勘違い
図書委員の集会の帰り、教室に戻り荷物をまとめている時だった、
早瀬さんに声をかけられたのは、
「奥手くん、」
なんだろう、なにかしたっけ?
まさか告白してか?いやないな期待したところで全く意味ない。そもそも早瀬さんとは友達ですらないし、期待すること自体がバカのすることだ。
「聞きたいことがあるの」
「なに?」
聞きたいこと?なんだろ、ほんとになにかしたっけ、
やばい、なんか緊張する。
「私のこと友達じゃないって思ってたの?」
ん?どういうことだ?
あ、まさか、、俺と裕太の会話聞こえてたのか?
「まさか、聞こえてた?」
「うん」
やっぱりか、
「だって、ほんとのことだろ?」
「え?」
「え??」
何かまずいことでも言ったっけ俺?
「私はもう友達だと思ってたのに、、」
「そうなのか?」
「うん」
「なんか、すまん ただよく話す方のクラスメイトだと思ってた。」
これは、ほんとうだ。早瀬さんとは、放課後たまに話をするだけなのだ。僕自身話をする人自体基本少ないのであながち間違いではない。
そもそも、早瀬さんと話すようになったのは1年生の後半からだ。当時から、同じクラスだった。
きっかけは、学校が午前中で終わった日の帰りに本屋に行った時のことだ。僕は目的の本を持ってレジに行ったとき、前で会計をしていた人の後ろ姿に見覚えを感じた。
気になりしばらく見ていると、会計が終わって僕の視線に気づいたのだろうか、その人はこちらを向いて話しかけてきた。
「なに?」
僕は相当見ていたようだ。
「あ、ごめん。早瀬さんだよね?」
「え?」
何かまずいことでも言っただろうか?
「ちがった?」
「そうだけど、なんでわかったの?」
言われてみればそうだ、学校とは違って、私服でメイクをしている。
「なんとなくだけど、自分でもわかんない」
「なにそれ、てか名前なんだっけ?」
できれば、同じクラスなんだから名前覚えててほしかったのが本音だ。
「あー奥手です」
「ふーん、じゃ私行くから」
これが最初の会話だ、それから早瀬さんとは放課後に少しだけ話すようになった。
話すといっても、テストの点数だとか今日の授業どうだっただとか他愛もない話だ。
話を今に戻そう、
さてどうしよう、向こうに友達と思われてなかったならいいがその逆となると、やばいよな、、
「あーえーっと、ごめん」
とりあえず謝ることにした。
「別に気にしてないけど、」
良かった、そんなに怒ってなさそうだ。
「えーと、じゃ僕これで」
「まって、」
なんだろう
「連絡先教えて」
「え?」
思わずそう答えた。
「あ、あぁいいよ」
僕と早瀬さんはとりあえず連絡先を交換した。