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6話 ここは地獄ですか?的な話

忙しかったり、筆が進まなかったりで8月中の更新は毎週土曜日22時を予定しています。お盆を過ぎれば少し時間が取れるので、筆が進めば更新頻度を上げます。

大変ありがたい事にユニークアクセスが約50件。読んで頂いた皆様に感謝。

 出口らしき大きな光の中に飛び込んだ俺が目にした光景は、薄暗い大きな部屋の中。幾本もの太い石柱が天井を支えている。天井からは鎖が1本垂れ下がり、その先は、ボロボロの鎧を着た白骨死体の首に繋がって気味の悪い音を立てている。


 あ、これ地獄だ。帰ろう。


 最初に思ったのはそれだった。

 俺は、怪しく光る魔法陣の中に居た。恐らく、この魔法陣がさっきの出口と繋がっていたのだろう。

 正面には、玉座があり、黒い羽根と角の生えたイケメンが座っている。すぐにピンときた。


 絶対こいつ魔王だ。


 俺が居る魔法陣の近くには、超絶美人が立っていた。それと3頭身くらいの小さいおっさん。

 小さいおっさんはどうでもいいが、超絶美人さんも残念な事に、黒い羽根と角がついてる。

 俺を睨んでるような気がするけど、気のせいだろう。たった今出会ったばっかりで、こんな美人さんに恨まれるような覚えはない。


 俺の後ろには、いかにもな感じの吸血鬼とか狼男のような怪物が何人かいる。


 あーコレ。アレだ。生贄って奴だ。俺、食われる為に引っ張られたんだな。どうせなら超絶美人さんが良いんだけど。


 小さいおっさんは、魔法陣に現れた俺を見ると、魔王っぽい奴に何かを話し始めた。


 何言ってるかわからないけど、『本日のメニューは人間の魂です。お召し上がり下さい。』とかそういうやつだ!さっさと逃げよう!


 逃亡を開始すべく体を動かそうとするが、動かない。さっきまで浮いてたので地に足がついてない事に何も違和感を感じなかったが、よく見れば足が無い。手もない。恐らく光の玉の状態なんだろう。


 まずい。まずい。まずい!この状況はまずい。熊が目の前にいた比じゃない。


 魔王(仮)と小さいおっさんの話は終わったのか、小さいおっさんは何かを指示する。

 すると、俺の横に、全身を鎖で拘束されながらも、暴れようとする牛頭のマッチョ。そしてもう1匹、大人しく跪く牛頭のマッチョが連れてこられた。


 小さいおっさんは、魔王(仮)に続きを話し始める。最後に、美人悪魔(仮)に向かって何か言うと、美人悪魔(仮)は、俺に向かって右手を差し出すと、指揮棒を振るように腕を上げる。その動きに合わせて俺の体も浮き上がる。続けて、美人悪魔(仮)が腕を下すと、大人しい方の牛頭に向かって俺は飛ばされた。


 ドン!と、体に衝撃が走る。大人しい方の牛頭と衝突し、俺はその体に吸い込まれた。


 俺は暗い世界に再び放り込まれた。瞬間、体に衝撃を受け吹き飛ばされる。目の前に牛頭が現れ、俺を殴りつけたのだ。

 痛みと同時に、牛頭が俺を取り込もうとしているのをはっきりと理解した。牛頭の思考が流れ込んでくるのだ。

 どうやら、俺の予想はそれ程間違っていないようだ。奴ら、否、奴の狙いはこうだ。異世界から死者の魂を呼び出す。世界の狭間を渡った際に魂は強化される。その魂に新たな魔物の肉体を与えて使役する。それが表の目的だ。しかし本来の目的は、新たな肉体を与えるのではなく、隷属した配下に召喚した魂を取り込ませ強化る事にある。そうやって強力な配下を増やし、力をつけてから、魔王を討ち、自身が魔王に成り代わろうとしたのだ。失敗しても問題はない。暴走して魔王に傷でも負わせられれば上出来だ。事前に行った実験でも暴走した。隣に連れて来られた鎖で拘束された牛頭がソレだ。協力者の美人悪魔こと、サラスに暴走の責任を押し付け、ライバルを失脚させる。そういう筋書きだった。


 くそ!やっぱ生贄みたいなもんじゃねーか!ザイルとか言う奴は許さん!


 世界の狭間とは違い、地面があり、星の様に煌めく光の玉は周囲には無い。同じなのは、半透明の生前の姿に戻っていて、体も自由動かせるようになっていた事。


 こちとら魂の状態で、既に熊とやり合って完勝してんだ。牛ごとき余裕だろ。


 世界の狭間に居た時と同じように、槍を思い浮かべると、手にはイメージ通りの槍が現れた。


 これなら問題ない。


 穂先を相手に向け、構えると。十分な距離を取ってまずは相手を観察する。

 敵は牛頭のマッチョで身長はでかい。2メートル程で、マッパである。


 ミノタウロスじゃんこれ。3、4メートルくらいあるイメージだったけど、実際はこんなもんなのか。


 想像より一回り小さい事に拍子抜けする反面、野生の熊と伝説の生き物のミノタウロス。どっちが強いかと言えば、きっとミノタウロスだが、そんな事を考えてはいけない。


 牛頭は槍に警戒しつつも、一歩、二歩と距離を詰めてくる。当然こちらも一歩、二歩と下がり、距離を空ける。

 熊と違い、両手はごつごつした指があり、物を掴む事ができそうだ。不用意に攻撃をすると槍を掴まれて、振り回されたり、槍を奪われる可能性もある。奪われた槍は、消せばいいが、咄嗟に新たな武器を出せるかが問題だ。後ろに回り込んで、ぶすりと刺そうにも回り込む方法がない。殴りに来た所をうまく躱し、懐に入り込んむ事も考えたが。長い槍では、取り回しが悪い。


 どう攻撃するかを考えていると。痺れを切らしたのか、こちらに向かって一直線に走ってきた。


 一か八か……


 牛頭との距離が4メートル程になった所で、槍を握り直し、牛頭の胸目掛けて、投げつける。それを右手で叩き落す牛頭。


 槍を投げると同時に走り出していた俺は、目の前で槍が叩き落されると、80センチ程の剣をイメージし、がら空きとなった牛頭の右脇腹へ潜り込み、両手で切先を突き立てた。


「グオオ」


 牛頭が叫ぶ――が、浅い。10センチ程刺さったが、致命傷とはならなそうだ。


 ドン!――不意に右側頭部に強い衝撃を受けると。視界が回転する。

 俺は、牛頭の右後方へ吹き飛ばされていた。どうやら、牛頭が咄嗟に振り回した腕に直撃したようだ。耳の辺りがめちゃくちゃ痛い。牛頭は痛みに暴れているが、まだこちらを捉えていない。痛みを我慢し素早く立ち上がる。駆け出しながら新たな剣を出現させると、腰だめに構え、牛頭の背中に体当たりをした。剣は俺の体重と速度を乗せて、鋭さを増し、牛頭の身体を貫いた。


「グオオオオオオオオオオッ」


 雄叫びを上げる牛頭。身体を貫いた剣は抜けそうにない。剣から手を離すと、牛頭は両膝を突く。背の高い牛頭の首は、俺の胸元の高さにある。

 日本刀をイメージし、バットを振るかのように、刃を首に叩き込む。ぼてぼてのゴロで牛頭の頭部は転がっていった。


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