その4
「今日の晩御飯はレトルトにするっす」
「ん~買い物も行ってないしなぁ~」
そう言うと薙扨はキッチンへ向かい棚を開ける。
レトルトのハヤシライスを取り出し、手持ち鍋に入れる。
そして鍋に水道から水出してを入れ、コンロに置き火にかける。
「ハヤシライスしかなかったから、ハヤシライスにしたっす」
「ふつうレトルトって言ったらカレーが定番なんだけどなぁ~」
「正宗がハヤシライスがいいって言うから買いだめしたんじゃないっすか!」
「だからと言って毎回ハヤシライスなのはちょっと……」
キッチンから戻ってきた薙扨と正宗はたわいのない会話をする。
正宗は立ち上がり食器棚から食器を取り出してくる。
そしてキッチンに持っていく。
「あ、正宗。まだ早いっすよ」
「皿を置いとくだけだよ」
そう言って皿を置くと冷蔵庫を開けて水の入ったペットボトルを取り出す。
そして食器棚からコップを取り出す。
「ふぅ……」
「あ、ぼくも飲むっす」
「おう」
そう言われてもうひとつを取り出し机に戻る。
そして二つのコップに水を入れる。
「んぐんぐ」
「うむっうむっ」
二人は水を飲む。
そして飲み終わるとコップを机に置く。
「あ、そろそろ温まったかも」
「うぃー」
そう言いながら薙扨は立ち上がりキッチンに向かう。
キッチンでさらにご飯を盛りレトルトのハヤシライスを袋を開けてかける。
そして机まで歩いていき机の上に置く。
「「いただきまーす」」
パクパクと食事を始める。
「ていうか、いま思ったんすけど……ぼくら冷静すぎやしないっすか?」
「そういえばそんな気がする……」
『いろいろなことが積み重なり逆に冷静になってしまったのだろう』
「なるほど……ん?」
正宗は左右を見る。
誰もいない。
「あれ? 薙扨、何か言ったか?」
「え、いや、でもいま何かが……」
今度は薙扨があたりを見渡す。
左右に首を振るが何もない。
それを見た正宗は天井を見る。
薙扨も一緒に見る。
それでもないもない。
「はれ?」
「はれれ?」
なにもない。
何もなかった。
『いつまでもコントをしていないでこちらを見てくれ。声の聞こえる方向だ』
二人は言われるがままに声の聞こえる方を向く。
するとそこには例のキーホルダーがあった。
『わかったかな? ここだよ』
そしてそこから聞こえる声は創像機の意思の声だった。