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17話 実は有名人でした的な話

「ふーん。それでその皇女を恨んで、復讐しようって?」


「チャーリー、起きてたのか。」


「恨んではいたけど、あの事件は不運が重なったと思っていたわ。近衛と言えども全く危険がないなんて訳でもないし。自分の命を捨ててでも皇女を守るのが仕事ですもの。任務に失敗して責任を取ったそれだけの事だったの。それに、魔物ハンターもやってみると、近衛より断然私に向いていて、正直、この1年久しぶりに充実した毎日を送っていたの。」


「じゃあ、どうして復讐しようと思ったんだ?」


「実はね、2ヶ月前に学園で同級生だった親友から手紙が届いたの。彼女はあの事件の顛末を不審に思って独自に、調べていてくれたみたいなの。魔術の才能に恵まれた彼女は、使った事がバレたら罪に問われるような魔術を使って、エリザベートとその周辺を調べ上げて私に報告してくれたわ。手紙の内容をまとめるとこうよ。


 誘拐事件は皇女自身による自作自演で、エリザベートの目的は自分の婚約破棄と、ついでに私を筆頭に気に入らない侍女や近衛の凌辱。


 本来の筋書きでは、暗殺や誘拐を専門に行う殺し屋の集団に馬車を襲わせ、近衛を無力化し、アジトへ移動。その後、皇女以外を嬲殺しにした所で、周囲で待機していた狼の牙騎士団の中隊が突入し、殺し屋共の口封をして、晴れて自分は、相手から婚約破棄される。


 予定外だったのは、私達近衛が想定以上に強く、殺し屋達を倒してしまいそうになった事。仕方なく錯乱した振りをして馬車から飛び出し、自ら人質になってアジトへ連れて行ったものの、肝心の私に逃げられた事。そして私が救援を頼んだのが、何も知らない末端の団員達だった事で、中隊長は予定よりもかなり早く突入する事になり、近衛や侍女達を嬲殺しにできなかった事。


 そして最後に、復讐するなら協力する。って。


 手紙を読んですべて納得がいったわ。事件の少し前まで、ハルキ・スエを未練がましく頻繁に呼び出していたのに、あれだけ嫌がっていた輿入れを進めては、いきなり別荘に行くと言い出したり、人選もそう。考えてみれば、別荘へ行くメンバーは、エリザベートに目を付けられていた者が全員揃っていたわ。」


「酷いな。あまりにも酷い話に酷いとしか言いようがない。」


「人間は、ザイル元宰相みたいに手の込んだ事が好きだね。権力なんてものを作るから、バカが増長するのさ。スヴェントみたいに実力主義なら、従うか殺されるかの2択だからこんな面倒な事起きないよ。」


「おいおい。俺はそのバカの手の込んだ計画でこの世界に呼び出されたんだぞ。まぁいい。話は終わったし、チャーリー。サラスさんへ連絡を頼む。」


「わかった。少し遅い時間だけど、盗人に関わる情報だし、問題ないだろう。」


 チャーリーは、リュックから通信魔術に使う水晶を取り出し、魔力を込める。水晶が淡く輝きだすと水晶に向かって話し始めた。


「サラス様。チャーリーです。この間のユニコーンの角を盗み出した者の件で報告があります。」


「……」


「……」


「サラス様いらっしゃいませんか?」


「……」


「サラス様お休み中ですか?」


「……」


「サラス様お風呂かな?サラス様のお風呂長いんだよね。たまにお風呂でストレッチやってるのか『あぁっ』とか『んーっ』とか言いながら息を荒げながら一人でお風呂に入っ――」


『チャーリー!!!』


「あ、サラス様お休み中の所申し訳あり――」


『そんな事より!今の話!今後一切禁止よ!!わかった!?』


「え?あ、はい!」


『で、何の用なの?くだらない話だったら切るわよ!』


「この間ユニコーンの角を盗み出し奴が帝国の――」


『――成程、今の話とこちらの掴んでいる情報と照らし合わせると、帝国の第2皇女エリザベート・プラブルツが、第2皇女に惚れ込んでいる帝国の勇者リュウ・オオウチを唆し、ユニコーンの角を盗みだした。エリザベート・プラブルツの目的は、ユニコーンの角を魔術触媒にし、魅了の魔術で帝国の勇者ハルキ・スエを魅了。そのついでに帝国を乗っ取って自分の思うがままにしよう。と、いう所かしら。』


「え?リュウ・オオウチって誰?てか三角関係とかどういう事?聞いてないんだけど?」


『今言ったわよ。でも、ちゃんと理解しているようね。アキト、チャーリー。これよりエリザベート・プラブルツ及び、リュウ・オオウチを始末し、邪魔する者は、すべて排除しなさい。スヴェント魔王国に喧嘩を売ったらどうなるか見せてやるのよ。』


「了解です。わかりました。」「仰せのままに!」


『レナ・グランツ。あなた、魔王軍と手を組んだからには、人間の社会にはもう戻れないわよ。一生、こちら側として生きていく事になるけど、その覚悟はできているの?』


「……。申し訳ありません。そこまでの覚悟はしていませんでした。しかし、サラス様の話を聞き、私の復讐よりも、帝国が、いいえ、祖国が、エリザベートに乗っ取られるのだけは阻止したいと思いました。生半可な覚悟ですが、アキト殿とチャーリーにご同行させて頂けないでしょうか?」


『ふふ。まぁ、今はそれで良いでしょう。レナ。今後アキトの下について行動しなさい。』


「はっ!」


『アキト。まずは、ゾンビやスパルトイを増やしながら、帝都方面へなるべく人目に付かないように進みなさい。勇者が相手となると、今のあなたじゃ分が悪いでしょうし。騎士団と正面を切ってぶつかれば蹂躙されるわよ。こちらで、武器の手配やターゲットを誘き出して、戦いの場を用意するから、しっかり戦力の増強と、自己鍛錬に励みなさい。それとレナに手紙を送った親友というのは、ペトラ・エールドかしら?』


「は、はい!そうです。ペトラをご存じなのですか?!」


『えぇ、彼女、中々優秀で、魔術師達の間では期待のニューフェイスとして名が知れてるわよ。勿論、学生時代彼女のライバルで、未熟とはいえ勇者を打ちのめしたレナ・グランツ。貴方の事もね。ペトラ・エールドの事は任せなさい。それじゃぁ、追って連絡するわ。』


「……なんか、一気に話が大きくなったな。」


「一国の皇女と勇者がターゲットなんだから当然よ。」


「それもそうか。これからよろしく頼むよ。レナさん。」


「こちらこそ!それとこれから私はアキト殿の部下です。レナとお呼び下さい。」


「あー。あまり堅苦しいのは止そう。俺もアキトでいいよレナ。」


「ふふふ。じゃあ改めてよろしく。アキト!」


 握手を組み交わしながら、やっとレナの明るい笑顔見る事が出来た。ヤバイ。今まで気付かなかったけど、めっちゃ可愛いじゃんこの娘。くそっどうにかなる訳じゃないにしてもこの骸骨の体が恨めしい!!


次回 多分31日22時

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