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2度と恋愛なんかしない!そう決意して異世界で心機一転料理屋でもして過ごそうと思ったら、恋愛フラグ!?イヤ、んなわけ無いな  作者: 弥生菊美


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第33話 食事会1





違和感がっ!


違和感がすごいんですぅぅぅぅぅ!!


と、叫んでしまいそうになるのを我慢して、店の真ん中のテーブル席で食事を楽しむ3人組を眺める。

視線の先にいるのは、ハイル様とその友人2人のお貴族様、確かに服装こそは街で生活する方々と全く同じなのだが、滲み出る貴族のオーラ!


 グラスの持ち方にしろ、ナイフとフォークの持ち方にしろ、ナプキンで上品に口を拭う仕草などなど、あげ出したらきりがない。

 一般市民の貴族ごっこを見ているようで、何とも言えない違和感…。

まぁ、どちらかと言えば貴族の一般市民ごっこなんだろうが…そんな事を思いながら、それぽいレストランのデザートの見た目にしようと、レアチーズケーキにベリーのソースを慎重にかける。


 狐鈴さんが、ハイル様の空いたカップに紅茶を注ぐその姿は、一流レストランのウェイターのようだ。

身長は高いし、背筋はピシッと伸びていて、一挙手一投足が洗練されている。


 さすが神様に支える方は違う。任せてよかったーと、ほぉーっとため息をついてデザーの皿をカウンターへと乗せる。


 普段は私もホール担当だが、本日は上流貴族のご令嬢で在らせられる副団長様の婚約者がいらっしゃるのだ。

平民の女が、貴族男性、まして婚約相手の周りをチョロチョロするのは要らぬ不況を買うやもしれない。

という、私の勝手な深読みにより、安牌である狐鈴さんを抜擢した次第である。


 狐鈴さんは嫌がるかと思っていたのだが「ええよー、あの優男の目論見通りにはさせへん」と、狐鈴さんは狐鈴さんで何やら深読みしているらしく、本人が良いと言うならお言葉に甘えさせて頂いた次第である。


 デザートをカウンターに乗せると、狐鈴様がすぐさまやって来て、デザートと空いた皿を交換しに行く、もはやフレンチのコース料理のような状態である。


 ウチは食堂なんですけどね…と、心の中でため息をつきつつ、狐鈴さんが交換してきた皿を受け取ろうと手を伸ばせば、皿から手を離さない狐鈴さん


んっ?と、不思議に思って顔を見れば、何故か非常に不満そうな顔をしている。


「狐鈴さん!?」


 やはり貴族相手は重荷だったのかと焦っていると、カウンター越しに乗り出して来た狐鈴さんに手招きされて、招かれるまま顔を近づければ、狐鈴さんが小声で


「マリエッタさんが…青葉に挨拶したいから呼んで欲しい言われたんやけど…不覚や…どう足掻いても角の立つ断り方しか思い浮かばんかったから断れんかったんや…って!!そんな目でみんなや!クソ牛!!」


「落ち着いてください狐鈴さん!

大丈夫ですから、挨拶くらいだったら粗相なくできると思うので…多分…」


「いや、心配はそこやないねん…」


 狐鈴さんのボソリと発した言葉に、じゃぁ何の心配を?と、疑問に思いつつも、お客様を待たせるわけにはいかないので、すぐさまカウンターから出てテーブルへと向かう。


「お待たせして申し訳ございません。

お食事は口に合いましたでしょうか?」


 デザートを頬張っていた3人に、声をかければハイル様がコチラを見て「勿論ですよ」と、嬉しそうな笑みを浮かべる。


 くっ!花が舞っているのではないかというほどの王子様系スマイル!

そんな顔をされれば、そりゃ街の女性達も放っては置かないでしょう。


 自分にだけそんな笑顔を向けられている分けでは無いのは百も承知だが、頬が熱くなるのが自分でもわかる。


うぅっ…このくらいで照れてる自分が恥ずかしい…。


 そんなハイル様の笑顔に、照れつつも笑顔を返せば「青葉さん、どうぞコチラに」と、いつの間にか用意されていた4人目の椅子へと促される。


 ハイル様の真横!!何故!?


 マリエッタさんの顔色を伺えばニコニコと微笑んでおり、戸惑う私の視線を察してかマリエッタさんも手でハイル様の隣の椅子へどうぞと、流れるような所作で椅子へ座るように促される。


本音と建前が違うとかではありません様に!と、祈る様な気持ちで


「失礼致します。」


 と、座ろうとすれば、立ち上がったハイル様に椅子を引かれて、どちらが客か分からない様な丁寧な扱いを受けつつ、面接でも受ける様な緊張感で椅子へと座る。


「ありがとうがとうございます。ハイル様」


隣に座ったハイル様に礼を述べれば、少し驚いた様な顔をして


「いえ、レディーに椅子を引くのは男として当然の事ですよ」


 と、またも王子様スマイル!!

その笑顔を自重して頂きたい…私の心臓が持ちません…「そそそうなんですねっ…」と、吃りながら正面を向けば、目の前には絵に描いたような貴族令嬢のマリエッタ様、金髪のお髪は綺麗にまとめ上げられ、バッチリとメイクしているのに化粧が濃い印象が一切ないのが凄い!というか、その化粧技術が羨ましい…隣に座っている、婚約者であり騎士団長のフィオン様は伸ばした髪を一本に縛っている。

その顔立ちは、遊び人だなこの方は…と、失礼ながら思ってしまうイケメンだった。


「そんなに緊張しないで下さい青葉さん。

私、料理のあまりの美味しさに感動しておりますの!

私が屋敷で頂いている料理でも、こんなに美味しい料理を食べたことはありませんわ!

うちの専属料理人にスカウトしたいくらい…特にこのベリーのチーズケーキ?と言うのだったかしら?

甘い物好きのお姉様にも食べさせてあげたいわ」


そう言って、最後の一口のチーズケーキを頬張り、幸せそうなマリエッタ様のそのお顔は、女神の如くお美しい。

思わず手を合わせたくなる。


「そんなに気に入っていただけたなんて、大変光栄です。

ケーキは多めに作っておりますので、宜しければお持ち帰り分をご用意いたします。

まだ、9ピースございますが「全部お持ち帰りでお願いするわ!」」


「はっ…はい…」


前のめりで即答するマリエッタ様の気迫に押されつつ返事をすれば、ハイル様とフィオン様がクスクスと笑い出す。


 フィオン様がマリエッタ様の肩を持って席に戻すと


「アハハハ!マリエッタ!ククッ…そんなに食いつかなくても」


「フフッ、フィオン笑いすぎですよ…フフフッ…」


 そう言うハイル様も、笑いを堪えている様だが肩が震えている。

手の甲で口元を隠しているが、普段の王子様スマイルとは違う無邪気で、子供のような笑い方が、なんだかとても可愛らしいなと思わず思ってしまう。


 学生時代の友人の前だからなのかな?

気のおける友人と言う物なのかもしれない。


 そんな事を思いながらハイル様を眺めていると、コチラに視線を向けたハイル様とバチリと視線がぶつかる。


はっ!?

思わずガン見してしまった!!

ここで視線を逸らすのも、失礼かっ!?

そんな私の焦りを知ってか知らずか、何故か愛しむような優しい目をしたハイル様が私の方に向き直ると


「すみません、青葉さん

マリエッタのお願いを、聞いていただいても良いでしょうか?」


「はっ、はい…勿論です。」


 そんな目でお願いされて断れる女など居ないでしょう!

可愛気のない女子力マイナス値の私が即答しちゃうんだから間違いない!


それにしてもハイル様…これは勘違いされますよ…そんな目を向けられたら


ハイル様、まさか私の事を!?キュン♡


 っと、なってしまうだろう。

私でよかったですねハイル様…。




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