Letter
貴方が今、これを手にしているということはこの時間での私の死期が過ぎたということなのでしょう。
きっと、貴方は私がいなくなったことに対しひどく疑問を抱いていることだと思います。これは私が望んだことであり、全て独断です。私の為、共に生きた仲間の為と、忘れてしまうくらいの莫大な時間を奔走した貴方には酷い裏切りの行為になりますが、どうか許してください。
貴方が今までどれだけの想いでここまでやってきたのかは、先に話してくれたときに理解はできているつもりです。私はその過程を視ただけですが、この苦しさは何度も経験するものではないと思います。
手探りから解決策を見出し、細かな時間までの試行錯誤。どれだけの時間を費やしたのか、それを思うと胸が張り裂けてしまいそうです。
もうこれ以上苦しんでほしくない、そう私が言ったとしても貴方は聞かなかったでしょう。全てが仲間を繋げると信じ、報われる日が来るまで旅を続けるつもりだったと思います。
ですが、これは終わりを迎えることなどないと私は思います。きっと、貴方も同じ結論に至ったのではないでしょうか。どれだけの時間、道を選んだとしても行き着く先は同じ。
いつか、世に名を残した偉人たちの話をしたのを覚えていますか? 始めから決まっていたこと、私は彼らと似た運命を辿っただけなのだと思います。けれど、これは私が選び進んだ道であり、後悔はしていません。何より、皆さんと過ごす日々は何物にも代えられないものになりました。
そして、永遠に続き苦しむことになり罪を重ね続けなければならないのなら、その元凶である私が終わらせます。私は死に際にかの存在の干渉を受け、提案に乗りました。貴方を救う、そのためには私が、私という存在をこの世から消してしまうのが最善かと、そんな結論が出たからです。
これを最後にする、私は初めからこの世のどこにも存在しなかったことにします。これから貴方が旅立つ後にも先にも私という存在はありません。
貴方をこの連鎖から救いたい、貴方自身が望まない結末だったとしても、それでも私は貴方を解放したかった。貴方は優しい人です。だから自分がどれ程苦しんでも構わないと、そう思い続けてここまで来たはずです。ですが、そのことは私にとっても苦しいと思ってしまうことです。
ですから、どうか、縛りのない貴方の時間を生きてほしいと、私は願います。
最期に、私の遺す一欠片が貴方を導いてくれますように。




