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20話 お菓子は儀式の供物です的な話

こっそりひっそり


2019/09/30 脱字修正

 進路を変更し、真っ暗な闇の中を熊の魔物のゾンビに跨り5日走り抜けた。遠くに小さな明かりが微かに見える。ウェインの町まであと少しだ。


「これ以上進むとウェインの町まで行ってしまうわね。どうする?」


俺達が走って来たウェインの北東部は、平原が広がり田畑が広がっている。身を隠す所を探しながら街道を進んできたが、これ以上町に近づくのは得策ではない。


「多少離れてても森や山岳に身を隠したいな。」


「そうなるとメイトール湖とは反対方向になるけど、ウェインの北西に山があるわね。迂回してそっちに行く?」


「よし。そこで朝まで休もう。」



 来た道を一度引き返し、ウェインを反時計回りに迂回するように付近の山を目指して進む。真夜中の移動は慣れたもので道中に不安はないが、ウェインは大きな街なので深夜と言えど人と遭遇する可能性は一気に上がる。獣道のような道なき道を進み、山中でキャンプを張り朝を待った。


「では、俺達はここで待機しているから、レナ、ウェインに 行ってノイブルク商会の会頭とコンタクトを取ってきてくれないか?」


「わかったわ。物資の受け渡しはどうする?この近くまで持ってきてもらうしかないわよね?」


「それしかないな。本当は俺が直接行って武具以外に使えそうな物が無いか見てきたいんだが、この身体じゃあ騒ぎになるからな。物資の調達はレナに任せるよ。」


「任せておいて。」


「レナ。コレもよろしく。この間話した襲撃に使えそうな魔術の触媒をメモしたから、そこに書いてあるもの買ってきて。」


「色々あるわね。ん?下の方にクッキー、飴、串焼きって書いてあるけど、こんな物も魔術の触媒になるの?」


「も、勿論さ!それがないと、ええと。アレだ。そう。精霊の召喚の供物にするんだ!」


「はぁ。チャーリー。すぐバレるような嘘つかないで、自分が食べたいなら素直にそう言いなさい。」


「う、嘘じゃないさ!ボクの呼ぶ精霊は、お菓子が大好物なのさ!」


「はいはい。私も久しぶりに甘いもの食べたいし、買ってくるわ。それじゃあ行ってくるわね。」


「よろしく頼む。」「絶対だぞ!絶対にお菓子買ってきてよ!」



 レナがウェインへ行っている間にこちらは特にやる事はない。チャーリーは赤爪を抱き枕に昼寝をし始めるし、ゾンビやスパルトイは、いつも通り周囲に配置し静かに警戒をさせている。


 鎧の確認でもするか。


 この5日間、3種類の金属板を張り付けた結果は、1番鎧に馴染んだのが鎧と同じ物質をイメージして作った錆びた鉄板。2番目が魔王城から持ってきた剣と同じ材質の鋼の鉄板。3番目がステンレスをイメージした鉄板だった。予想通りの結果だが、鋼の鉄板が一番作るのが楽だったので、差が殆ど無いなら鋼の鉄板を張り付けるつもりでいたのに圧倒的に錆びた鉄板の吸収が早かった。多少面倒ではあるが、道中錆びた鉄板を作っては張り付けていた。


 うん。鎧の傷や穴は粗方修復されたようだな。


 鎧の状態はかなり改善されていた。穴や傷は塞がり、形状も髑髏の身体に合わせてサイズがやや小さくなり、代わりに骨を覆う面積が増えたようだ。鎧の赤錆は徐々に黒錆へと変わり、赤錆と黒錆の斑模様になった。スクラップから年季の入った鎧にまで回復した。剣の方も同じ様な状態で襲撃までには十分使えるようになるだろう。


 そして面白い変化がもう一つあった。なんと!首枷から伸びた鎖が自在に動かせるのだ!もっとも、鎖は30センチ程しかないので自由に動かせたところで、顔の前で鬱陶しいだけなのが残念だ。


 体のチェックも終わり、鉄板作りに励んでいると、突然、周囲の警戒をしているゾンビの反応が1つ消えた。


 野良モンスターか人間に見つかったか?


すぐに現場へ急行すると、そこには、丸太を持った毛むくじゃらの男?と赤い髪の女がゾンビを蔓で巻いて運ぼうとしている。どちらも伸長は2メートルは超えていそうででかい。


 多分トロールだな。


「おい。俺の作ったゾンビをどこに連れていくつもりだ?」


 トロールは、俺の呼びかけに対し即座に振り向き、警戒態勢を取った。


「なんだおばえは!これは、おで達の獲物だ!」


「まて、こいつ、ワイト。」


 男の方は、やる気満々といった様子で、女の方は話が通じそうだ。


「すまん。グールだと思って攻撃した。でも、この山はトロールの縄張り。縄張りに入った以上トロールに従え。このゾンビは友好の印として貰う。」


 あれ?話は出来るけど話は通じないパターンだコレ。


「断る。俺が従うのは、今の所、魔王様とサラスさんの2人だけだ。トロールに従う気は無い。俺のゾンビを置いて巣に帰れ。大人しく去れば、こちらから危害は加えない。」


「こいづ、殺す!」「魔王だと!」


 男の方は、丸太を振りかぶり、突進してきた。トロールの男の振った丸太をひらりと躱すと、丸太は木を半分にへし折った。


 やべ。1発でも当たれば、俺の身体もへし折られるな。


「ロブ!そいつ、魔王の配下!殺さないように時間を稼げ!長を呼んでくる。」


「殺さない。難しい!殺す!」


 こいつらは野良か。長を呼んできてくれるみたいだから、長を説得できれば一気に配下が増えるかな?まずはこいつをボコって力を示すか。


「逃げるな!死ね!死ね!」


「おいおい、ダメだぞロブ。殺すなって言われただろ?俺は、お前の為に避けてあげてるんだ感謝してくれよ。」


「殺す!死ね!」


 怒ったロブは、がむしゃらに丸太を振り回す。レナとの戦闘訓練でだいぶ扱かれたお陰で、こうした大振りを躱す事など造作もない。左から迫る丸太を掻い潜り、右手に魔力を込めてキツイ一発をロブの腹に叩き込むと、ロブの身体は木をなぎ倒しながら飛んで行った。


 やり過ぎたかな?頑丈な種族らしいし、死んでないと思うけど。


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