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2度と恋愛なんかしない!そう決意して異世界で心機一転料理屋でもして過ごそうと思ったら、恋愛フラグ!?イヤ、んなわけ無いな  作者: 弥生菊美


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第47話.急変2


「助けてください!」


 目の前に現れた少年は、小学校低学年くらいだろうか?

目には涙を溜め、頬には涙の筋がついている。今さっき泣き出したと言う状況ではないようだ。この騒ぎで、親と逸れてしまったのだろうか?


「どうしたの?」


扉を閉める手を止めて、屈んで少年に問えば


「妹が…、妹が知らない大人に連れて行かれた……うぅっ、助けて、うえっ…」


手で流れ落ちる涙を擦る少年、その言葉に一瞬で色々なことが駆け巡る。


 少年はなぜ、私に助けを求めた?

先程まで男性陣がここに居たのに、まるで見計らったかの様なタイミングで現れた。

いや……泣いている子供の言葉を疑うと言うのか私は?

もしかしたら、私に恨みのある人間が私を連れて来いと、この少年の妹を人質にしているのかも知れない。


人攫い……私に限って、いやだから飯炊女要因……。


 罠かも知れない。違うかもしれない。

でも、どちらにせよこの子の妹が何者かに連れて行かれてしまったのなら、行くしかない。

ごめんね。他を当たって、なんて言えるほど非道にはなれない。


「泣かないで、妹さんは何処で攫われたの?案内して」


 少年の涙をガウンの裾で拭ってあげれば、ハッとした顔をしてこちらを見る。

多くの人が教会へ気を取られている。けれど、通常の深夜より人が多いのは確かだ。

子の少年の案内する道中で、誰かに遭遇する事を願うしかない。


 私1人が行ったとて、どうにも出来ないことは百も承知、場所を確認したら少年を抱えてでも騎士団の詰め所へ走るしか無いだろう。


 腹を括れ青葉、1人で生きていける認定されてきたんだ。

どんな事でも1人でなんとかしてきた。


 ゴコクさんと、狐鈴さんがあれだけ心配してくれたのにも関わらず。

本当にどうしようもない馬鹿女で申し訳ございません!!


 店の扉を閉めて、少年の後に付いて走り出そうとした瞬間、後ろの襟首を引っ張られた気がして振り返れば、そこに居たのはリンちゃんだった。

そうだった!リンちゃんの存在を忘れていた!!

恐らくは、狐鈴さんの言いつけを守って行くなと言いたいのだろう。


「リンちゃん!この事を狐鈴さんに伝えてくれませんか?

私はこの子と先に……」


最後まで言い終える前に、リンちゃんが


やれやれ……と左右に首を振ると私の右肩に戻るとちょこんと座る。

どうやら、早々に止める事を諦めたようだ。

切り替え早い……


「お姉ちゃん!早く!!」


少年に呼ばれて、慌ててその跡を追う。


「ごめんねリンちゃん……」


 そう謝れば、キュンと小さく短く鳴いたリンちゃん

少年は直ぐにでも路地に入るのかと思ったが、比較的家々が建ち並ぶメイン通りを走っていく、私を連れて来いと言われたわけでは無いのかな?自意識過剰で恥ずかしい女でしたスミマセン!!と、心の中で誰にでもなく謝罪しつつ足を進めれば、少しずつ道が細くなり広場から遠ざかったせいで火事に気付いていないのかどの家もシンと静まり返っている。


「まだ先なの?」


先を走る少年に問い掛ければ、無言のまま頷く


 周りを見渡せば、まだ住宅街ではある。

何処まで行ったら危険と判断しようか……教会の火事や少年の事でアドレナリンが出ていて興奮状態だったのか、先程は勢いに任せてここまで気来てしまったが、冷静になればなるほど、マズイ……と思い始める。

その時、不意にリンちゃんが左肩から、右肩に移動する。

少年に「ちょっと待って!」と声をかけて立ち止まって、リンちゃんを見れば小道の先を凝視している。


まさか、誘拐犯?

それとも、物取りか何か?


「何!?どうしたの!?」


急に立ち止まって、小道を見つめる私を少年が焦った様子でこちらに問いかける。

すると、小道の先からカシャカシャという音が響き始める。

もしかして、この音は!?

そう思っていると、小道の先から現れたのは騎士団の金属防具を着た1人が出てくる。

こちらを見ると、驚いたようにビクリと立ち止まると、今度は足早にこちらにやってくる。

騎士団の人だー!良かったーー!!と、思ったのも束の間、すごい早足!!!?怖い怖い!!


「ああああ、あの!!!「青葉じゃない!この非常時に馬鹿なの!?何やってんのよこんな処で!!!」


「んっ?……その声はソフィリアさん?」


ヘルムでこもった声をしているが、この声には聞き覚えがあった。


「そうよ!って、その子供は何?アンタもこの非常時に何やってんの!?

子供はさっさと家に帰りなさい!」


少年に向かって、注意するソフィリアさんの声は苛立っている。

教会に向かう途中だったのだろうか?


「ソフィリアさん、実はその子の妹さんが知らない人に連れ去られたらしくて」


そう伝えると、今度は私の方をバット勢いよく振り返るソフィリアさん


「はぁ?だからって子供に付いて来たって言うの?

間違いなく例の連続誘拐犯の仕業でしょ!

アンタ1人で何ができるっていうのよ!?馬鹿なの!?」


「うぐっ……そっ、そうは思ったんですけど……いえ、私が浅はかでした。

誠に申し訳ございません。」


暗がりでもわかる、ソフィリアさんの突き刺さる鋭い眼光に潔く己の過ちを認めて謝罪すれば、深いため息が響く


「はぁーーーー、まぁ、いいわ、それよりもそこの少年……あんたも誘拐犯の1人ね。

教会が火事になる少し前に、誘拐組織の連中から逃げてきた女性から証言があった。

幼い少年に、妹が怪我をして動けない。助けてくれと言われて付いていった先で、背後から誰かに殴られて気付いたら倉庫の中だったと……。

状況は違うけど、似てると思わない?

答えなさい。青葉を何処に連れて行くつもりだったの?」


不自然なくらいシンと静まり返った通りで、ソフィリアの鋭い声が響いたのだった。




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