創像機 その4
「なんだこの薄青い画面は……壊れたのか?」
『創像機に故障はない。これは外にフィールドが張られているのだ』
「フィールド? 薺はこれができる前に何か言ってたよな?」
正宗が薺のほうを向くと薺は頷く。
「このフィールドはあたしの仲間によるもの」
「仲間は超能力者か何かっすか?」
「超能力者というのが正解かもしれない」
「なんとっす!」
薙扨は両手をあげ、驚きの声をあげる。
薺はそれを見て目をつぶりながらドヤ顔をする。
「それよりこのフィールドは何?」
「建物内にいる人々をフィールドの外に送る効果があるらしい」
「らしい?」
「実際に見るのは初めて。後、建物を壊しても大丈夫だとか……」
「なんか信用できるかできないかの瀬戸際なんだが……」
「できるか、できないかじゃないと思うよわたし。倒すか倒されるかだよ」
正宗は村雨の言葉を聞き悩むことがアホらしくなった。
正宗は気を取り直して剣を怪物に向ける。
「とにかく化け物を倒す。それで決まりだ!」
「そう。とにかくあの怪物を倒せばいい」
「なんか会話に怪物と化け物がごっちゃになって分かりにくいっすなぁ」
「怪物の言い方争いなんかしてないで、と、に、か、く、やる!」
村雨の怒鳴り声により三人は少し震えながら黙る。
正宗は首を振り気を取り直す。
「いくぞぉ!」
剣を振りかざし怪物へと攻撃を仕掛ける。
倒れて立ち上がろうとしていた怪物は避けることができない。
「ズルナァ!」
怪物は再びよろけて倒れる。
「なんだ、弱いぞこいつ!」
「余裕ぶると足元をすくわれるってのが定石っすけど」
「それもそうだけど……それはアニメとかの話し。現実はそう行かないものなんだ!」
「こんな状況で現実とか言われても困るっすよ!」
正宗の言葉に対し薙扨は呆れ顔で怒鳴る。
正宗の言ってることはもっともだが今起こっていることは非現実的なのだ。
そんな矛盾を受け入れられるわけもない。
「非現実が現実で起こったら現実なんだよ!」
そう言いながら正宗は剣で攻撃を続ける。
怪物はそれを受けながら苦しそうに叫びを上げ続ける。
「なにか弱い者いじめのようだけど、人に害をなすから仕方がないわ」
「知能のない……本能で動いてる感じかな。かわいそうな気もするけど藍さんの言うとおりだね」
「その通り。そろそろ化け物の動きもなくなってきた。必殺技で消滅させてやろう」
「ならばここは飛び上がり炎をまとった剣を突き刺す『フィアンマスパーダカデーレ』っす!」
「よし、飛び上がって剣を突き刺すんだな。行くぜっ!」
その場から垂直に創像機は飛び上がる。
そして剣に青い炎が纏い始める。
「フィアンマ! スパーダ! カデェェェェェェェェレェェェェェ!!!」
「ムカツゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
剣を突き刺すと創像機は怪物から離れる。
そして叫び声とともに怪物は青い炎に包まれていく。
「ズルナァァアァァァァァァァアァァァァ~」
そして叫びが小さくなっていき青い炎が消える。
そしてその場にはただ剣が転がっているだけだった。