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2度と恋愛なんかしない!そう決意して異世界で心機一転料理屋でもして過ごそうと思ったら、恋愛フラグ!?イヤ、んなわけ無いな  作者: 弥生菊美


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第46話 急変




  タカちゃんとシューちゃんの二人が、日本の温泉巡りに旅立って5日目、唯一神がいなくても世は全てこともなし…、などと思いながら布団に入る。


 相変わらず騎士団の方々は忙しそうだ。誘拐犯は結構な規模の人身売買組織らしい。

かなりの人数が誘拐されているのだから納得だ。誘拐されたのは子供や若い女性ばかり、その人達がどうなるかなんて想像に難くない……。


 シューちゃんが介入しないのは、きっとこれも人々の営みの一つとみなしているからなのかもしれない。元の世界でも、戦争が起きても神様は介入しない……少しだけ、神と人間の感覚の差を実感してしまう。実感したところで、私にはどうする事もできないんだけど……。

「はぁーーー」っと、深いため息をついて横向きになり、明日も早い。寝よう。と、自分に言い聞かせて目を瞑った。


 その数時間後、 何やら遠くで音が聞こえた気がして、うっすらと目を開けば、なぜか部屋の中が妙に薄明るい気がする。

 

 時計を見れば午前3時10分を過ぎたところ、まだ真夜中だ。

覚醒してきた頭のせいか、先ほどよりもクリアに聞こえる外の音、やはり窓の外が騒がしい。


 体を起こして、ベッドに座ったまま横の窓のカーテンをシャッと音を立てて開ければ、透明度の低いガラス窓の外にオレンジ色が揺らいでいる。


 そこではっきりと覚醒する頭、慌てて窓を開けば、広場を挟んだ向こう側に建っている教会から火の手が上がっている。火柱までとはいかないが、窓から噴き出した炎と黒い煙がモクモクと立ち上り空が煙で覆われている。


「えっ?…夢…じゃないよね…」


 目の前の景色と寝ぼけた頭で理解が追い付かないが、焦げた臭いが夢ではないと実感する。

広場では人々が、教会へ向かって走り出し噴水から水を汲んで男達がバケツや桶をもって走って行っている。


呆然と眺めていると、突然部屋の扉がドンドンと乱暴に叩かれ、驚きのあまり飛び上がる。


「青葉!!起きてるかー!!?

教会が火事なんや!!」


狐鈴さんの声に我に返り、すぐさま窓を閉めてベッドを降り、扉を開く


「狐鈴さん!!教会がっ!エリティナ様がっ!!」


「青葉落ち着き、あの女は殺しても死なんやろ…腐っても神の使いや火事くらいじゃ死なへんて、そんなことより、火の粉がそこかしこに飛んでるみたいやから、よそから火の手が上がらんとも限らん、念のためいつでも逃げられるように荷物まとめとき!」


「わっ、わかりました。ところでゴコクさんは?」


「あの牛は神産巣日神様に非常時用の携帯使って連絡とってるわ、よりにもよって創造主不在の時に神殿が火事とは…間が悪いにもほどがあるわ」


 非常時用の携帯!?ここ異世界だけど、電波とかどうなってるの!?

いや、創造神ともなれば何でもありなのかもしれない。多分…。

そんな事を考えていると、一階の扉がドンドンドン!と激しくたたかれ、外で男の人が大声で怒鳴っている。


「起きてるか!!青葉ちゃん!!悪いがバケツか桶貸してくれ!あと男手も!教会が火事なんだ!!」


 声からして、お隣のアンレットさんだろう。

その声に反応して、狐鈴さんが階段を駆け下りるのを追うように、私も慌てて下へと降りる。


「悪いな夜中に、事が事なんでな」


 既に扉を開けて応対している狐鈴さんの横へと駆けよれば、汗だくのアンレットさんが袖で汗を拭いながら、眉を下げてこちらを見る。


「青葉ちゃん、悪いが男手が必要なんだ。

騎士団にも応援を頼んでるんだが、まだ到着してなくてな、火の勢いが強いから広場周辺の家の女子供は荷物まとめとくように言って回ってる。」


「わかりました。

狐鈴さん、消火のお手伝いをお願いします。

ゴコクさんにも、お手伝いに向かうように伝えてきます。

バケツも上にありますから、今持ってきます。」


 慌てて2階へと戻っていく青葉を見送ると狐鈴がアンレットに向き直る。

その背後の教会から上がる火が異常なほど回りが早い。

あの教会の造りは石を積み上げてできているはずだ。


「アンレットはん、なんや火の勢いが妙に強すぎるように感じるんやけど?」


「それが…修道士の話じゃ、何者かが油を教会にまいたんだとさ、止めようとした修道士が刺されて診療所に担ぎこまれてるらしい。

どこもかしこも、混乱状態だ本当かどうかもわかんねーけどな」



そんな話をしていると、広場の方からまた一人男が駆けてくる。


「アンレット!!まだか!?

教会の中に修道女と孤児が何人か取り残されてるらしい!


騎士を待ってる暇はねーから、アルバとハンチス達が助けに入るってよ!!」


「なんだと!?あのバカ共!!」


走りだそうとした、アンレットが一歩踏み出したところで2階からバケツを持った青葉が駆け降りてくる。



「すみません、お待たせしました!!

ゴコクさんも、すぐ向かってくれるそうです!」


「悪いな青葉ちゃん、この兄ちゃんを借りるぞ!」


「青葉、あの牛が家から出たらちゃんと戸締りするんやで…なんや、嫌な予感がすんねん。

リンを置いていくから、なんかあったらすぐ知らせるんやで」



そう言うと、リンが青葉の肩へとスタリと降り立つと同時にゴコクが階段から駆け下りてくる。


「ゴコクさん!連絡着きましたか?」


「直接は繋がらなかったから同じ神使に伝言を頼んだ。

青葉、何か嫌な予感がする。

十分に気を付けて、逃げるときは必ず集団移動して皆んなから離れないで」


そう言って、私の両肩をガシッと掴む手がギリギリと肩に食い込む、痛いがゴコクさんの必死な目に何度も首を縦に振って、大丈夫ですからと伝える。


「リンを残すから心配すな!お前が一番落ち着けやクソ牛!

青葉の肩を本気で掴むな!青葉の肩が折れたらどないすんねん!!」



「はっ!?ゴメン青葉!!」


「ご両人!!青葉ちゃんが心配なのはわかるが、教会の心配もしてくれ!

行くぞ!!」


アンレットの言葉に、ゴコクと狐鈴が振り向く


「青葉!戸締り忘れないで!」


 ゴコクがそう言うと、神使2人はアンレットの後を追って火の手の上がる教会へと走っていった。

ゴコクさんと、狐鈴さん、2人共が嫌な予感がすると警告をしてきた。神使の2人が言うと、漠然とした警告でも非常に説得力が増すと言うもの、それに避難することになるかもしれない。

早く荷造りをしなければと、扉を閉めようとした時


「助けて!!」


1人の男の子が、泣きながら扉の前に飛び出てきたのだった。



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