本来の力
目の前に、巨大な洞窟。
そして——巨大な人型の影。
巣である洞窟をサイクロプスが守っている。
(でかい……!)
「なぜサイクロプスが……」
俺は、声が震える。
「ジェネラルスパイダーは今繁殖期である可能性が高からより強いものにまもってもらっているんだわ」
俺の質問にニーシは的確に答えてくれる。
ニーシは、冷静だ。
「じゃあサイクロプスも倒さないと」
「そうだなネフィリムいけるか?」
ホーリーが、俺を見る。
「え⁉︎おれ?」
ホーリーの急な振りに思わず大声をあげてしまった。もちろんサイクロプスはそれに気づかないわけもなく、走ってやってくる。
地面が、揺れる。
ドシン、ドシン、ドシン——
「うわー。き、来ちゃったよ」
「ネフィリム、頑張って」
ホーリーが、俺の背中を押す。
「頑張てって言われても……二匹も無理だよ――!」
サイクロプスが、二匹。巨大な体が、迫ってくる。
サイクロプスを目の前に俺は腰が抜ける。
足が、動かない。
「た、助けて」
か弱い声を出す俺とは反対に相棒は勇敢だった。
影から、アルが飛び出す。
相棒アルいや、アルはサイクロプスの周りに「炎壁ファイヤーウォール」を建てた。敵から俺を守ってくれたのだ。
炎の壁が、サイクロプスを囲む。
(ファイヤーウォール...!?)
「今までそんなの使わなかったのに……」
俺は、驚く。
(いつの間に...!)
「そりゃ、そうでしょ。だって今まで詠唱してんだからその魔法しか使わないだろ」
ホーリーが、笑う。
(そうか...詠唱が縛りだったのか!)
「そ。そうなのか。じゃあアルあいつらを倒せ!」
「キュ~」
アルが、鳴く。
そしてアルはそう返事をしサイクロプスに火炎魔法を打ちまくった。
アルが、動く。小さな体が、炎を纏う。
「キュウッ!」
次の瞬間、巨大な火球がサイクロプスに直撃した。
「ウオオオオオ!!!」
サイクロプスが、悲鳴を上げる。
だが、アルは止まらない。
火球、火球、火球——連続で放たれる炎。
(すごい...!)
そのかわいらしい姿からは想像のつかない高火力の魔法。圧倒的な破壊力。
(これが...本来の力か!)
ジョブを得てからこれまでずっと一緒に過ごしてきたのに、こんな姿見たことない。これが本来の力。俺も早くもっと強くならないと
俺は、拳を握る。
(俺も...!)
「そうだな。ネフィリムはもっと強くなれる。お、アルはもう終わったようだぞ?」
ホーリーが、前を指す。
アルのほうを見るとサイクロプスは丸焼きになっていた。
黒焦げの巨体が、倒れている。
(やった...!)
「アルよく頑張ったな。ありがとう」
俺は、アルを抱き上げる。
「キュ〜」
アルが、嬉しそうに鳴く。
「ネフィリム、洞窟に入りましょう?」
ニーシが、洞窟を指差す。
「そうですね、ニーシさん」
俺も、洞窟を見る。中は暗く何も見えない。
ホーリーが、松明に火を灯す。
「行くぞ」
ニーシとウーミンも、武器を構える。
俺は、アルを抱きしめる。
そうして俺たちはジェネラルスパイダーの巣へと、足を踏み入れた。
「うわー、うがい蜘蛛の巣が張ってる。やっぱりここが巣で間違えなかったわね」
ニーシがそう言った途端、洞窟の空気がガラッと変わった。魔力の波が押し寄せ、今までに経験したことのない威圧を感じた。
「この魔力……」
「ええ、スパイダーキングだわ」
スパイダーキング――それはジェネラルスパイダーの王。つまり祖である。蜘蛛たちはキングに統制されているため組織的に動くことができる。
「産卵期だからかしら……余計に気が強わ」
「そうかもしれない。ネフィリム、アル、覚悟はできてるか?」
覚悟――そんなものはサイクロプスを倒した時に決めていた。
「もちろんです!アルも一緒なんで」
アルは嬉しそうに「キュ〜」と鳴いた。
「それじゃあ、行こうか」




