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15話 あ、どうも初めまして的な話

 顔を合わせるなり若い女性に悲鳴を上げられた。酷い。異世界転生ってモテモテハーレムがお約束だろう!生まれ変わって約2週間、臭いから近寄るなと言われたり、顔を見るなり悲鳴を上げられたり。ホント何なのこの身体。泣きたいのに涙も出やしない。


「お、おいチャーリー、この方は?」


 努めて平静を装って問う。内心はガラスのハートのが砕けそうだ。


「このおっぱいお化けは、レナ何とかって人間の迷子。こいつ、ボクがゾンビに襲われてると思って、ゾンビ達を肉片にしちゃったんだよ。」


「だからそれは、お前が助けてと言ったからだろう!それにおっぱいお化けとはなんだ!」


 おっぱいお化け……成程。随分と仲が良さそうで何よりだ。しかし、こんなに奥に居るなんておかしいと思ったら、そういう事か。このバカ、ゾンビを熊の魔物だと思って逃げてきたのか。


「ほう。それで、一体なんでお前はこんな奥に居るんだ?」


「それはだね。うん。そうだ。悲鳴が聞こえた気がして、ここまで様子を見に来たんだよ。」


「悲鳴を上げて助けてと叫んでたのは、お前だろう!」


 思った通りだな。しかし、コイツ空気を吸う様に嘘をつくな。


「状況は分かった。レナさん。俺はアキト。チャーリーが世話になったみたいだな。こんな見た目だが、魔王軍に異世界から召喚された元人間だ。怯えなくていい。」


 そう言って右手を差し出す。取り合えず警戒心を解いてもらわないといけない。レナは恐る恐る右手を握り替えす。握手とは言え女性と手を繋いだのは、中学のレクリエーション以来か。泣けてくる。


「魔王軍の召喚勇者?!そんなまさか!あ、私は、レナ・グランツ。プラブルツ帝国の魔物ハンターよ。プラブルツ帝国の勇者の1人の足取りを追ってここまで来たんだけど、1週間前に赤爪に襲われて、命からがら逃げ延びたものの、この有様よ。」


「元人間と言っても言っても今は、ワイトだろ。アキト。こいつをゾンビにしてひん剥いてレナが倒したゾンビの代わりに使おう。」


 コイツ、なんで俺の警戒心を解く作戦を台無しにしてくれるの?


「余計な事は言わんでいい!所で赤爪とは?」


「あぁ、赤爪は、この辺りを塒にしてる商人の間で有名な熊の魔物の名前よ。普通は群れない熊の魔物なんだけど、そいつは、群れを率いてここを通る者を襲っているの。狂暴で、血で真っ赤に染まった爪が由来ね。」


「こいつそんな有名な魔物だったのか。やっぱ名前は赤爪にした方が良いのかな?」


 俺の後ろから、顔を出す熊の魔物にレナとチャーリーの顔が凍り付く。


「お、おいアキト。そいつゾンビじゃないよな?どうしたんだ!?襲ってこないだろうな?」


「おいおい、コイツのお陰でお前達を見つけられたんだ。感謝しろよ。まぁ、簡単に言うとサラスさんが言った通りぶん殴ったら、腹を見せて降参してきたんだよ。んで配下にしたんだ。サラスさんが殴って言う事を聞かせればいいなんて言った時は、面倒だから適当に言ってるんだと思ったら、本当に言う事を聞くとはな。流石サラスさんだよ。んで、こいつが横穴の構造に詳しいみたいだから、ゾンビ達の匂いを辿ってここまで来たって訳だ。それと、ほら。おまえの荷物。途中で落ちてたぞ。」


「サンキュー。これでサラス様と連絡が取れる。でもアキト。あの時、サラス様は間違いなく適当に言ってた。そいつが、降参したのは偶然だから。」


 なんだよ!偶然かよサラスさんスゲーって思って損したわ。


「まぁいい、さっさとここから出よう。こいつが外に案内してる。」


 元の抜け道に出るまで、お互いの情報を共有した。俺は死んで召喚されてからの経緯を、レナさんは、ここに来た目的と今後の事を。


「つまり、レナさんが追っていたプラブルツ帝国の勇者が、ベラルで貴重な素材を盗み出した容疑者で、そいつを裏で操ってる奴に復讐したいから、目的が同じ者同士、共闘しようって訳か。」


「そういう事ね。」


「しかし、ここではすぐに、返答できないな。」


「何故?お互いにメリットがあるじゃない?!」


「理由は、俺が、魔王様から配下を増やしてスウィーチ王国で魔物達の拠点を作れと命令を受けていて、その旅の途中である事。それとサラスさんからは、寄り道せずさっさと行けと、鬼の形相で言われてるんだ。勝手な事してまた怒られるのは勘弁。ここから出たら、一旦サラスさんと連絡を取って指示を仰ごう。チャーリーが通信術でサラス様と連絡が取れる。」


「はぁ。わかったわ。今はそれでいい。」


 赤爪の案内で、元の抜け道まで戻る事が出来た。赤爪の群れだった魔物は、他の魔物に食い千切られたようで、以前のゾンビ達よりも凶悪そうな熊のゾンビが出来上がった。ちなみに、レナが切り刻んだゾンビ達は、ダメ元で再びゾンビ化しようとしたが、やはりダメだったが、スパルトイとして魔力を込めたら、肉のついたスパルトイとして復活した。


「荷物持ちは赤爪が衛生的に良いな。チャーリーの盾役は新しいゾンビ達で良いとして。このスパルトイ達はどうするか。エサ代に困る訳じゃないし、取り合えず連れて行くだけ連れていくか。」


「死霊術って初めて見たけど、悪趣味ね。」


「悪趣味なのは、承知しているが、こいつらが居なかったら熊の囲まれてチャーリーは、殺されてただろうし、お前とも会わなかったんだ。予め出来る事はやっておくのが生き延びる術だよ。さて、さっさと抜け道を抜けて、サラスさんと連絡を取ろう。」


 抜け道を通り抜けると、空はうっすらと明かりが差していた。澄んだ空気が、日の出前である事を教えてくれる。


 「ここからはプラブルツ帝国か。」


「ボク、洞窟の中にはもう入りたくない。」


「同感ね。」


「2人とも、随分疲れているようだし、一先ず休憩でもするか。」


「「賛成」」


そう言うなり2人は、大きな革を敷いて眠りに落ちた。


次回25日 22時

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