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2度と恋愛なんかしない!そう決意して異世界で心機一転料理屋でもして過ごそうと思ったら、恋愛フラグ!?イヤ、んなわけ無いな  作者: 弥生菊美


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第3話 準備万端


一体どうしたものか…。


 カウンター席で頭を抱える。先程、窓の外から見た景色、見た目は中世ヨーロッパ、道路は石畳、その上を馬車や荷車が行き交う人々の服装は、女性は皆ワンピースにコルセット、男性は黒いブーツにズボンの裾を詰め、上は白シャツや深緑のシャツ、ここは、映画のセットの中なのか?

それともタイムスリップ?と思いもしたが、決定的だったのが馬車を引いているのが、ユニコーンの様な一角の馬やダチョウよりも大きな鳥、極め付けは犬耳や猫耳の人も行き交っていること


ミトメタクナーイ


が、認めざるおえない。


 突然異世界に連れてこられた上に、今日からここがお主の店じゃ!と言われたこの建物、私が最初に寝ていた部屋は3階で寝室、寝室には庶民の憧れウォークインクローゼットに暖炉にソファー、寝室とリビングが一緒になったような部屋だ。


 そして3階にはもう一部屋、ゲストルームなのだろうかベッドとクローゼットの部屋、2階にはダイニングテーブルセットの置いてあるキッチン、バスルームにトイレ、ありがたいことに日本式のバストイレ別だ。


 一階は、今すぐ小料理屋を始められるよ!と言わんばかりに揃えられていた…。

茶色で木目が綺麗なカウンターには5席、その後ろには丸テーブルが5つにそれぞれ椅子が3脚ずつ、1人で回すにはキツイのでは?と思うようなソコソコの広さがある。


 床は木の板なのだが些か年季を感じる。

ワックスをかけたらもう少し見栄えが良くなるかもしれない。

まるで、タイムスリプしたかのようなバーのような雰囲気、壁は居住区域の2階と同様にレンガが剥き出しの壁だが、綺麗に整えられている。


 カウンターの中は準備が良いことに、日本で見慣れた包丁にまな板など、この世界には場違い感のあるステンレスのボールや泡立て器などの調理器具、背後を向けば陶器の皿が棚に揃っている。


 更にこの世界観に場違いな物がまだ有る。

それは業務用冷蔵庫に炊飯器、一体電気は何処からとっていると言うのか?

中を開ければ空っぽだがキンキンに冷えた冷凍庫に冷蔵庫、炊飯器もご丁寧に業務用、見れば見るほど準備万端


「えぇーっと、仕入れは何処からすれば良いんでしょうか?」


 2階へ上がるための階段から、こちらをニコニコと眺めながら2人仲良く腰掛けているタカちゃんに、シュウちゃん、本当に神なのかっ…!?


 そう、信じられないことに、タカちゃんは私の世界の神、シュウちゃんはこの世界の神だという。

異世界に連れてくるくらいだから、そうだよねー神じゃないとできないよねー。

と、思うくらい既に受け入れている自分が怖い。


「仕入れは神使が日本で行う故、その者に頼むと良い。

当面、金はいらぬから安心せい。店が軌道に乗るまでは我とシュウちゃんが生活費は持ってやる。

収益が出たら仕入れ代と家賃だけ寄越せば良い。

それ以外はお主が好きに使うと良い。

我らは金など必要がないからの、そうだ!店のことばかり気にして青葉の身の回りの物を用意しておらなんだ!」


「あらあら、なら青葉ちゃんの身の回りの物は私が出すわ、私の我儘でこっちに引き抜きしたんだもの」


 最初こそは強引だったが、なんてホワイトな職場!

2人は世界を気軽に行き来できるらしいが、人の身では行きは楽だが戻る代償として寿命を50年ほど奪われるらしい。

昔の人間なら詰まる所、生きては帰れない。

先に説明して欲しかった…。祖母に教わった童謡が頭を過ぎる


行きは良い良い帰りは怖い。


 まさにそんな感じだ……意外と慌ててない私はおそらく、今だに現実味がないせいであろう。

本当に私は異世界に来たのだろうか?

どこか夢見心地なのかもしれない。


「それじゃぁ、さっそくリスト作りますね。

それと、この世界の通貨とかタブーなものとか、料理の選定や料金設定諸々2人にはお手伝い頂きたいのですが」


 取り敢えず、今を生きることに集中しよう。

ここに連れてきたのはこの2人だ。神だろうが関係ない!

思いっきり頼らせて頂きますからね!


「料理の選定!それって試食!?

やったわー!私、コロッケ食べたい!」


「揚げ物かー良いのぉー!

青葉、他にもつまみは作れるか?

そうじゃ、ハイボールを出してくれ」


 居酒屋じゃなくて、小料理屋って言ってんじゃん!!

とは流石に言えず。

私の米神と口元がヒクヒクと引き攣るのであった。







「あれっ?こんな所にこんな建物なんてあったか?」


 犬耳の男が不意に立ち止まると、あまり手入れの行き届いていないボサボサの茶色い尻尾を一振りする。すると隣にいた猫耳の男が耳をぴくぴくと動かして、手入れの行き届いた細長いグレーの尻尾の先端を丸める。


「あぁー、あったような?無かった様な?」


 猫耳の男の言葉に、はて?無かったと思うが、あったと言われればそんな気もする。

中は暗くて見ずらいが飯屋の様に見える。

こんな所に飯屋なぞあったろうか?


 青い建物を挟むように建っている両サイドの赤煉瓦の建物の花屋と白い集合住居は覚えがある。

なのに何故、この青い建物だけ見覚えがないのか?

しかもこの建物は大広場を挟んだ向かいにトルイセント大聖堂がある。

この大広場なんて幼い頃からよく来ていたと言うのに、はて?と、青年が首を傾げた。

人気のない建物を眺めながら不思議なことがあるものだと考える。


 猫耳の青年が、さっさと行くぞ!昼飯の時間がなくなると、先に歩き始めて行ってしまう。

妙に気になる建物に後ろ髪をひかれつつ後にした。




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