テスト勉強 後編
「初めまして?奥手くん」
「うーん、多分そうだね、初めまして」
「じゃあ、始めよっか」
早瀬さんのそう言って謎の勉強会が始まった
「優、ここ教えてー」
「奥手くん私もそこ知りたい」
「あ、私も」
え?
内心でそう思った。誰に驚いたって?橘さんにだ。後からわかることだが、橘さんも本人と周りの人曰く頭は良くないらしい。僕よりも良さそうな雰囲気だが、、
「橘さんも?」
「うん」
もともと、おっとりした感じの橘さんが、自信たっぷりの表情で、返事をした。
そのギャップに普通に可愛いと思ってしまった
「わかった、でも先に裕太に教えるよ、そこからマンツーマンで教えた方が手間が少ないし」
そう言って、まず裕太に教え、その後、ぼくが早瀬さんに、裕太が橘さんに教えてあげた。教えながら気づいたのだが、裕太と早瀬さんは要領がいい。だから日頃からしっかり授業を聞いて欲しいものだ。そもそも、何で聞いてないのだろう、と思って早瀬さんに聞いてみることにした、裕太は寝てると言っていたからだ。
「早瀬さん、こんなに要領いいなら、授業聞いておけばわかるんじゃない?」
「あー、それは無理だよ奥手くん」
そう橘さんが言う
「え、なんで?」
「沙織ちゃん、授業中寝てるもん」
「ん?え?」
寝てるなら先生に注意されそうなものだが、現に裕太は注意されない授業を探すのが難しいくらいだ
「なんで、先生に何も言われないの?」
「それは、前の人の背中を盾にしてかくれてるか、姿勢を崩さずに寝てるからだよ」
前の人の背中に隠れるのはともかく、姿勢を崩さずに寝るとか、すご、教わりたいその技
「すごいでしょ」
早瀬さんがそう言ってドヤ顔してきた
最近気づいたことなのだが、早瀬さん実はマヌケなところが多い、僕が言えた立場かは分からないが、、
だから、最初の凛とした印象は多分人と話さないからなのだと思う、実際こうやって話している時は表情もコロコロ変わるし、さらには自爆することが多い
「へー俺にも教えてくれ、どうやってやってるのか」
そう裕太が聞き出した
「んー、わかんない」
そう早瀬さんは答える
この人天才かよ、授業中寝るのに関して、多分裕太も同じことを思っただろう、橘さんに二人とも同じ顔してると言われた
僕と、裕太は思わず笑った
「ふたりは、いつから仲良いの?」
そう、早瀬さんが聞いてきた
「高一の頃席が前と後ろで近くて俺から声かけたんだよ」
と、裕太が言う
「僕が話しかけるわけないしね」
そう、自分で付け足す
確かにと裕太が笑っていた
「へー高校からかー、私達と一緒だね」
そう、橘さんが言った
意外だ橘さんのことを知ってからか、2人でいるところを見かけることが増えた
「てっきり、高校に入学する前からの中だと思ってた」
「よく言われるよー、でも違うよー」
「最初に、舞花の方から声かけてきたんだ」
「まーだよなー」
と、裕太が言う
それは失礼だろ、っと思っているとやっぱり、早瀬さんが鋭い目つきで「失礼な」と言っていた
「ていうか、早瀬さん思ったより話しやすくて意外だなー、いい意味で」
裕太がそう言った、たしかにそう思う、みんな同意見だった、さすがに早瀬さんは嫌々ながらも認めていた
「あ、そうだ、奥手くんと江田くん?だっけ、その早瀬さんって言い方くすぐったいから、違う呼び方にできない?」
そう、早瀬さんが切り出す
「さすがに、俺の名前はしっかり覚えて欲しかったな、名前の呼び方はいいよ、優は?」
「僕もいいよ、なんて呼ぼうか?」
「俺は、早瀬でいいかなと思ってるけど」
「名字とはいえ、呼び捨てかー、厳しいな」
「なら、沙織さんで良くないか?」
「あー、うーん、まださん付けだから、そっちでいいや」
恥ずかしいけど
「私も、橘さんって呼ばれるの嫌だなーー」
などと、橘さんが微笑むような表情で言ってくる、その目を見る限り、僕が恥ずかしがっているのを楽しんでいるようだ、
結局橘さんのことを僕は舞花さんと呼ぶことになった、裕太は橘と呼ぶらしい、また舞花さんと沙織さんは僕らのことを、優くんと裕太くんと呼ぶらしい、本人達曰く不平等だから出そうだ
その後、僕達は連絡先を交換して、チャットグループを作った、