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2度と恋愛なんかしない!そう決意して異世界で心機一転料理屋でもして過ごそうと思ったら、恋愛フラグ!?イヤ、んなわけ無いな  作者: 弥生菊美


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第14話 留守番


 エリティナ様が襲来して数日、その後はシューちゃんの対策によりエリティナ様が店に来ることはないのだが一体何をしたのかと尋ねても


「非人道的な対応」


としか教えてくれないので心配であるがコレは、シューちゃんとエリティナ様の問題なので触れないでおこうと思うことにした。





 いつものようにタカちゃんが来る前に朝食の準備を進めていると


「ゴコクぅぅぅぅぅぅ!!!」


と、聞いたこともないタカちゃんの焦った声と共にタカちゃんがキッチンに現れ、思わず持っていた糠漬けの大根を落としそうになる。


「うわぁ!!タカちゃん!?そんなに慌ててどうされたんですか!?」


辺りをキョロキョロと見回すタカちゃんに問い掛ければ


「ゴコクの奴に「何か御用でしょうか」」


顔を洗って来たのか、首にタオルを引っ掛けたままキッチンに入って来たゴコクさん


「ゴコク!!!お主!!今年はお主が仕える社で5年に一度の大祭が有るのに何を呑気にしておるか!!」


 その言葉にふと思い出す。

そう言えば今年がお祭りの年だったか、懐かしいなー、お祭りの数日前からどの家も玄関に提灯をぶら下げてその祭りを祝う。

祭り当日は50近くもの神輿が次々神社へやってくる。

祭り好きの下町、江戸っ子達がその数日に全霊をかけるのだが、それは…こんな所にいる場合ではないだろう。


「出向中の身ですので」


 サラッと、さも当たり前の様に答えるゴコクさんに私の方が焦る。

ゴコクさん、流石にそれは…


「出向中の身であろうと大祭は別じゃろ!!

わしがどれだけ小言を言われたと思っておる!

今すぐ連れ帰らんとワシの身が持たん!!」


タカちゃん…それはそれでどうかと…


「青葉を1人にできない」


そう言うと私の隣にやってくるゴコクさん

スミマセン…1人でお留守番任せられないような頼りない子で…


「それなら後で宇迦うかから神使を借りて来てやる。

宇迦の所なら狐がいくらでもおるからの、そう言うことじゃ青葉、スマヌが一週間ばかりゴコクを借りるぞ!その間、店は休むんじゃぞ!補填はしてやるから安心せい」


「その狐を大祭の手伝いに回せば良いではありませんか!

青葉は俺がいないと困るでしょ、そうでしょ、青葉?」


捨てられた子犬のような顔をするのは大変ずるいですゴコクさん、その顔に思わず

うっ…っと、なけなしの乙女心が揺らぐ、しかしながらゴコクさんは本来、私が幼い頃からお世話になっている神社の神使な訳で、シューちゃんの伝手とはいえ、人間風情が神様から神使をお借りしている時点で大変烏滸がましいのだ。

困りますとは口が裂けても言えない。

言えるわけもない。


「ゴコクさんに居て欲しいのは山々ですが、流石に…大祭のお手伝いには行かれた方が良いかと…」


おずおずとゴコクさんを見上げれば、無表情のゴコクさん


ヒィッ!!怒ってる!!?


「青葉の方がよほど物事を理解しておるではないか!

観念せいゴコク!

ほれっ!!ショックを受けて固まってないでさっさと行くぞ!!

青葉!戸締りはちゃんとするんじゃぞ!

代わりの御使をよこすまで、あまりフラフラ出かけんようにな」


 思わず、お母さん…

と言いたくなるようなタカちゃんの言葉を聞きつつ、タカちゃんを見ればゴコクさんの首根っこを引っ掴み、ずるずる引きずりながらフッと瞬きの間に消えていったのだった。


「…お店…臨時休業の看板出さなきゃ…」


 急にガラんと静まり返った家に自分の声が響く、一人暮らしだったしこちらに来てすぐはこの家に1人で住んでいたのに、急に1人になってしまった感があって込み上げてくる心細さ、夜になればきっとシューちゃんも来るし、明日の朝にはタカちゃんも来るだろう。


 思いの外、自分の中でゴコクさんの存在が大きかったのだと気づいた。

ボーッとしてる場合じゃない。

お休みの看板出して、仕込んでしまった料理を冷凍庫に移さなきゃ…






「暇だ…」


 時刻は16時過ぎ、夕飯の支度にはまだ早すぎる。

ネットもテレビもないこの世界で暇を潰すものといえば、読書か編み物くらい。

私の場合はレシピの書き出しもあったりはするけれど、明日の昼間にこの世界の食材調査でも行ってみようか、でも、フラフラ出かけるなって言われてるしな…

書きかけのレシピノートをボーッと眺めていると、1階からドタンッ!!と言う物音が聞こえて思わず肩が跳ねる。


「なっ!!何!?」


強盗!?とは思うも、まだ外が明るいこんな時間に強盗なんてあり得るだろうか?

怖いけど確認しに行かないと…

ただ単に物が落ちただけの可能性もあるし…

そうは思いつつも武器になりそうな物を探すが、包丁くらいしか思いつかない…

やりすぎかとは思うが治安の悪いこの世界、ヤるかヤられるかだ!!!

そう決意し包丁を手に1階へ足音を忍ばせて降りていく、すると、何やらブツブツと話す声がする。


えぇぇぇぇぇぇ!!!?本当に強盗!?

ドアの鍵閉め忘れた!?

どどどどどどどどどうしよう!?

焦っていると


「ホンマに彼の方、横暴がすぎるやろ、イタタタ…飛ばす場所くらいちゃんとして貰いたいわ」


 聞こえて来たのは男性の声、しかも関西弁…そこで、はたと思い出す。

狐の御使がどうのと言う話、宇迦とは宇迦之御魂神ウカノミタマノカミ様の事だろうか…?


「ほんで、そこにおるんはどなたはん?」


「ヒョェッ!?」


 突然、階段下に現れた茶色い狐色の髪の男性は色白で少し吊り目、そして、神職が着ている水色の袴姿に身長はゴコクさんと同じだろうか?

間違いない…神使の方だ…


「ヒョェってアンタ、こっちのセリフや包丁持って物騒な子やな」


なんだコイツと言わんばかりの見下した目つきをする神使の方、その目にショックを受けつつも


「スミマセン…急に下から物音がしたので、てっきり強盗かと思いまして…

もしかして、神使の方ですか?」


包丁を今更ながら後ろ手に隠して問えば


「そや、宇迦様に仕えるこの僕がアンタみたいなチンチクリンの人間のお守りして来い言われて嫌々来たんや、ありがたく思い」


 ケッとい言わんばかりに言い捨てる神使さん

京都の方、いや、日本人的な建前はどうしたんですか!?

感じ悪っ!!!と、叫びたい気持ちでいっぱいだが、悔しいがこの方の言う通り私はただの人間で…神様から神使借りるなんてそれこそ、恐れ多すぎる事なのだ。


「そっ、それはその…本当に私如きのために神使様に御足労を頂き恐縮でございます…」


 そう言って神使の方を見れば、細い目をさらに細めて冷ややかな視線を容赦なく浴びせてくる。

ヒエッ…と内心でビクつく


「はぁー、なんや、しょーもないというか、可愛げがないと言うか…

まぁ、ええわ…そう言うん、堅苦しいからやめてくれる。

あと、僕のことは神使様やのーて、狐鈴コスズ様って、呼んで」


「承知いたしました…」


 可愛げがないと言う言葉に胸を抉られつつ心の中で絶叫する。

めんどくさぁぁぁぁぁぁぁ!!!?

何この神使さん!?いや、様!?

この方と1週間も一緒にいなきゃならないの!?

お守りしなきゃならないのは私の方では!?

辛っ!!!

ゴコクさん早く帰ってきて!!


「アンタがこの店の店主の青葉やろ?

僕、昼餉も食べる間も無くここに飛ばされてお腹空いてんねん、なんか食べるもん出して」


そう言って階段から離れるとカウンター席に移動して座ると「はよー」と、テーブルをトントン叩き急かす狐鈴様


「…ハイ…」


たった今、この瞬間から狐鈴様の駒遣いが確定した。

タカちゃん…人選…心の中でシクシクと泣きながらカウンターに入る。


「あの…和食の方がよろしいですか?」


きっと、好みに合わない物を出したら怒涛の嫌味が目に見えている。

会って数分だが…間違いないであろう…


「んー、洋食でも和食でもどっちでも構わんのやけど、腹に溜まるもんで頼むわ」


「はい…」


 あぁ…数十分前までの暇な時間がこんなにも恋しいとは思わなんだ。

稲荷寿司と、きつねうどんが思い浮かぶがいつも食べてるかもしれないし…

仕方ないので親子丼でも作るかと、バレないように小さなため息をつきつつ冷蔵庫から食材を取り出した。

店の用心棒としてタカちゃんが送って来てくれたのだろうけれど、この様子だと実際にこの店や私に何かあっても、狐鈴様にあっさり見限られそうな気がする…。

何事も起きません様にと心の中で祈る。

あぁ…シューちゃん、今日はいつもより早く来てくれないかなてん。

心の中で涙を流しながら調理を解すするのだった。













調べながら書いてはいるのですが、エセ関西弁お許しください 土下座

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