第1話 スキル
――スキル。
ソレは冒険者を志す者であるならば無くてはならない、というか最早必須の能力であると同時に、そのスキル次第で大きく人生をも左右してしまいかねない存在……。
中でも『レア・スキル』と呼ばれる、選ばれし者のみに発現するといわれているその能力は余りにも強大で……。
例を挙げるとするならば、『聖闘気(庚)』、『火竜滅殺(庚)』、『魔術合成(庚)』……――
もっとも、コレらはレア・スキル内においても、規格外……。埒外の存在であって、最早参考にすらならないものばかり……。有史を振り返ってみても、これらのスキルを発現させた者は、『勇者』、『剣聖』、『魔導王』などと称され、何れもが何がしかの形でもって歴史にその名を残している。
とまぁ、コレらはあくまでも例外であって、その発現の可能性を考慮することさえも、最早、物笑いの種にしかならないレベルの話である。今話しているのは、あくまでも現時点でその存在を確認されている極めて一般的なレア・スキルの話である。
『身体能力大幅向上(辛)』、『魔法力大幅向上(辛)』、
といったレア・スキルが代表的なモノではあるのだが……。
とはいえ、コレらにしたところで発現させるのは僅か一握りの人間であり、仮に発現させるようなことがあれば、『レア・スキル所持者』と呼ばれるエリートとして、一生左団扇とも言われている。
つまり大抵の人間はレア・スキルはおろか『投石(癸)』、『突き(癸)』、『駄々っ子パンチ(癸)』、といった極々極めて平凡なスキルが大半で、それでも冒険者を目指すのであればまだ運がいいほうであり、中には、『庭弄り(癸)』、『脛かじり(癸)』などといった冒険者と一体どんな関係が? と、思わず耳を疑ってしまいたくなるようなスキルが発現したりすることも往々にして起こりえる……。
以上のような理由から、スキルによってはその人の今後の人生までもが大きく左右されることにもなりかねないのである。
そして、スキルらは五歳になると同時に、国中の至るところで各々の適性を見極めるための儀式が執り行われていく。
そして僕、リック・リパートンもついにその日を迎える事となった……。
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