戦技(アーツ)
ジャイアントトードとの戦闘を経て弓技のLVが上昇すると、新しく戦技なるものを覚えていた。
僕はステータス画面を開いて、“それ”を確認する。
弓技LV2(+1)・・・“狙い撃ち”LV1(New)
「狙い撃ち?...へえ、魔法と一緒でLVがあるんだ」
これは魔法と同じで、スキルの熟練度、習得度を表していた。
使えば使う程、それに見合った威力、精度、範囲が上昇して行く。
「MPを消費して使用するのか。なるほど。戦闘職専用の魔法みたいなものか」
戦技とは、要するに必殺技である。
魂位や魔法と同じで、最大一〇まで上げる事が出来る。
「...狙い撃ちね。それなら試してみるのが早いか」
ジャイアントトード討伐の報酬を、冒険者ギルドで既に受け取っていた僕。
早速、ホーム拠点へと戻り、チュートリアル室に直行した。
「じゃあ、早速。チュートリアル専用のエンカウントを利用して...」
部屋の中のバトルフィールドに侵入し、敵の出現を待つ。
目の前には黒い粒子が収束を始めていたので、僕は弓矢を構えてジッと待った。
「おっ、現れたな。ゴブリン」
現れたのは刺激臭を放つ小鬼ゴブリン。
もう、この光景は見慣れたものだ。
「じゃあ、いきなり試してみようかな。“狙い撃ち”!!」
ヴォイスアシストを利用して戦技を放つ。
すると、構えの位置から自動的に標的への軌道修正が働いた。
“僕が狙っていた位置”よりも若干上に引っ張られて、更には弓を引く力が上昇した。
これは、僕が僕の意思で動かしている訳では無い、何処か変な感覚だった。
「グギャーー」
見事なまでのヘッドショットが決まった。
しかも、僕が普通に弓を射るよりも、その威力が上昇してだ。
「へえ。そう言う事か。“イメージ”により近付くって訳ね」
僕のイメージでは頭を打ち抜くイメージだった。
だが、戦技を使用すると、その構えた(狙った)位置に修正が働いた。
これは、僕のイメージが、より具現化してくれたと言う事。
今はまだその効果が小さいものだろうけど、使えば使う程、その効果は上昇するものだ。
「戦技良いね!!戦略の幅が広がるし、戦闘そのものが楽しくなる!!」
僕は、そのうち「百発百中を体現して見せる!!」と意気込んだ。
そうして時間を忘れ、更にゲームへと没頭して行く。
ラグナロクRagnarφkのトップ・オブ・ザ・ワールド、No.一プレイヤーへと君臨する為に。
「魔法も戦技も、使いこなしてみせる!!」