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第八話

魔獣の襲撃から三日後、セリックと共に王太子殿下との謁見のため王都へ向かうことになった。馬車の中、騎士団の副官ルーカスから「王血継承の儀」について説明を受ける。

「古代アルティシア時代の禁忌とされる儀式です。王族の血筋に魔力を通じて入り込み、その力を奪い取る術。成功すれば、王族の魔力と権威を簡単に簒奪できる」

「では、エドガーの目的は…」

「王族の血筋に入り込み、王国を支配することだ」セリックが静かに言った。「王太子殿下を狙っている可能性が高い」

「彼は最初から私を利用するつもりだったのね」

「あなたの中にある力だ」彼は真剣な眼差しで私を見た。「彼は災いの力と思っていたが、実際は浄化の力。むしろ彼の計画を阻む存在だったということに、最近まで気づかなかった」

馬車は王都の城門を通過した。かつては心の重荷だったこの場所が、今は決戦の地となる。不思議と恐怖は薄れ、代わりに決意が湧いてきた。

「王太子との謁見では、真実をすべて話そう。『赤い雨の事件』からエドガーの計画まで、ありのままを」

深緑色のドレスと、母の形見の首飾り。そして、もう隠すことのない私自身の力。この姿で、私は真実を告げるために王宮へと足を踏み入れた。


王宮の謁見の間に入ると、星の祭りの前夜に婚約破棄され、追放されかけた「悪役令嬢」が戻ってきたことへの驚きが広がった。しかし、王太子アレクサンダーの表情は穏やかだった。

セリックが魔獣襲撃の詳細と、エドガーの関与について説明を終えると、王太子は私に視線を向けた。

「フォンブラット嬢、あなたは十年前の『赤い雨の事件』に関して、何を覚えていますか?」

かつてならその重圧に押しつぶされただろう。しかし今の私は、恐れることはない。

私は記憶が蘇ったこと、六歳の私が目撃した黒装束の男たちの儀式、そして私が無意識に儀式を中断させたことを語った。

「信じがたい話だ」王太子は厳しい表情で言った。「しかし、あなたの話には騎士団長も副官も同意見のようだ」

証拠を検討した後、王太子は決断を下した。

「星の祭りの夜、厳重な警戒を敷く。セリック、あなたは騎士団の精鋭を率いて、祭りの警備を強化せよ」

「そして、フォンブラット嬢、あなたの力は貴重だ。祭りの場に潜入し、儀式の兆候を探ってほしい」

「はい、殿下」

「このことは極秘にする。エドガーに警戒されれば、彼は姿を隠すだろう。私たちは彼を現行犯で捕らえなければならない」

星の祭りの夜、エドガーの儀式を阻止し、彼を捕らえること。そして「赤い雨の事件」の真相を世に知らしめること。運命の日が近づいていた。

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