言うか、足音で見つかり瞬殺された。結果捕まる! そして、縄で冒険者たちと一緒にグルグル巻きにされる! ここで人生で一度は言っておきたい言葉である。クッ殺せ! を言いたかったが勿論言う暇もなかった。そもそも、これは男がやって何か意味があるのか? まぁそこは置いておいて。要は捕まったのである。 ≪勇者≫ と別れて数十分後に。俺は何かの主人公なのか! こんなにもイベントがあって良いのか! それから、横にいる冒険者からの心配そうな視線が心に刺さる! どうしてこんな目に会うんだ! この ≪世界≫ に来て二度目の心からの叫び
「助けてぇェェェ!」
果たして ≪勇者≫ は来るのか? 来ないのか? 来た場合は呆れられると思う。来なかった場合は、死である。どっちもいや! だが、この際俺の印象はどうでも良いから。
「助けて!」
だが、今思えばこの出来事もまた、運命だったのかも知れない。