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2度と恋愛なんかしない!そう決意して異世界で心機一転料理屋でもして過ごそうと思ったら、恋愛フラグ!?イヤ、んなわけ無いな  作者: 弥生菊美


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第40話 感謝祭3



 揺れ始めた建物、このままでは結界が破られる!!そう思っていると背後からタタタっと階段を駆け降りてくる音がする。


まさか、青葉!?慌てて後ろを振り向くも、既に一階へ降りてきていた青葉。


 「大丈夫ですか!?ゴコクさん!狐鈴さん!?

悲鳴は聞こえるし、地震は起きるしで!!一体何が!?」


動揺したような様子の青葉をよく見れば、パジャマを慌てて着て風呂から飛び出て来たのだろう、髪が濡れたままで水が滴り落ちている。


「青葉!こっちに来ちゃダメだ。」


「えっ…」


状況の理解できていない青葉が首を傾げる。

くっ…こんな時でも可愛い…。

拳を握りしめて今はそんな状況じゃないと、その可愛さに耐えていると


「んっ?結界の揺らぎ治ってへん?」


狐の間抜けな声に、そう言えば…と気付く


「あれっ?

エリティナ様じゃないですか!?」


 そう言ってパタパタと小走りで駆け寄ってくる青葉を止めようと手を出すも、窓の方から向けられる鋭い殺気に狐鈴共々、一瞬動きが止まってしまい青葉が窓枠に近寄るのを止められなかった。


「エリティナ様!こんな時間にどうされたんですか?」

感謝祭の祭事がお忙しいとお聞きしましたけれど?」


 ハッとして、窓の外を見ればそこに居たのは、先程と本当に同じ人物なのか?

と思うほど、聖女と呼ぶに相応しい慈愛に満ちた優しげな笑みを浮かべたエリティナが、へばり付いていた窓から一歩離れた場所に立っていた。


「えっ…何方さん?」


狐鈴の言葉に、無言で何度も頷く


「こんばんは、青葉ち…さん。

少し時間ができまして、青葉さんの顔を見に来てしまいました。」


「そうだったんですね。

是非、お茶でもと言いたいのですが…最近人攫いが多いらしくて、エシュテル様が治安の悪くなるお祭りの間は結界を張ってくださっていて、扉を開けられないんです…。」


「まぁ!人攫い!?

それでこの結界を、我が神!それならそうと言ってくだされば良いのに…。

確かに青葉さんはとっても可愛らしい方ですもの、直ぐに目をつけられてしまいますわ!!

お祭りの間は、結界の中に居てくださいね。

あら…青葉さん髪が濡れていますわ…風邪を引かれたら大変ですから直ぐ乾かしてください。

私ももう教会に戻りますわ。」


「はい。

エリティナ様をお気をつけてお帰りくださいね。

お祭りが終わったら、今度は私の方からお菓子でも持ってお伺いしますね。」


「えぇ、えぇぇ、それはとても!!とっても!!楽しみにしてお待ちしておりますね。」


 そう言ってエリティナが窓ガラスに手を触れると、エシュテル神の結界の上からもう一枚の結界が一瞬でこの建物を覆う様に張られる。


 人間業とは思えぬ技量に思わず、エリティナを凝視する。

するとこちらの視線気づいたエリティナの目が、一瞬鋭く細められゴコクを睨みつけるも、直ぐに青葉の方に視線を向けて微笑む


「では青葉さん、お休みなさい。

良い夢を…」


そう言い残すと、修道服を翻して教会へと帰っていったエリティナを見て思わず


「はぁぁぁぁぁぁ…」


と、深いため息を吐いて床に座り込めば狐鈴もヘニャリと床に座り込んでいる。


「2人とも!?

如何されたんですか!?

大丈夫ですか!?」


「化け物を治められるのは結局、化け物が欲している姫君の言葉だけと言う事か…」


「せやな…ほんにその通りやわ…数百年ぶりに戦う羽目になるんかと焦ったわ…」


「青葉…ゴメン、ちょっと熱い緑茶を一杯お願いしたい。」


「僕も…ちょっと立たれへん…」


「わっ、分かりました!

直ぐに入れてきます!」


そう言うと慌ただしく、2階へ駆け上がる青葉に


「髪乾かしてからでいいからー!」


と叫べば、「えぇ!?はっ、はーい…?」と青葉の声が響いた。

その代わりに、狐鈴の式神が何処からともなく狐鈴の方へと降り立つ


「リン…青葉を止めなあかんやん…結果的には助かったけども」


「ちゃんと止めたんやけど、地震で青葉はんが動揺しはって、走って出て行ってしまったんやもん。

主人のところなら、まぁーえぇーか?って」


「えぇーわけないやん…はぁ…」


「あの聖女、ただの変質者かと思っていたが実力は一級品だった…。」


「せやな…1000年以上生きてる僕らに負けずとも劣らずな力持つ人間て…エシュテル神の聖女でバフがかかってるのかも知らんけど、あれはもはや人間性も実力もラスボスやろ…。

青葉狙う奴の中で、ダントツであかんヤツやで…。

あいつ倒さな青葉を手に入れられへんて、これ何のゲーム?

RPGと恋シュミ組み合わせた本格派ゲーム?」


「何の話かわからないぞ狐」


「青葉を嫁にするには、あのラスボス級のアマを倒さな無理やろ言う話や」


「……。」


「……。」


「「はぁ…」」


神使い2人の深いため息が、夜の店内に響いたのだった。






数時間後

エリティナの自室の簡素なベッドに、寝巻きに着替えたエリティナが枕を抱き抱えてベッドの上で、奇声を上げながらゴロゴロと転げ回る。


「んふっ…ぬふふふふふふふふ!!!

青葉ちゃん!!見ちゃった!青葉ちゃん!!!

お風呂上がりの青葉ちゃん!!!超可愛いウヘヘッ!

はっ!?どうせなら、嗅ぎたかった…石鹸香る風呂上がりの青葉ちゃんの香りを肺いっぱいに吸い込みたかったぁ!!!あおばちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!

パジャマ姿の青葉ちゃんも…尊死…」


そう言いながらスッと目を瞑り、目に焼き付けた青葉を思いながら落ちるように寝る聖女だった。






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