その3
「にしても……色々ありすぎたっすね」
「今日一日でな」
徒歩で帰路につく二人。
二人はこれからのことを考えながら話していた。
「高校生活ってのは想像した以上に壮絶になりそうっすね」
「普通こういうのは想像できないからな?」
正宗は頭をかきながら苦笑する。
こんなおかしなことが起こってしまえば苦笑するのも仕方がない。
そんな正宗を見て薙扨はしかめっ面で見つめている。
「にしては結構普通に受け入れてたっすね」
「現実に起こったことは否定しない派なの」
「うーん。よくわからんっす……」
「男と女の考え方は違うっていうからな」
ハハッと笑い、手を広げながら正宗は首を振る。
薙扨もそれを見て少し困惑した顔をしながら前を向く。
薙扨の心の中では何も解決していないが正宗が笑っているのでこれ以上聞く気にもなれなかった。
「こう、なんかすごかったよな。戦うってことがさ」
「まぁ、なんすね……やったことのないことをするってのは……」
「多分これからもあんなのが出てくるんだろうなぁ」
「あれと戦うことより、創像機に乗るとエロいパイロットスーツになることのほうが問題っす」
顔を真っ赤にさせてうつむく薙扨。
その表情は恥ずかしいというよりも少し残念がっているようにも見えた。
「ま、とにもかくにも今日は家に帰って飯食って寝よう」
「そうっすね……まったく本当に疲れたっすよ……」
そう言いながら二人は再び帰路につく。
何も話さずに空を見上げたり、左右を見たりしながら歩いて行く。
そうこうしているうちに家の玄関に到着する。
そしてポケットに入った鍵を取り出す。
「あ、そう言えば……」
「あ、このキーホルダーのことすっかり忘れてたっすね」
二人は鍵の付いたキーホルダーを見る。
意味もなくたたいたり、振り回したりする。
「なーんにも起きないっすね」
「けどなんなんだろうな、これ」
再びキーホルダーを見つめる。
が、正宗は見つめるのをやめた。
「とりあえず玄関を開ける」
「そして家に入るっす」
そして二人は玄関を開けて家の中へとはいっていく。
そして玄関の近くにある電気のスイッチを押す。
するとあたりが明るくなる。
「何もないっすね」
「何もないな」
何事もなく靴を脱ぎ廊下を歩いてリビングに向かう。
天井を見たり左右を見たりしながら歩いて行く。
そしてリビングにつき、電気のスイッチを押す。
そしてあたりが明るくなる。
「やはり何もないな」
「何もないっすね」
そう言いながら荷物を椅子の横に置き、椅子に座る。