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今日から学校と仕事、始まります。②莞

スマホ人間になりたい、わけねぇだろ!!

作者: 孤独

今はどこでも当たり前となっているスマホ。

暇さえあれば、それが自分の世界に繋がるものだ。

なのに、それがここにはなかった。たったそれだけでも激怒ものになるのも、致し方ない。


『なんでスマホがないんだよ!』


この白い空間で叫んだところ。帰って来る声は老人、良くて中年男性といったところの声。


『それは君が今、私の遊びに招かれているからだよ』

『お前の遊びに俺は呼ばれたのか!?』

『そう怒らないでくれ。私の楽しみなのだ。人間観察』


姿は見えんが、


『訊こう。野本京太のもとけいたくん。君は今、何が欲しい?』

『神様の真似事か』

『真似のつもりはないけれど。答えてくれれば、元の世界に戻してあげるさ』


どーでも良かったが。夢の中だと思えば、自由に動いて口も喋るここにしかなかった。普段、やんねぇ事すらやってしまうようなこと。


『俺がスマホと合体するみてぇーな!便利な人間になりたいな!』

『ス、スマホ……私、機械に疎いんだがねぇ』

『答えたからさっさと元の世界に戻せ!』

『分かった分かった。あとでそっちに送るから』


こーして、訳の分からない空間でのやりとりは終わった。

現実世界で目覚めた時、やけにこのやり取りは覚えていた。



◇    ◇


とある喫茶店にて


「すまないが、広嶋くん。スマホってなんだい?」


中年や年寄りが科学の進歩についていけていないような、言葉だった。事実、見た目は想像通りの老いた喫茶店の店主マスターである。

訊かれたお客様であり、仲間の1人である広嶋は実物を見せるのであった。


「こーいうのだろ。なんだよ、アシズム。知らねぇーのかよ」

「おおっ、それがスマホかい。携帯電話と変わらないわけだね」

「まぁ、そーだな。俺は野球中継と天気ぐらいしか確認しないが」

「いやぁ。最近の人達はそれを持っているんだろう。私、持ってなくてね」

「神様のお前には要らねぇだろ?」

「だからさぁ、スマホと人間が合体したいっていう願い。どーやって叶えれば良いか。難しくてさ。イメージでくっつけてみたんだけど」

「わかんねぇのにしてやるなよ。イメージだけでやるなや」

「ごめん、始末して来てくれない?」

「俺は廃品回収人じゃねぇーぞ」



◇      ◇


「ううっ」


あの日から何かがオカシイ。

いつもなら菓子を中心とした、食べ物に夢中になりながら、遊ぶことを楽しんでいるはずなのだが。今は


ブスッ


ケツから生えて来たしっぽ。その先端にはスマホ充電の端子。これで自分を充電する事により、体力と気力が湧き上がってくるようになっているのだ!……


「いや!!おかしい改造されてんだろーーー!!?どーいう事だ、おい!?何かってレベルじゃねぇ!!1週間経って、オカシイと思えたぞ!」


サイヤ人のしっぽ以上におかしい体の変化を、何かレベルでの違和感に思えるほど謎の現象が起こっている。これは自分だけじゃない。


ガララララ


「あ、京太。今、充電中なのね。ちょっと、調べものして欲しいんだけど」

「姉ちゃん!!俺の体おかしいよな!?絶対変だよな!?みんなと違うよな!」

「?何言ってんの?あなたは世界初の人間とスマホが合体した、超科学人間じゃない。馬鹿なの?」

「姉ちゃんが何言ってんだよ!!」


世界はどうやら改変されたようだ。俺自身、1週間くらい気付かなかった。スマホと合体、超科学人間として今。俺は生活をしている。

ケツから充電用のケーブルが生えている違和感は、ベルトのように巻けば普通の人間のように見える。

これでこの変な外見を誤魔化す事ができる。


「おーっ、野本すげぇっ!GOOGLE先生を利用して、全部分かるのかよ!」

「授業受けながら動画にゲーム、漫画が見えるって羨ましー!」

「というか、野本に授業なんて要らないな!学ばなくていいなんて、みんなが羨ましく思うぞ」


俺の脳はどーやら、GOOGLE先生などからネット情報を取り寄せる事ができ、


『京太ー。帰ったら飯を作っておきなさーい』

「姉ちゃん、テレパシーするな」

『私は電話してるんだけど』


テレパシー感覚で電話やメールのやり取りが可能。

自分が見た情報と聞いた情報をそのまま動画として、作成することも可能。世界の天気も情勢も瞬時に分かる。とんでもない能力を手にしている。人間とスマホが一体化したの、サイコーじゃねぇか!


そー思っていた時期がありました。


「まったく姉ちゃんは……」


そうそう、自分の右手にはLINEPAYやSUICAの機能を持っており、楽々と買い物ができるようになっている。

そーして買った今日と明日の飯の材料を自転車カゴに入れ、発進しようとした時。


「ん?」


痛みはなかったが、異常な違和感。目を疑うことが身体に起こっていた。

分かりやすい外傷であるのに人間じゃあり得ない事だった。


「ヒ、ヒビ!?」


血は流れないし、骨だって見えやしないが。いつの間にかヒビが、手の平に刻まれていた。大慌てで家に帰って、鏡で全身を確認すれば



「か、身体全体にヒビが入ってるじゃねぇか!?」


スマホ機能を手にしたと思ったら、身体そのものもスマホのような構造になっていた。ヒビと傷が無数にあって、どれも直る気配はなし。自然回復など起きない体だった。

それだけではない。


「ちょっと!京太!あんた、どんだけスマホ使ってんのよ!?」

「え?姉ちゃん」

「電話料金に通信費!あんただけ、2000万越えよ!!なにやってんの!?」

「ええええええぇぇっ!?」



ど、ど、どーなってんだ。こりゃ。こんなの一家離散するレベルじゃないか。


「あんたは会話しすぎ!あんたは会話するだけで料金が発生するのよ!電話料金が嵩むの!」

「いやいやいや!」

「一言につき100円よ!!反論も言い訳もするな!!」

「実の弟にそんなこと言わないでください!」

「思考するだけでネット繋いで通信するし、行動の一つ一つにも料金が掛かるの!!あんたは黙って、周りが使いたい時だけ、動きなさい!!この人間型のスマホがーーー!!」



ええええええええっっーーー!!


ブツゥンッ


こーして、野本京太は精神的に折られ、意識を飛ばすのであった。



◇        ◇



「バッテリー切れして良かったな。俺が破壊するとこだった。人間の行動が思った以上に力を使うみたいだ。内臓バッテリーというか、心臓も大分弱ってるぞ」


意識を失った野本京太を回収した広嶋は、アシズムの元へ運んだ。

やがて人間と科学が融合した生物が生まれるかもしれない。


「元に戻せるよな?世界含めて」

「戻さないと、彼が死んじゃうよ」

「やったのお前じゃねぇか。なんで俺が回収してんだよ。責任とって元に戻せよ」

「”自分店ハコマネ”はもっとシンプルな道具と合わせて使うべきだね」


スタイル:魔術

スタイル名:自分店ハコマネ

詳細:

使用者と道具を合成する能力。術者自身が道具の性能を引き出す事ができるが、使うほど道具に近づいていき、コントロールができなくなる。





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