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2度と恋愛なんかしない!そう決意して異世界で心機一転料理屋でもして過ごそうと思ったら、恋愛フラグ!?イヤ、んなわけ無いな  作者: 弥生菊美


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第34話 食事会2


 「ふふっ、青葉さんって本当に素敵な方ね。

そうは思わないフィオン?」


 そう言うと、マリエッタ様がどこからともなく取り出した水色のレースの扇子で口元を隠して、優雅にくすくすと笑う。

 見た目は一般市民の服装なのに扇子…違和感が仕事しすぎて、寸劇の中に放り込まれたような気分になってくる。


 うぅっ…早く、この上流貴族の御三方から抜け出したい…心配そうなゴコクさんと狐鈴さんの視線が刺さる。


 分かってますよ…抜け出したいのは山々ですけど、私の方から話を切り上げたらそれこそ不敬では!?

 無礼講とはいえ、何か粗相をやらかさないか不安しかない。

引き攣っていないか不安になりながらも、必死に笑顔で取り繕う。


「僕もそう思うよマリエッタ、ハイルが通う理由も納得だ。

ハイルから素敵な店主の居る美味しお店だと聞いていたんだが、全くその通りだった。

んっ?ハハッ、さては青葉さん緊張しているね?

大丈夫、僕達は確かに貴族だが、口煩い老骨貴族の様に所作やマナーに一々目くじらを立てたりしないさ」


 思わずギクリ…と言う効果音が出てしまいそうなほど思わず肩が揺れる。

やはり引き攣り笑いがバレていたようだ…。


「そうよ、青葉さん気になさらないで…はっ、そうだわ!

今日はマナーなんて気にしなくて良いのですもの!

ケーキをもう一つ頂いちゃおうかしら♡」


 そう言うマリエッタさんの言葉に、すかさず狐鈴さんとゴコクさんがケーキの準備をするため、動き始めたのが視界に入る。


流石です2人とも!

 

 そんな事を思っていると、ふと膝の上に置いていた手に、暖かく包み込むようなハイル様の手が添えられる。

驚いて見上げれば、ハイル様も少しハッとした顔をした後に眉が下がり不安そうな顔になる。


王子様イケメンの困り顔…かっ…可愛い…などと思わず呑気な事を考えてしまう。


「青葉さん、手が氷のように冷たくなっていますよ…。

見知らぬ貴族と急に同席などと、貴方を緊張させてしまいましたね…気遣いが及ばず申し訳ありません。」


 そう言うと、ほんの僅かにキュッと手に力が入る。

アワワワワ!?こんなイケメンに手を握られて動揺しない女など居るでしょうか?

ハイル様の暖かい手から体温がジワリジワリと伝わるように、手が温かくなり始める。


ヒョエ!?と、変な声が出そうなのを堪えつつ、必死に声を絞り出す。


「はっ…いっ、いえ…そのハイル様の所為ではありませんので…」


 だっ、ダメだ!気の利いた言葉が何一つ出てこないんですが!!

あぁぁぁぁぁ!!!私のバカァァァァァ!!

お客様に、貴族様に気を使わせてどうするの!!?

これって不敬罪ですかぁぁ!?


 慌てていると、フィオン様がテーブルに肘を付いて顎を乗せると、何やらニヤリと面白そうにコチラを見る


「こう見ると、ハイルと青葉さんはまるで夫婦の様じゃないかマリエッタ?

愛らしい妻を心配する、優しい夫の図

絵にしたくなるな〜」


「ふふふっ、フィオンったらそんな悪い顔をしたら、青葉さんが余計萎縮してしまいますわ。

でもそうねー♡

仲睦まじい夫婦っていうのも分かるわ、不慣れな妻を支える雰囲気、んふふ♡

なんだか恋愛小説に出て来そうで、私の方がキュンとしてしまいますわ♡

どうかしら青葉さん?ハイルはとても女性からモテますけど、浮いた話など一切ない身持ちの固い殿方ですわ、この年で騎士団長も任されていますし、非常に有望ですわよ!夫にするには非常に良き相手だと思いません?」


 そう言いながら、再び前のめりになてくるマリエッタ様を、隣のフィオン様がその肩を掴んで笑顔で止めているがマリエッタさんが前のめりになる力が思いの外強いのか、プルプルとフィオン様の腕が震えている。


 いやいやいや!!!何を仰っておられるのかこのお貴族様方は!?

私みたいな平民で冴えない女が、ハイル様の隣に並んだだけでも、世の女性に射殺されるのでは!?

それに、ハイル様の恋愛対象は男性!!


 …はっ!?友人にも話していないとか…イヤ…だとしたら平民だけに、そんな噂が回ってくる筈が無い…友人的には同性愛は反対で、女性とくっ付けよう作戦?でも、そしたら貴族のご令嬢方が喜んで名乗りをあげそうなものだけど…貴族がダメなら平民とか??


 動揺と冷静の間…コンマ数秒で頭の中を駆け巡る思考、ハイル様はどんな反応を?私なんかと夫婦呼ばわりされて、流石に怒るのでは?と、横を見上げれば…頬を染めて向かいのお貴族様を動揺したように見つめている


「ふっ、2人とも!

流石にそれは話が飛躍しすぎです!

青葉さんと…そのっ、ふ夫婦だなんて…まずは恋人から…」


 そう言って、頬を染めて目を潤ませたハイル様が私を見下ろす。

目が合えば、やはり慈愛に満ちた優しげな目で微笑みかけてくる。


 ももももも問題は、そこではゴザイマセンガッ!?

なぜ照れている!?

なぜ結婚を前提にお付き合いみたいな話になっている!?

否定して下さい!!


「そっ、その…私の様な平民が…ましてとりわけ目立つ美貌でも無いですし、ハイル様のお相手など滅相もございま「そんな事ないですわ!青葉さんはとても慎ましく愛らしいではありませんか!それに、平民が貴族と結婚する事も過去に何度も有りますの、私のお祖父様も平民の出ですのよ、婿入りして貴族社会に入ったのですから、珍しくもなんともございませんわ!!」ひゃいっ…」


 マリエッタ様の勢いに負けて、思わず変な声が出てしまった…。

ついに、フィオン様はマリエッタ様の肩から手を離して諦めたのか紅茶を啜って微笑んでいる。

本当にこの世界の女性は強い…。

どうやら貴族も例外では無いようだ。


 いやしかし…えっ?これは、ハイル様のお付き合いする流れですか?

嘘ですよね?んなわけないですよね…って、意中の相手が同性と言うのは誤った噂!?

私という相手がいれば、ハイル様の同性愛疑惑が晴れるから!?


 可愛げがなく冴えない顔してますが、一応生物学上は女ですし!

いや、でも、それも別に相手は貴族のご令嬢でも良いわけで…貴族同士だと付き合ったら最後、絶対結婚しなきゃいけない決まりとかあるのかな?…あってもおかしくなさそう…。


 でも…私をダシにするような悪い方々には見えないんだけど…さて…どう切り抜けよう…。

うぅ…と、悩んでいると不意にマリエッタ様の顔に影が掛かる。

 見上げれば、ケーキの皿を運んできた狐鈴さんが微笑見ながら佇んで入るが、目が全然笑っていない。

ヒッっと、内心で思わず怯える。


「皆様方、そないうちの店主で遊ばんといて下さい。

うちの店主がハイル様と恋仲になろうものなら、街や貴族のお嬢様方から大ひんしゅくを買ってしまいます。

店に怒ったお嬢様方が押し寄せるんが目に見えますし、それに、味で勝負するんはもちろんですけども、店のイメージは大事です。

街のお客様方からそっぽ向かれたら店は簡単に潰れてしまいます。この店は青葉が大切にしている場所ですから、皆様方がうちの店主の青葉を気に入って下さっているのは大変に嬉しいことですが、どうぞ青葉の気持ちも汲んでやって下さい。」


そう言い終えると、狐鈴さんが目を伏せそっとマリエッタ様の皿を交換する。


「そう…そうですわね…ハイルと話しているだけでよからぬ噂を立てる者も多くいますし…。

貴族の者なら尚の事、青葉さんが危ない目に遭うかもしれませんわ…」


 ようやく分かってくれたー!

ありがとうございます狐鈴さん!!!

心の中で感謝の涙を流していると、ハイル様から「はぁ…」と、小さなため息が漏れた。


「確かに…青葉さんの事を想えば身を引くべきなのかもしれません…。

ですが私は…自分の気持ちに嘘をつきたくない。

本当の私を見てくださった…だから、諦めたくないのです…。」


 何かを堪えるように、吐き出すように話すハイル様の姿は、普段のハイル様とは別人のようだった。

何となくだけれど、去るものは追わない。ワガママなど言わない。

そんなタイプに思っていたのに意外だった。



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