創像機 その6
葉木に招き入れられ、一行は屋敷の中に入る。
大きな和式屋敷であり、正宗達は初めて見るものばかりであたりをキョロキョロしている。
「はー! 噂の大屋敷ってこんな感じだったっすかぁ~」
「ハッハハ。大金持ちの豪邸に比べれば小さいものだけどね」
軽い笑い声を出しながら葉木の案内は続く。
廊下から見える庭を見ながら正宗達は進んで行く。
「さて、この部屋で話をしよう」
大きな襖で絞められた部屋の前に一同は立ち止まる。
すると襖が開き始める。
「おかえりですー。そして、いらっしゃいませですー」
部屋の中から迎え入れてくれたのは青味が勝った黒髪の少女だった。
透き通った海のように青い瞳。さらりと揺れる長髪は女性を挑発するほどに美しい。
小柄な体は愛くるしさを大いに表現しており、身の丈に合った胸がさらにかわいさを上場させる。
「あ、ど、どうも……」
「どうもです。お待ちしておりましたです」
「とりあえず座ってくれたまえ」
そう言って座布団を差し出される。
正宗達は少し驚いた顔をする。
(フリーなのか)
(こういうのって先に置かれているもんじゃないんすかね)
(わたし達は何か試されてるのだろうか)
三者三様の考えをしている横で薺は受け取った座布団を適当に置き座る。
部屋に机も何もないために正宗達も同じように適当に座布団を置き座り始める。
そして葉木が座り、全員が座り終える。
「では始めようか。説明をね」
葉木の言葉を聞き、三人は黙る。
じっと葉木の方を見つめる。
すると葉木の顔が赤くなる。
「あ~ハッハハ。いや、なんか恥ずかしいねぇ~」
「子供かよ!」
「赤くなられてもこっちが困るっすよ!」
「いや、すまない。多人数の人間に見られることには慣れてなくてね」
頭を掻きながら笑う葉木を三人は睨みつける。
それに気がついたのか葉木はコホンと一度咳をすると目をつぶり話を始める。
「聞いてるかもしれないが……薺と心乃は異世界人なんだ!」
「え? 心乃?」
「そこにいる女の子の名前じゃないかな」
「あれ、心乃のこと知らなかったのかい?」
すると全員の視線は少女に集まる。
すると少女はニコッと笑う。
「ボクの名前は黒巻 心乃と言いますです。よろしくです」
「黒巻? 異世界人なのに名字が同じなの?」
「養子縁組というやつです。この世界に来て身寄りもなかったボク達を助けてくれたんです」
そう言いながら心乃はニコッと笑う。
「異世界からあたし達はやってきた。破壊された世界から逃げるために」
「は、破壊?」
正宗が肩を震わせながら薺を見つめる。
「そう。あたし達の世界は奴らにより……破壊されたのよ」
薺はそう、呟いた。